【一夜の過ち 】
朝起きたら隣によく見なれた顔が寝ていた。
霧島「!?!?!?」(ドタドタ!
目を開けたら居るはずのない奴がいるのだから流石の俺でも驚く。なんでこいつがここに居るんだ?てかここって杉原の部屋じゃね?まさか俺が寝ぼけてこいつの部屋に入ったとか?いやいや…などの思考を巡らせていると、ある違和感に気づいた。
霧島「なんで俺…裸…?」
嫌な予感がする。スヤスヤと寝ているこの部屋の主に目を向けると…裸だった。俺が裸…こいつも…そんでもって俺たちは同じ布団で寝ていた…は?いやいや…そんな…そんなこと、あるわけ…ないよな…?こいつが起きる前に着替えてようと立ち上がった瞬間、太ももを何かが伝う。ドロッっとした何かが…
霧島「は…?何だこれ…」
手でその何かを拭ってみると…白濁のドロドロしたものがあった。最初は衝撃的過ぎてそれが何か理解できなかったが今の状況で思いつくのは…
霧島「え…マジで?」
しかもこれって俺からこれが出てきたってことは…俺が、抱かれた?いや、待て待て。一旦落ち着け。まず昨日何があったか思い出して…
杉原「ん…」(モゾ
霧島「ッ!」
まずい。ここで起きられたら余計に悪化する気がする。一先ずはここから出るか。
自分の部屋に帰って状況を整理する。確か昨日は会合があって、そこで呑んで…というか呑まされて…それで…駄目だ。なんも思い出せねぇ…ああいう場で呑まされるってことも今までなかったからな。というかあの場に杉原は居なかったはずだが…
?「きりしまおきてる?」
霧島「あ、はい。起きてますよ」
襖を開けると可愛らしい女の子が顔を覗かせる。わぁ、眩しいなぁ…
八重花「おはよう」
霧島「おはようございます、お嬢」
八重花「だいじょうぶ?きのうのよる、すごくふらふらだったけど…」
霧島「へ…?」
まさかお嬢は昨日の俺を知ってる…?
八重花「もしかしておぼえてないの?」
霧島「えっと…実はそうなんですよねー…昨日の霧島、何してましたか?」
八重花「んーとね…ふらふらしててあぶなかった」
霧島「は、はぁ…そうでしたか…」
八重花「だからすぎはらがずっときりしまのとこささえてたよ」
霧島「え?杉原が?」
八重花「うん。『だいじょうぶですか』ってこえかけてたよ」
霧島「…その後とかって分かります?」
八重花「そのあとはすぎはらのへやにいったよ。きりしまのかいほう?するっていってた」
霧島「へぇ…そうですか…」
何が介抱だよ。あいつは多分介抱の解釈が間違ってんだ。酔っ払いに何したんだよ。後で殴っとくか。
八重花「わたしこれからサラとかえでちゃんとこうえんであそんでくるから、きりしまはゆっくりやすんでね」
霧島「え、3人だけで行くんですか?霧島も行きますよ」
八重花「うんん。たけうちとかねひらがきてくれるっていうからだいじょうぶ。きりしまとすぎはらはゆっくりしててね」
霧島「…お気遣いありがとうございます」
正直言うと今は杉原に会いたくねぇから行きたかったんだが…お嬢に言われたらそうしない訳にはいかないよな…
杉原「あ!霧島さん!」
霧島「げ…」
杉原「え、今『げ…』って言いました!?」
霧島「今お前に一番会いたくなかった…」
八重花「あ、もうこうえんいかないと。じゃあいってきます」(タタタタ…
霧島「え!?あ!お嬢!?」
あ〜…最悪だ…これどうしたら…
杉原「霧島さん、どうして出ていっちゃったんですか?」
霧島「どうしてって…お前…」
杉原「あ、そういえば…」
霧島「?」
キョロキョロ周りを見て誰もいないことを確認したのか耳元に寄ってきた。
杉原「体、大丈夫ですか?」(コソ
霧島「は…」
杉原「昨日、ちょっと無理し過ぎちゃったかなって思って…」
霧島「な、に…」
杉原「もしかして…覚えてないですか…?昨日の───うおッ!?」
杉原の胸ぐらを掴んだ。
霧島「お前俺に何した…!」
杉原「…確かに俺が手を出したのかもしれないですけど、霧島さんの同意のもとでしました…酔っぱらいだったんで俺も理性は保とうとしたんですけど…霧島さんが煽ってくるから…」
霧島「は…俺のせいだって言いてぇのか…?」
杉原「そういうんじゃないです!ただ…ずっと好きだった人が、あんなになってたらそりゃ理性も吹き飛んじゃいますよ…」
霧島「は…?なに、お前俺の事好きなの…?」
杉原「…そうです」
ちょっと待て…マジで…?ここまでくれば昨日俺に何したのか聞かなくても分かるけど一応確認は必要だよな…
霧島「…俺はお前に抱かれたのか…?」
杉原「……はい。俺が霧島さんを抱きました」
霧島「そうか…」
杉原「あの…霧島さ───」
霧島「あー、まぁなんだ…昨日のことはお互いに忘れよう」
杉原「は…?」
霧島「俺も1回くらいなら犬に噛まれたと思って忘れてやるから…」
杉原「なに…言ってんですか…」
霧島「だから───ッ!?!?」
俺の胸ぐらを掴んで顔を引き寄せ…そのままキスをされた。
霧島「ッ!、何すんだッ!!」(バッ!
杉原「俺はあんたが好きだッ!!!」
霧島「は、ぁ…」
杉原「忘れろだって…?巫山戯んな!!そんなこと出来るわけねぇだろうが!!!セックスまでしてんのになかったことに出来ねぇよ!!」
霧島「ばッ…!馬鹿かッ!そんなこと大声で言うな!!」
杉原「あんたが巫山戯たこと言うからでしょ!?」
霧島「はぁ!?俺はお互いの為に…」
杉原「全然俺の為になってないです!霧島さんはそりゃあ俺のことなんて眼中に無かったんだろうと思いますけど!俺、嬉しかったんですよ…霧島さんが俺に体を許してくれて…」
霧島「それは酔っ払ってたからだろ…酔っ払いの言動なんて宛にすんじゃねぇよ…」
杉原「でも…だって、あれは…」
霧島「なんだよ」
杉原「…分かりました。昨日何があったのか詳しく話します。場所を変えましょう。」
そう言われて誰も来なさそうな部屋の一室で話をすることにした。昨日の事があり何もされないという保証はなかったが、今はシラフだし何かされれば殴って半殺しにするか。
杉原「ここなら誰も来ないかな…」
霧島「何でもいいからさっさと話せ」
杉原「分かりましたよ…昨日何があったか、ですね…昨日組の会合があったのは覚えてますか?」
霧島「ああ…そこで呑んだのも覚えてる」
杉原「そうです。霧島さんは珍しく結構呑んでて、会場で寝てしまったんです。それが物珍しいと野次馬が現れまして…」
霧島「は?野次馬?」
杉原「はい…結構囲まれてたんですよ?それに…その野次馬が…その…やばくて…」
霧島「なんだよ…」
杉原「どさくさに紛れて霧島さんの体触ってたんですよ…」
霧島「気持ち悪っ!どこ触ってたんだよ!」
杉原「俺が見た限り脚とか腰とかですかね」
霧島「想像したくもねぇ…ゾッとするわ…」
杉原「…それで、俺も我慢できなくてその…つい、やっちゃったんです…」
霧島「やっちゃったって何を…」
杉原「殴っちゃったんです…!つい、腹が立ってしまって…そしたら組長が止めて、霧島さんを連れて先に帰れって言ってくださって…何とかその場は組長によって収められたんですけど…」
霧島「殴っちゃったってお前…組同士の抗争にでもなったらどうするつもりだよ…そんな危険犯してまでやることか?」
杉原「…軽率な行動だったと思います。でも後悔はしてません。あのまま見て見ぬふりしてたらきっと俺は、自分が許せなかった…」
霧島「俺の立場で言うのすればお前のやった事は組を危険に晒したって事だからな。」
杉原「はい…」
霧島「まぁ、俺個人で言えばよくやったってところだな。」
杉原「え…?」
霧島「俺も今からそいつらのとこ行って殺したい気分だからな…💢」
杉原「そ、それは流石にダメですよ!?」
霧島「分かってるっての。お前が殴ったんならそれでチャラにしてやるよ。」
杉原「そうですか…」(ホッ
霧島「そんでその後は?」
杉原「組長の言う通りに先に帰って俺の部屋に…」
霧島「まずそこがおかしいんだよ。なんでお前の部屋だったんだよ。俺の部屋で良かっただろ」
杉原「それは…霧島さんが結構酔っちゃってたから介抱が必要かなって思ったら俺の部屋の方がいいかなって思ったから…」
霧島「お前介抱の解釈って手ぇ出すことなのか…?💢」
杉原「そんなわけないじゃないですか!俺だって真剣に介抱しようかなって思ってましたよ!」
霧島「じゃあどうやったらこうなるんだよ💢」
杉原「霧島さんが誘ってきたからですよ!」
霧島「………は?」
杉原「あの時───」
──────昨夜の杉原の部屋にて──────
杉原「ふぅ、取り敢えず俺の布団に寝かせたけど…水持ってくるか」
(水持ってきた)
杉原「霧島さん、水持ってきたので飲んでください。酒呑んだままだとダメですよ」
霧島「ん…」
杉原「ほら、起きてください。これ飲んで」
霧島「いらねぇ…」(フイ
杉原「ダメですって。もー…口開けて」
霧島「や…」
杉原「く…可愛いッ……じゃなくて!飲んでください。」
霧島さんの上半身を起こして口にコップを当てる。最初こそ嫌がっていたが、そこまでしたら素直に飲んでくれた。酔っ払ってるからか自分で飲んでないからか口から水が溢れた。
霧島「んぅ…」
杉原「あ、水が…」
溢れた 水が霧島さんのシャツを濡らした。あれ?なんかこれ…エロ…
霧島「すぎはら…」
杉原「え?うわっ!」
仰向けに横になっていた霧島さんが俺の首に腕を回し引き寄せる。だから自然と俺が霧島さんの上になっているんだが…霧島さんに抱きしめられてるし、近いし、いい匂いだし…正直理性がもたない…
杉原「ちょっ!霧島さん!?なに、何を!?///」
霧島「んー…おまえあったけぇな…」
杉原「霧島さんっ…!離してっ!」
霧島「あ?なんでだよ」
杉原「このままじゃ…俺、貴方のこと襲っちゃいますって…!」
霧島「おそうって…どういういみ?」
杉原「それはっ…」
霧島「なぁ…どういうことだよ」(耳元
杉原「霧島さんっ…これ以上は本当にっ…」
霧島「なぁに?おまえ、おれとシたいの?」
杉原「ッ…そうですよッ…だから、このままじゃ俺の理性が切れて問答無用で貴方を犯してしまいそうなんです…だから、そうされたくなかったら離してください…」
拙い口調で喋る霧島さんが余計に俺の理性を壊しにくる。好きな人だから傷つけたくない。だから早く離れて欲しい。その一心だった。なのに…この人は…
霧島「ばかだなぁ…おまえ。えものがいんのに、にがすようなことすんなよ」
プツン…
ここで俺の中の何かが切れた。貪るようなキスをする。霧島さんが苦しそうに俺の背中の服をギュッと握るのを感じた。目に涙が溜まって目がとろんとしたところで口をそっと離した。
霧島「んッ…はぁ…ッ…」
杉原「俺を煽っても不利になるのは霧島さんですよ…分かってやってます…?」
霧島「おまえ、そんなかおできたんだな…」
杉原「は?」
霧島「いままでなさけねぇつらばっかだったからな…いーんじゃねぇの?ましなつらになったじゃねーか」
杉原「…今自分がどういう状況か分かってます?」
霧島「はぁ?おれのことばかにしてんのか?きすされたにきまってんだろ」
杉原「…あー、はい。キスしましたね。じゃあ続きしますねー」
霧島「くすぐってーよ笑、いぬみてぇだなぁ」(ワシャワシャ(頭撫でる
杉原「全く…どうなっても知りませんから…」(首にキスマ
霧島「んッ…ぁ…」(ビク
それから恐らく何をされるかわかってないであろう霧島さんに止められることなく最後まで致してしまったというわけです。
──────今現在──────
杉原「と、言う感じです…」
霧島「………………」(絶句
杉原「これでも頑張って耐えた方だったんです!霧島さんが怒るのも分かります…どんな言い訳をしようとやってしまった事実は変わりません…どんな罰でも受けます…!」
霧島「ちょっと待て…本当にそれは俺だったのか…?」
杉原「俺も信じられなかったんですけど…霧島さんって酔うと甘えるタイプなんですね…!可愛かった…」
霧島「うるせぇなッ!んなわけねぇだろ!それはきっとお前の妄想だ…それか変なもんでも食ったか飲んだかしたんだろ…?そうだよな…?」
杉原「これがもし俺の妄想だったとして、じゃあどうして霧島さんは俺に抱かれるんですか?俺じゃあ霧島さんには適わないし、霧島さんが本気で抵抗すればこんな事にはならなかったじゃないですか」
霧島「嘘だ…そんな…そんなの、俺じゃない…」
杉原「これが現実なんです。もちろんちゃんと責任は取ります!」
霧島「要らねぇよッ!最悪だ…完全に醜態晒した…しかもお前の前でとか…」
杉原「…俺は、俺で良かったなって思ってますけどね」
霧島「まさか弱み握ったとか考えてんじゃねぇだろーな…」
杉原「ちがっ!俺の話聞いてました!?霧島さんのこと好きなんですよ!?他の誰かに貴方のあんな姿見せたくないんですよ!」
自分でも驚くくらいの声量で言った。それくらいしないとこの人は多分何を言っても信じないし、心にも響かないんだろうと思ったからだ。この好意の対象は俺の必死さに目を丸くしていたが、暫く下を向いたままなにか考え込んでいる様子だ。すると顔を上げてジッと俺の顔を見ながらポソッと独り言をした。
霧島「…確かにお前で良かったかもな」(ポソッ
杉原「え?それってどういう…」
霧島「勘違いすんなよ。他にヤられるくらいならお前の方がマシって意味で言ってんだからな。」
杉原「そ、そんな念押しみたいに言われても…」
霧島「みたいなじゃねぇ、念押ししてんだよ。お前のことだから自分の都合のいい方に考えるだろ」
杉原「まぁ…そうかもしれないですけど…ちょっとくらいは好意とか無いんですか…?俺たち結構長い時間一緒に居ると思うんですけど…」
自分で言ってて悲しくなるんだけど…これで無いとかズバッと言われてしまったら俺はもう立ち直れない…まぁ霧島さんの事だし、『そんなのあるわけねぇだろ』って一蹴りされるんだろうなぁ…
霧島「………まぁ、無くはねぇな」
杉原「えッ!?」
霧島「0ではねぇってだけだ。別に人としてはお前のこと嫌いではねぇからな。」
杉原「そ、それって望みありってこと…!?」
霧島「自惚れんな。ま、お前が俺を口説けばもしかしたらそうなる事もあるかもな」
杉原「じゃあ頑張ります!絶対口説き落としますから覚悟してて下さいね!!!」
霧島「はいはい。楽しみにしてる」
悪戯げに笑うその人を絶対に俺のものにすると意気込んで、その日から口説く日々が続いた。霧島さんとの約束事は2人きりの時だけ口説く事だ。たまにお嬢が居るのを忘れて口説いてまうことがあったが、その時は霧島さんからの鉄拳が飛んでくる。それに何度命が危ぶまれたことか…そんなやり取りを繰り返して俺達が結ばれるのもそう長い話では無い…はずだ。
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すっごく続き楽しみ!