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桃柊冬呉
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🌊 桃源暗鬼 夢小説― 水面に咲く、小さな鬼 ―
第2話「初めての実戦訓練」
午前7時45分・羅刹学園女子寮。
ピピピピッ!!
瀬奈「…………」
ピピピピッ!!
瀬奈「…………うるさ。」
バシッ。
目覚まし時計が止まった。
瀬奈「…………」
布団から顔だけを出す。
水色の髪は寝癖でぴょこんと跳ねている。
瀬奈「……ねむい。」
そう。
本日の鈴鹿瀬奈、機嫌最悪。
理由?
特にない。
朝起きた瞬間から、なんとなく全部が面倒くさい。
瀬奈「…………学校、だる。」
のそのそと起き上がり、制服の上からいつものぶかぶかジャージを羽織った。
瀬奈「……行こ。」
🐾 1. 昨日と別人!?
午前8時30分・教室。
四季「おっ!!瀬奈!!おはよ!!」
瀬奈「…………」
四季「……瀬奈?」
瀬奈「……はよ。」
四季「えっ。」
迅「…………」
四季「おい迅。」
迅「なんだよ。」
四季「昨日と別人じゃね?」
迅「……知らねぇよ。」
四季「いやいや!!昨日めっちゃ元気だったじゃん!!」
瀬奈「…………」
四季「なぁ瀬奈!!なんかあったのか!?」
瀬奈「……別に。」
四季「えっ、怒ってる?」
瀬奈「……怒ってない。」
四季「じゃあなんでそんな――」
瀬奈「……質問多い。黙って。」
四季「…………はい。」
迅「……ふっ。」
四季「おい!!今笑っただろ!!」
迅「笑ってねぇ。」
帆稀「せ、瀬奈ちゃん……大丈夫……?」
瀬奈「……ん。大丈夫。」
帆稀「そ、そっか……!」
帆稀には少しだけ声が柔らかい。
四季「……なんで俺だけ当たり強ぇんだよ。」
瀬奈「……うるさいから。」
四季「即答!?」
ガラッ!!
無陀野「……席につけ。」
全員「はーい!」
無陀野「今日は実戦訓練をする。」
四季「よっしゃぁぁ!!」
瀬奈「…………」
無陀野「……鈴鹿。」
瀬奈「……なに。」
無陀野「……今日は機嫌が悪いのか。」
瀬奈「……見ればわかるでしょ。」
無陀野「…………。」
(……面倒な日だな。)
🔥 2. 四季 VS 瀬奈
午前10時・訓練場。
無陀野「今日は一対一の模擬戦を行う。」
四季「おっしゃ!!瀬奈!!俺とやろうぜ!!」
瀬奈「…………」
四季「昨日約束しただろ!?」
瀬奈「……あー。」
四季「忘れてたのかよ!?」
瀬奈「……めんど。」
四季「おい!!」
無陀野「……鈴鹿。できるか?」
瀬奈「……早く終わるなら。」
無陀野「……わかった。」
二人が訓練場の中央に立つ。
四季「よっしゃ!!手加減しねぇからな!!」
瀬奈「…………」
四季「お前も本気で来いよ!!」
瀬奈「……はぁ。」
四季「……?」
瀬奈「……弱い相手に本気出す意味ある?」
四季「はぁぁぁ!?!?」
迅「……煽ってんな。」
帆稀「だ、大丈夫かな……?」
無陀野「……始め。」
ドンッ!!
四季が勢いよく地面を蹴った。
四季「いくぜぇぇ!!」
拳を構え、瀬奈に迫る。
しかし。
瀬奈「…………」
ひょい。
四季「!?」
瀬奈はほんの少し体を傾けただけで、その拳をかわした。
四季「くっそ!!」
二撃目。
三撃目。
四撃目。
瀬奈「…………」
全部、当たらない。
四季「なんで当たんねぇんだよ!!」
瀬奈「……遅い。」
四季「はぁ!?」
瀬奈「……眠くなる。」
四季「お前なぁぁ!!」
迅「……あいつ、ただ者じゃねぇな。」
無陀野「…………」
(……さすが戦闘部隊隊長。)
(しかし、まだ何も見せていない。)
🐈 3. 一瞬
四季「だったら……これならどうだ!!」
四季の周囲に、炎のような血が揺らめく。
無陀野「四季、やりすぎるな。」
四季「わかってるって!!」
瀬奈「…………」
瀬奈は小さくため息をついた。
瀬奈「……あー、もう。」
四季「!?」
瀬奈「……めんどくさいから、終わらせるね。」
次の瞬間。
瀬奈が四季の視界から消えた。
四季「……は?」
背後。
瀬奈「……後ろ。」
四季「っ!?」
振り向こうとした瞬間、瀬奈の足が四季の足元を払った。
ドサッ!!
四季「うわっ!?」
体勢を崩した四季。
その首元のすぐ手前で、瀬奈の手がぴたりと止まった。
瀬奈「…………」
四季「…………」
瀬奈「……終わり。弱すぎ。」
しーん。
帆稀「…………え?」
迅「…………は?」
皇后崎「……今、何をした?」
四季「…………」
四季「はぁぁぁぁぁ!?!?!?」
瀬奈「……うるさ。」
無陀野「……勝者、鈴鹿。」
四季「ちょ、待て待て待て!!」
瀬奈「……なに。」
四季「お前!!弱いって言ってたじゃねぇか!!」
瀬奈「……言ったっけ。」
四季「言ったわ!!」
瀬奈「……忘れた。」
四季「絶対嘘だろぉぉ!!」
迅「……お前、何者だ?」
瀬奈「…………」
瀬奈は少しだけ目を細めた。
瀬奈「……ただの転入生。」
迅「……そんなわけねぇだろ。」
瀬奈「……信じなくていいよ。」
そのまま、くるりと背を向ける。
無陀野「……鈴鹿。」
瀬奈「……なに。」
無陀野「……手加減したな。」
瀬奈「…………」
一瞬、瀬奈が立ち止まる。
瀬奈「……先生。」
無陀野「なんだ。」
瀬奈「……余計なこと言わないで。」
無陀野「…………。」
そして瀬奈は、訓練場を出ていった。
🌊 4. 放課後の小さな秘密
午後4時・学園裏庭。
瀬奈「…………」
木陰に座り込む。
瀬奈「……疲れた。」
今日は本当に、何もかも面倒くさかった。
四季の大きな声も。
訓練も。
みんなの視線も。
瀬奈「…………」
ふと、自分の手を見つめる。
(……やっぱり、戦うの嫌い。)
(……でも。)
(強い人と戦うのは、ちょっと好き。)
瀬奈「……変なの。」
その時。
背後から足音がした。
四季「おーい!!瀬奈!!」
瀬奈「…………」
瀬奈「……また来た。」
四季「なんだよその反応!!」
瀬奈「……帰って。」
四季「いや!!聞きたいことあんだよ!!」
瀬奈「……やだ。」
四季「まだ何も言ってねぇだろ!!」
瀬奈「……どうせさっきのことでしょ。」
四季「……おう。」
瀬奈「…………」
四季「お前さ。」
瀬奈「……ん。」
四季「めっちゃ強ぇじゃん!!」
瀬奈「…………」
四季「いやマジで!!すげぇよ!!俺全然見えなかった!!」
瀬奈「…………」
四季「なぁ!!今度またやろうぜ!!」
瀬奈「…………は?」
四季「次は負けねぇからな!!」
瀬奈「…………」
瀬奈は少しだけ驚いた。
怖がられると思っていた。
気味悪がられると思っていた。
なのに。
この少年は。
ただ、楽しそうに笑っていた。
瀬奈「…………」
四季「……瀬奈?」
瀬奈「……ばか。」
四季「はぁ!?」
瀬奈「……ほんと、ばか。」
四季「なんでだよ!!」
瀬奈「…………ふっ。」
ほんの少し。
瀬奈の口元が緩んだ。
四季「……あ!!」
瀬奈「……なに。」
四季「今笑っただろ!!」
瀬奈「……笑ってない。」
四季「笑った!!絶対!!」
瀬奈「……うるさい。」
けれど。
さっきより少しだけ、その声は優しかった。
🐾 5. 先生の疑問
職員室・午後5時。
無陀野「…………」
机に置かれた、鈴鹿瀬奈の資料。
そこには、最低限の情報しか記載されていなかった。
氏名:鈴鹿 瀬奈
所属:鬼機関戦闘部隊
階級:隊長
特記事項:鬼神の子・水属性
それ以外は、ほとんど空白。
無陀野「……妙だな。」
なぜ、これほどの実力を持つ少女が。
まだ学生であるにもかかわらず、隊長にまで上り詰めたのか。
そして。
なぜ、自分の力を隠そうとするのか。
無陀野「…………」
窓の外を見つめる。
無陀野「……鈴鹿瀬奈。」
(お前は、一体何を隠している……?)
その頃。
女子寮の自室。
瀬奈「……ちぃ。」
指先から落ちた一滴の血。
ぽふんっ。
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「……おいで。」
ちぃ「ぽふっ!」
小さな猫をそっと抱き寄せる。
瀬奈「…………」
瀬奈「……今日ね。」
ちぃ「ぽふっ?」
瀬奈「……変な人に会った。」
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「……負けたのに、また戦いたいんだって。」
ちぃ「ぽふっ!」
瀬奈「……ふふ。」
瀬奈「……ほんと、変なの。」
窓の外には、静かな月。
瀬奈「……明日は、いい日になるといいな。」
ちぃ「ぽふっ!」
――第2話 完。
🎬 次回予告!!
辛い過去。
冷たい言葉。
無陀野「今日は鬼機関管理下の旧訓練施設に向かう。」
瀬奈「え……」
瀬奈(いやだ、行きたくない……)
瀬奈「……っ、」
四季「お前、ここ来たことあんの?」
瀬奈「いや、来ないで、来ないで!!!!」
次回「閉ざされた記憶」
校外訓練で訪れることになった旧訓練施設。そこは、瀬奈が二度と足を踏み入れたくない場所だった。過去の記憶が蘇る中、瀬奈の血色解放『ちぃ』に異変が――?
「……やだ。そこだけは、行きたくない。」
コメント
1件
わあ、第2話「初めての実戦訓練、めちゃくちゃ良かったです…! 朝の機嫌悪いな瀬奈ちゃんと四季の明るさとのギャップ、もうたまらなくて…!訓練での四季を一瞬で倒した場面、痺れました。でも四季に「また戦いたい」って言われて口元緩んだところ、ほんの少しだけ優しくなった感じ、すごく好きです。最後のちぃとのやり取りも可愛くて瀬「変な人に会った」って、あ、ああいうさびらしい…。 四季が楽しすぎるの本当バカだなって思う、一番よかったです。 次回で過去が蘇るっていうのがもう気になります、校内訓練。いやです。