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それでは〜
どうぞ!
ーーー
退屈で何もなかった小さな世界。
そこから救い出してくれたのはいつもやってくる謎の多い人物だった。
🧡「ここから、逃げよう。」
Minami side
🩷「なんで、。私ばっ、か。」
いつからだろうか、この“芸能界“という名の狭く小さい世界に閉じ込められたのは。
私は、小さな頃から自他共に認める容姿端麗だった。
幼い頃から整った顔立ち。兎のような可愛らしい“アイドル顔“
誰もが私を、将来のスターだと言って止まなかった。
それは親も例外ではない。
「私の娘が1番なの」
「きっと、スーパーアイドルになれる」
そんな言葉を物心ついた時から聞いてきた。
私は、まだ当時は幼かったのかもしれない。その時は親に褒められるのがただただ嬉しかった。愛されていると感じた。
けれど、それが本当の“家族愛“なのか、今となってもわからない。
最初の頃は、楽しかった。
ステージで歌ったり、ライトを浴びて愛嬌を振りまいたり、純粋に楽しかった。
けれど、仕事が増えていくにつれ何かが少しずつ崩れていった。
「今日はレッスンなんだから学校休みなさい。」
「大丈夫。あなたはみんなに愛されるスターになるんだから」
🩷「はい。、」
“有名になること“が“愛されること“だった。
だから、私は言われた通りにした。両親が望む『完璧な娘』でいようと努力した。合成写真をばら撒いたり住所特定したりするアンチにも怯まず、淡々と仕事をし笑顔を作った。
“幸せ“なんだ。これが私の。
🩷「こうしてれば、誰も責めない、…よね?」
ーーー
ある日、親と喧嘩してしまい家を飛び出した。
一応“アイドル“という職業柄なのである程度の変装をして。
そして唯一の逃げ道の煙草を持って、
家からどのくらい逃げたのだろうか知らない場所へと着いた。
🩷「わあ、綺麗。」
目の前にはこの世のものとは思えない程綺麗な海が広がっていた。
砂浜にポツンと建っているベンチに腰をかけ煙草に火をつける。
🩷「はあ、。」
静かな夜にため息が聞こえる。
どうもこんなしんどい世界だっけ。
??「お嬢さん、?」
🩷「へ、あ。はい?」
突然知らない人から声をかけられバレたのではと思い急いで帽子を深く被り直す。一応17歳だから、煙草をしているなんて、、知られたらたまったもんじゃない。
🧡「私、鶴屋美咲って言います。」
🧡「もしかしてですけど、”Minami”さんですか?」
終わった。ここで否定しても意味がなさそうなので挨拶を交わす。
🩷「はい、Minamiです。すいませんけど、何か?」
🧡「ここでのことは秘密にしておきますから、。ね?」
そう言って私の手元の煙草に目をやる。
🩷「ありがとうございます。」
🧡「でも、どうして煙草なんか。まだ20歳にもなってないていうのに」
🩷「それは、その。…なんというか」
🩷「せっかく、ここで会いましたのも何かの縁ですし、全部お話しいたしますね…。」
🧡「そうですか。」
🩷「ただの愚痴話とでも、思って聞いていてください。」
私は今までのことを全部1から10まで話した。
話したのち、一息つくと美咲さんがこう言ってきた。
🧡「ここから、逃げよう。」
🩷「え、?な、何言って」
🧡「未渚美の縛るものがなくなる遠いところまで。」
🧡「一緒についてきてくれる?」
手を差し伸べる美咲さんはとても輝いていた。まるで私をどん底から救い出してくれるような。そんな感じ。
私は美咲さんの手を取り、
🩷「はい、連れていってください。」
楽しみな気持ちもあったのかもしれない。ただここから連れていってくれるその姿に惚れたのかもしれない。
私の逃走劇はここから始まった。
end.