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22 - 第22話僕は僕だよ。君の知っている僕さ

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2022年10月23日

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私、まだ死にたくないわ。

君が死んだら俺だって悲しいさ。

そんなこと言わないでよ。

約束してよ。ずっとそばにいるって。

ああ、誓うとも。

俺は君のことが好きだからね。

だから死んじゃダメだよ。

わかっているさ。

私のために死んでくれるんでしょう? もちろんだとも。愛しているんだから。

私を愛してくれる人なんてあなたしかいないもの。

ねえ。あなたはいつまで生きていられると思う? いつかわたしのことを忘れちゃうんでしょうね……。

そんなものさ。忘れた方がいいこともあるんだぜ? だってもう会えないじゃない。それに、もしまた会えたとしても……きっと覚えていないわよね。

そんなことはないさ。おれはおまえのことをけっこう好きだし、これから先もずっと好きでいる自信があるぞ。

それじゃあ、もしもわたしがあなたを殺したらどうなるのかしら?それはね、きっととても美しいものになると思うわ。

そう言って彼女は僕に微笑みかけたんだ。……でも僕はそんなものは見たくないし欲しくもない。

だってさ、そのあとに残るのは何だと思う?

――死だよ。

だから君に殺されるわけにはいかない。

「ふぅん?」

僕の言葉を聞いた少女は不敵に笑った。

「それがあなたの答えなのね」

そうだとも。

「つまりあなたは自分の命の方が大事なのよね」

ああ、そうだ。

「自分が生き残るために、他人を犠牲にしても構わないと思っているのよね」

それでいいじゃないか。何を言っているんだ君は?

「あなたって本当に最低の男ね」

彼女は吐き捨てるように言うと、手にしていた槍を振りかぶった。

「だけど私はそういう人間が大好き!」

そしてそのまま躊躇なく振り下ろす。

その一撃を避けることもできたけど、あえて避けなかった。

避ける必要なんて無いからだ。

彼女の攻撃はそのまま僕の身体を貫いた。

しかし不思議なことに痛みは無い。

むしろ心地よいくらいだった。

「ごめんなさい。本当はこんなことしてあげたくはないのだけれど」

彼女は少しだけ辛そうな顔をして言った。

「私がこれからすることを許して欲しいとは言わない。恨んでくれても構わない。ただ君だけは忘れないで欲しいんだ……」

――『世界の終焉』より引用

「お前は誰だ?」

「僕は僕だよ。君の知っている僕さ」

「嘘をつくな!」

「嘘じゃないさ。証拠を見せようじゃないか」

そう言って男は懐に手を入れ、何かを取り出した。それは、古びてはいるが見慣れたもので……

「これは、俺の学生証!?」

「ああ、そうだ。これでも信じてもらえないか?」

「だが、そんなはずはない! 俺は確かにあのとき死んだはずだ!!」

「いいや、君は死んでなんかいないさ。こうして今生きている。ほら、ここにね」

男は学生証をヒラヒラさせながら、こちらに見せつけてきた。その仕草はふざけているようにしか見えないのだが、何故だろうか? 目の前の男からは、言い知れぬ威圧感を感じるのだ。まるで本物の死神のように。

「じゃあお前は一体……」

「僕は、君と同じ転生者さ」

「同じだと!?」

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