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背もたれにそっと寄りかかる。
「意味わかんないですよね…自分でも馬鹿みたいです。何で私…こんなに考えてるのかなって。しかも店長に言われてやっと自覚したんですよ?」
無言のまま、車は再び発進した。刻々と時間が流れる。
(さっきから何も言わない。やっぱり、ただの仕事の上司に話すには、重かったかな…。)
そう、思った時だった。
「本当に…そう思っているのかい?」
「……へ?」
唐突すぎる言葉に、思わず傾けた身体を起こして店長を見る。
暗闇でうっすらとしか見えない横顔はいつもの間抜けな顔ではなく、どこか険しかった。
しかし、それも一瞬で、私の視線に気づくと目尻を下げて笑った。
「いやね、ずっと考えていたんだけどさ。藤塚さんはその子を友達じゃないのに頭の中ぐるぐるしてるって言ったけど…逆じゃないかな?友達だから、考えちゃうんじゃないか?」
「っ…え…」
「うーん、何て言うのかな。どうでもいい人のことで考えないと思うんだ。そのぐるぐるっていう気持ちの正体だって、きっとその子に縁を切られて悲しいって、もう一度繋がりたいって無意識に思っているからであるんじゃないかなぁ。」
(私と…姫菜が…友達…?そんなはず…ない…)
俯き、ぐっと奥歯を噛み締める。そして、震える声で答えた。
「違います…。だって、あの子とはただ援交した場所で偶然出会っただけで…」
「うん、きっかけはただの偶然だし、あんまりよくなかったかもしれない。最初は、ほんとに同じ心境をもつ同志って感じだったんだろうね。けど…いつのまにか、藤塚さんの中で変わってきたんじゃないかな?無意識に友達だと思うくらいにさ。まあ…俺には、二人がどんな時間を過ごしてきたのかは分からないけどね。」
店長の口から紡がれる言葉一つ一つが、私の心を刺激する。
さっきまでは否定でいっぱいだった頭の中に、そうかもしれない、という思いが流れ込んでくる。