「近づきたくないのに」
ドアノブに手をかけ、中を覗いたままの状態で固まった。
(どうしているの……)
そう思っても、 日比野(ひびの)はいつも私の都合なんてお構いなしだ。
それでも今日は――― 紀坂(きさか)に会った直後の今は、心から会いたくなかった。
日比野を起こさないようドアを閉め、力なくソファへ身を沈める。
日比野の浮気に苦しみ始めて一年。
もう彼に気持ちはないし、浮気をやめる保証もない以上、結婚は無理だという結論に達している。
それでも情だけはあるから、好きじゃないのに嫌いにもなれていなくて……。
(私、本当に中途半端だな)
日比野が浮気をやめてくれさえすれば、とか。
気心だって知れてるし、結婚は愛だけじゃないはずだ、とか。
そんな考えがよぎる度に虚しくなるのに、彼の元から踏み出せない自分が嫌になる。
このままだとどんどん暗くなりそうで、とにかくシ*************
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