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ピンポーンと大きな音でチャイムが鳴った。
出雲はバタバタしながら、ドアを開けた。そこには、彗、蒼、麗乃の3人がいた。全員、ゼェゼェと、息が荒い。きっと急いできたのだろう。
「出雲、阿須の能力の感覚を感じたんだ。阿須は大丈夫なのか。」
「ああ、大丈夫だよ。とりあえず今は寝かしてる。不安になりすぎちゃっただけだよ。」
彗が焦っているのを出雲は落ち着かせる。出雲は「そろそろ教えとかないとね。」といい、3人を家に上がらせ、阿須がいない部屋へ連れていった。
「そろそろ教えとかないといけないことってなんですか。」
と真剣な顔で蒼が聞く。出雲は、3人には必ず話しておいていけないことだと分かっていた。阿須の事は、いずれは教えなければいけない。そう考えてはいたから。
「少し話は長くなるんだがな。あいつには兄貴がいるんだ。その兄は黄昏リーダー。朝霧秋雨。」
朝霧秋雨。彗はもちろん聞いたことがあるという反応をした。阿須が幼少の時、秋雨は阿須に一言だけいい姿を消した。阿須がずっと探しているが未だに見つかっていない。秋雨は相当優秀な和国の代表者だった。
「黄昏リーダーの秋雨は、阿須を狙ってる。」
蒼は「は?!」と大きな声を出して立ち上がった。出雲は、落ち着かせるように手を座りなさいと言うようにジェスチャーをした。
「阿須が優秀なのはお前らもわかっているだろう?俺らが調べた感じだと、秋雨は阿須の力を手に入れて、自分のものにし、和国。中王国も全て自分のものにしようとしている。」
「言いたいのは、私たちが常に阿須くんを守ってあげて欲しいってことかしら。」
麗乃は落ち着いていた。理解が早い。出雲は、静かに頷いた。
「そう。麗乃は勘がいいね。あいつを守ってやって欲しい。そのうち殺されてしまう。一応、俺ら教師も守護はしてる。けど、毎日見れてる訳では無いから、お前らも協力して欲しいんだ。」
「なるほどね。とにかく阿須と常に一緒にいればいいのか。 」
彗も理解し、そう発言した。
「それだけでもいいよ。とにかく、阿須の能力が奪われないようにすること。そして、あいつが殺されないようにすること。これを心に押えといてくれ。 」
出雲は、3人を信頼しているからこそ、このはなしをした。いつも阿須と一緒にいてくれているからというのもある。だからこそなのだろう。
「出雲先生。出雲先生も無理しないでね。あんたが居なくなったら、もう私たち何も出来ないわよ。」
と涙目で震えながら、蒼は言った。
出雲はその姿を見て、ニコッと優しく笑い、
「ああ。分かってるよ。大丈夫だ。俺はお前らを信頼している。だから、お前らも俺の事信じておいてくれよ。明日から、任務開始でよろしくな。」
と最後に優しく伝えた。その後、出雲は3人を家の外まで送り、別れた。そして、また家に入り、阿須が寝ている横へ行き、急に目元が熱くなるのを感じていた。
「阿須…。俺より先に死なないでくれよな…、俺らが絶ッ対に守ってやるから。」
と涙を流しながら、寝ている阿須に話しかけた。
出雲と別れた後、3人はぽかんと立ったままだった。最初に話を切り出したのは、彗。
「なぁ、ちょっと大問題になりそうだよな…。」
とボーッとしながら話した。麗乃はそれを聞いて、焦りを感じていた。もちろん蒼も。
「私たちが、できると思えない。こんなに力不足なのに。彗は強いからまだ平気だけど、私と麗乃は力不足過ぎる。」
麗乃はそれを聞いて、「うんうん」と頷いた。
「私の場合、戦うことはあまり出来ないから…、余計にダメよ…。」
と麗乃は今にも悔し涙を出しそうになっていた。だが、彗はそれでも
「でも、グズグズしてられないと思う。めんどくさいけど。でも、やらないといけないから。阿須のこと心配だし、守れるところまで全力で守ろう。阿須だって強いんだから。」
彗は阿須のことを信じきっているからこそ、このようなことが言える。麗乃も蒼も「阿須だって強い」という言葉を聞いて納得をした。
3人は明日からは自分たちができることを精一杯やろうと決意をし、別れた。
続