テラーノベル
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それは、いつもと同じ帰り道のはずだった。
でも__
少しだけ、空気が違っていた。
最近は、もうほとんどの人が君の存在に気づくようになっていた。
すれ違えば、避けられる。
話し声がすれば、振り向かれる。
“見えない存在”だった頃が、嘘みたいに。
ak「…すごいね」
?「何が?」
ak「普通に存在してる事」
少し照れくさそうに笑う君。
?「でも、まだちょっと怖い」
ak「怖い?」
?「うん。ちゃんとここに居られるのは嬉しいけど…」
君は、少しだけ目線を落として
?「これで全部変わったら、どうしようって」
俺は少し考えて、
それから、軽く笑った。
ak「変わったら変わったでいいんじゃない?」
?「軽いなぁ」
ak「今までもずっとそうだったし」
沈みかけの夕日が、2人を照らす。
少しの沈黙が流れ、
君が、ゆっくり口を開いた。
?「…ねぇ」
ak「ん?」
?「もう、いいよね」
その一言で、全てが分かった。
あの日、拒んだもの。
__でも、その前に。
俺は1歩前に出る。
ak「…先、いい?」
?「え?」
少しだけ照れくさそうに、でも真っ直ぐに。
ak「俺の名前、ちゃんと言えてなかったでしょ?」
君は、少し驚いた顔をした。
ak「俺の名前__」
一瞬、間をおいて。
ak「“あっきぃ”」
風が静かに吹く。
?「…そっか」
小さく、でも大切そうにその名前を受け取る。
?「じゃあ、あっきぃ」
その呼び方が、少しだけくすぐったい。
でも、嬉しかった。
俺は、少し笑って言う。
ak「今度はお前の番でしょ!」
君は、少しだけ息を吸って__
?「俺の名前は____」
ほんの一瞬、目を閉じて。
so「“しおん”、心に音って書いて心音」
その言葉が、空気に溶ける。
俺は、ゆっくりと、その名前を呼ぶ。
ak「__心音!」
その瞬間。
世界が、確かに繋がった気がした。
so「…ちゃんと、呼んでくれたね」
ak「当たり前でしょ」
少しだけ距離が縮まる。
ak「これからはさ」
「ちゃんと、名前で呼ぶね」
so「…うん!」
夕焼けの帰り道。
並んで歩く2人。
ak「ねぇ」
so「なに?」
ak「今日の俺は?」
少し考えて、soは笑う。
so「“名前で呼びたい人”!」
ak「それ、初めてだね」
so「まぁ、特別だから」
もう消える事はない。
名前なんかなくても、分かっていた。
それでも、名前を知り、名前を呼べるようになったこの距離が
とても嬉しく、ようやく同じ場所に並んだように感じた。
コメント
2件
やっと3話まで見ましたよ さいこーだね😘次も楽しみ💗💗