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『“壊れる”音』
so視点
カチャッ、と鳴った玄関の音に、
俺の中で何かが、ぷつん、と切れた。
so …開いた、ね
ちぐちんは、ソファの上で固まってる。
その目は、ドアのほうを見てるわけじゃない。
俺の顔を、ただじっと、見つめてる。
tg しおたん……
かすれた声。泣きそうな瞳。
こんな顔、させたくなかったのに。
so だいじょうぶ。ちぐちん、俺が守るから
そう言って、ゆっくりと立ち上がる。
リビングのドアを閉めて、鍵をかける。
その音ひとつで、ちぐちんの肩がピクリと揺れた。
so もう、誰にも触らせない。誰にも見せない。ちぐちんは、俺のだから
玄関のほうで、誰かが中へ入ってくる足音がする。
でも、怖くなんてなかった。
むしろ、――この状況が、どこか心地いいとさえ思えた。
tg しおたん……誰か、来てるの……?
so うん。でも、もうすぐ、いなくなるよ
ちぐちんの手を取り、リビングの奥の小部屋へ連れていく。
小さくて、窓もなくて、鍵もある。
so ここに、入って
tg やだ。しおたん、ひとりで、行かないで、っ
so 大丈夫。俺は、ちぐちんのそばにいるよ
頬にキスをして、小部屋の中へ押し込む。
そのまま、ドアを閉めて、鍵をかけた。
tg しおたんっ…!
扉の向こうから、ちぐちんの声。
でも――俺の耳にはもう届かない。
玄関のほうから、足音が近づいてくる。
廊下に立っていたのは、ひとりの女の子だった。
ちぐちんの学校の制服を着てる。
「あの……ちぐさくん、いますよね?」
俺は、にこりと笑った。
so 誰ですか? ここに“ちぐさくん”なんて人はいませんけど
「え……?」
so 俺の“ちぐちん”は、どこにも行きません。誰にも会いません。
so だって、俺が……俺だけが、全部知ってるから
その目に宿る狂気を、彼女はまだ理解できていなかった。
でも――次の瞬間。
彼女の目が、何かを“察した”
「……警察、呼びます」
俺は、笑った。
so じゃあ、その前に……“ちぐちん”の声、聞いてみる?
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