「だけど……一度来たことあのある人が、もしかしたらキーを誰かに譲り渡したりとか、悪用したりすることってないのかな……?」
ふとこぼれた疑問に、
「そんなこと、あると思うか?」
と、流星が睨むような鋭い視線を私に向ける。
「俺たちに囲まれて、わざわざキーを他の奴に渡したいなんて思うお客が、いると思うのかよ?」
傲慢な程に自信にあふれた瞳が、私をまっすぐに見つめる。
「……おもわ…ない……」
その目の輝きに引っ張られるかのように、こぼれた本音に、
「だろ?」
当然だとでも言うように、流星が唇の端をフッ…と吊り上げた。
「……でも、もしかして気に入らなくなったりして、データの改ざんをして売りつけたりだなんてことも、最悪できたりもするかなって……」
カードキーをじっと見ていたら、そんな疑問が口をついた──中にはそういうケースだって、あってもおかしくない気もした。
と──
「おまえは、ほんとわかってないよな…」
銀河が言い、
「ホント、マジでわかってねぇし…」
流星が、同じように口にする。
「わかってないよね…」
天馬が続けて、
「わかっていられないのですね…」
と、三日月が最後を締めくくった。
「えっ、何が…?」
全員からそう指摘をされたけれど、何のことなのかがまるでわからなかった。
「ここがどこだか、おまえわかってないだろ?」
銀河に聞かれて、
「……『超イケメンホストクラブ』…だよね?」
?マークが頭に浮かんだまま答える。
「そう。だからこの店の看板を背負う俺たちが、じきじきに選んだお客を気に入らないと思わせることなんて、一度たりともあるわけないだろうが」
流星の揺るぎないプライドに裏打ちされたセリフが、胸に深く突き刺さった──。
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