依存の愛、泡沫の愛、友情の愛。
全部散ってしまえば良かったのに。
「聖はこれ。千聖はこれ、蓮はこれ。」
指差したものを実行することは容易いことではなかった。
これから犯罪者のレッテルを貼られてしまう。
私たちは許されない子供たちなんだ。
「葉はどうするの?」
「俺は主犯格として傍観する。」
「分かった。親達は可哀想だね、でも私達も可哀想か。」
「俺たちだけで生きていくんだ。俺たちで生きて、俺たちで死ぬ。」
泡沫のような嘘を吐いて、結局は全員殺すのに何が生きていくなんだろう。
しね、おまえなんかしんでしまえ。
消えろ、消えろよ。葉なんて生きていなければ….
「じゃあ明日実行ね。」
3⁄14
「明日海さん、こんにちは。朝早いですね、別荘で勉強会なんて言っちゃ悪いですけど面倒くさくありません?」
「そうですわね。弘樹さん。二人で抜け出します?」
「ははは面白い冗談を言うなぁ。本気でしちゃおうかな?」
「え〜」
父親というより悪魔に近いこの人は葉のお母さんと不倫して堕ちていくつもりなのだ。
葉の視線が私に向けられると、それに答えるように私も視線を送る。
「お父様私皆とトイレ行ってきます。」
「おう、わかった。ゆっくり行ってきなさい。お父様達は部屋へと入っているから。」
「わかりました。」
品行方正で才色兼備、いかにも完璧、模範な娘が犯罪を犯したらこの人はどう思うのだろう。
ごめんなさい、お父様。
私は死にに行きます。
「ねぇ大丈夫かな。ガスと薬物コップに入れておいたけどさ….」
「大丈夫。千聖と蓮は予定通り押して。聖はまた別のやつね。」
「うん。」
世界は終わる。
私の人生の土台が崩れる音がした。
卑怯者というレッテルも貼られるのか。
カチッ
「きゃあああ!」
「な、なんだこれは…….!」
「し、死にたくない….」
大人の叫び声が聞こえてくる。
必死に耳に手を当て、震えながら葉を見た。
薄い笑いをして怪物の笑みをして。
どうせなら一緒に死ねばいいのに。
「ねぇ、葉、どういうこと?!!私達も苦しいんだけど….」
「お前も所詮裏切り者って事だったんだな…」
希望をどこかへ放り投げたように濁った瞳をする彼らを彼は嘲笑った。
「….俺は裏切ったわけじゃない。遂行しただけだ。自分の意思を貫くために。」
段々と彼らは崩れ落ち、やがてこの部屋には誰も居なくなった。
悲しみも辛さも嬉しさも何も感じなかった。
ただここを抜け出してしまいたいだけ。
私の方を振り返って葉は言った。
『やっと二人だね、聖。聖だけが俺の光だったよ。だから永遠と二人で生きよう。』
気付けば視界は真っ黒の何もない部屋だった。
本当になったのだ。世界は彼によって塗り替えられていく。
私を抱き抱える温もりだけが残った。
「…よう、好きだよ。」
「君への愛はそれぐらいなんだから。」
依存の愛、泡沫の愛、友情の愛。
全部私だけのものなら良かったのに。
コメント
16件
適当でこのクオリティは優勝レベル( 想いと愛の形が表されてて、お互い共依存なの良すぎるよ 😭✨ 久しぶりに共依存の作品見たけど圧倒的NO.1 🥺💘
共依存好きですめっちゃ好きです
所見です!!お友達になりたいです😻フォローしました