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#御曹司
鷹槻れん

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#極道
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お顔は何となく修太郎さんにも健二さんにも似ておられる天馬氏だけれど、身にまとう雰囲気がまるで違っていた。
天馬氏は私や佳穂さんには見向きもなさらず、下座のほうに座っておられる健二さんと、私の正面に座していらっしゃる修太郎さんを交互に見比べてそうおっしゃった。
「俺は――」
言葉を発そうとした健二さんを視線で制して、修太郎さんが口を開かれる。
「僕はそこにいらっしゃる藤原日織さんとお付き合いさせていただいています。今日はそのことを皆さんにご報告したくて集まっていただきました」
凛とした声音で何の迷いもなくそう言い切った修太郎さんに、天馬氏が一瞬だけ瞳を見開かれた。
(こ、怖いのです……)
ともすると震えだしてしまいそうな身体を、何とかギュッと拳を握ることで堪えているけれど、本音を言うと、私はここから逃げ出してしまいたくてたまらない。
でも、修太郎さんが頑張っていらっしゃるから。だから私も踏ん張らなくちゃ、と思った。
もう一度ギュッと拳を握りしめ直して、勇気を振り絞って顔を上げた……途端、天馬氏と目が合ってしまって心臓がビクンと跳ね上がる。
「日織さん、これは一体どういう意味ですかな? 貴女は修太郎ではなく、健二の許婚だったはずだ」
天馬氏の声はあくまでも穏やかだ。
それなのに、なぜかとても威圧感があって、私はなかなか声を発することが出来なかった。
それなのに、気持ちばかりが焦ってしまう。
「……も、申し訳ありませんっ。私っ、その……修太郎さんとお仕事をさせていただくうちに……どんどん彼のことを好きになって……それで……離れたくないと思うようになりました」
怖い、という気持ちが、思わず初っ端に謝罪の言葉を紡がせてしまったことに、私は心の中で後悔する。
確かに許婚がいる身でありながら、他の男性に心惹かれて……あまつさえその方とお付き合いを始めてしまうなんて、あってはいけないことなのです。
でも……それでも修太郎さんとの関係を〝悪いもの〟だと自分自身で認めたみたいになってしまったのは、何だか釈然としなくて仕方がなかった。
(修太郎さん、すみませんっ)
心の中でそっと謝ると、修太郎さんが私のほうを見て、大丈夫ですよ、と言ってくださっているみたいに、小さくうなずかれた。
そして――。
「許婚なんて名ばかりのもので、僕の大事な日織さんを縛らないでいただけますか?」
泣きそうな私を庇うように、修太郎さんがそう言ってくださって、私は胸の奥がギュッとなるくらい嬉しくなった。〝僕の〟と言って頂けたことが何よりも嬉しかった。
手を握って頂くことは叶わないけれど、修太郎さんの優しさに守られている、と確かに実感できた瞬間だった。
そんな修太郎さんに、天馬氏があからさまに不機嫌そうなお顔をなさる。
けれど、私はさっきほど彼のことを怖いとは思わなかった。
「健二はそれで構わないのか? コケにされておるとか、そんな風には思わないのか?」
そもそも兄と許婚にこんなことをされて、何故お前はそんなに平然としていられるんだ!?と怒りの矛先を健二さんに向けられた天馬氏に、今度は健二さんがはっきりとお応えになられる。
「俺は元から日織さんを女性として見られなかったので、彼女に裏切られたとか兄さんに恋人を奪られたとか、そういう感覚は皆無なんです。それに――」
そこで隣に座っておられる佳穂さんをグイッと自分の方へ引き寄せていらっしゃると、「横取りという意味では俺も兄さんからフィアンセを奪ってるんで同罪です」とおっしゃった。
天馬氏は、またしても瞳を見開いて健二さんをじっと見つめられた。
コメント
2件
頑張れ、みんな!
わあ、ここで来たか…!天馬さんのオーラ怖すぎるんだけど、修太郎さんが「僕の大事な日織さんを縛らないで」って断言したシーンはマジで胸熱だったわ。健二さんも「同罪です」って言い放つの痛快だし、家族全員が自分の言葉で向き合ってるのがめっちゃ好き。緊張感すごかったけど、終盤はちょっとホッとした展開で良かった🔥