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続きなのだ
ダダダッ、……
ガタッ、
……
「…………」
少年を連れ屋敷に帰り、最低限のものだけ用意した有り合わせの部屋に寝かせてから
ぼーっと窓を眺めていた
時計を見れば、短い針は7を指していた
「…………はぁ、」
しばらくの間開いていただけで結局読むことが出来なかった本のページに溜息をかけて
しおりを挟んで本を閉じた
ガタッ、
数分前からドアの向こうで聴こえる小さな物音
きっと、あの少年が起きたんだろう
ピタッ、……
……
丁度扉の前で止まった音とともに、
頭の中で、ドアの前で戸惑っている少年の顔が浮かぶ
「…………」
まだ春とはいえ、日はもう沈みかけて暗いし廊下は比較的寒いだろう
……
きっと、
あの子も暗闇は嫌いだ。
私と同じで。
ギィッ、……
「ッ、!!」
ビクッ
ゆっくりと前の扉が開かれていく
僕は開けてない
中に人がいたんだ、
「…………ッッ、」
ぁ、ッ、……
ガチャッ、
「……!」
ギュッ
途端に明るくなる視界と、暖かい空気に
反射して目を瞑った
……
「……ぅ、……?」
目を開けると、木製のテーブルと椅子
アンティークな掛け時計に、整理された本棚が2つ
椅子にかけられたひざ掛け毛布と
使われていない暖炉が置かれた部屋
自身がいた部屋と言い、見慣れない雰囲気の色合いや飾りの部屋
後ろを振り向くと先程の暗い廊下が続いていて
僕に現実を見せた
殆どが木製で、飽きるほど見た岩石の素材は暖炉の一部分しか見つけることはできない。
「……、……?」
突発的に、目に入ったテーブルの上のマグカップに近付こうと足を動かした
いい香りがして、湯気がたっている
スッ…
「起きていたなら教えてくれたって良かったのに。」
!!
「ぅ、わッ、?!」
ビクッ!
ドンッ
いきなりドアの四角から現れた声に驚いたあまり赤色のカーペットの上に尻もちを着いた
「……ぁ、ッ、ッ」
ご、ごめん…なさ、ッ、
奮い立つ焦りと恐怖を前にして、掠れそうな声でようやく絞り出した言葉
目線を上にあげ、声の主を見ることさえ怖くて思わず俯いてしまう
「…………」
ビクビクと怯え、こちらに顔をあげない少年
やはりかなり他人に対しての嫌悪感が強いらしい
スンッ
少年の前にしゃがみ、涙目な目を拭おうと手を伸ばした
「……」ビクッ
ギュッッ
先程より強く目を瞑り、痛みが訪れるのを待っている
残念ながら、私は貴方の予想通りにはしないけど
!!……ッッ
伸ばされる手に逃げ場もなく視界を暗くする
スッ…
「……ッ、……ぅ、」ビクッ
落ちそうな頬の涙の粒を、細い指先が受け止める
じわりと滲むほのかな体温が、僕を安心させた
「………、驚かせたならごめん。」
思っていたよりも優しい声が耳に入ってきた
ゆっくりと目を上げて、目の前の人の顔を見る
「…………!」
長い黒髪と綺麗な赤の目
ロングワンピースにゆったりとしたカーディガンを身につけた女の人だった
「……、…」……💦
チラッ、
促されるまま、背もたれのある椅子に座ったは言いものの、困惑する僕を他所に女の人はカップの中に入っている飲み物を口に運び、窓に目を逸らして向かいに座っている。
あれから少しでも時間が経ったというのに、まだ湯気が上がっているのは、きっとカップに秘密があるのだろうか
「……」
名前、
名前は?
窓を眺めたまま、一瞬チラリとこちらに目をやり問われる
「!、ぁ、……」
えっと、……
口篭ったのは訳があった
“この金食い虫”
“まったく、……高値で落としたっていうのに、…………まるで醜い獣じゃないか”
脳内で何十億と再生されていくそれから、最古の呼び名を探し回る
今まで、名前を尋ねられることも無かったから、口に出すのは新鮮だった。
……
パラオ「ぱ、……パラオ、」
パラオ……、ッ……です、
……
「……パラオ、ね」
分かった。
数秒口篭った僕を不思議に思うように、視線を僕に向ける
この人は言葉にさえ含みはあるものの、まるで機械のように表情は変わらない
サァァッ、
それでも、風になびく綺麗な髪が僕の中でそれを否定した
パラオ「……、ぼ、僕、…」
その、ごめんなさい、……ッ
「……」
パラオ「勝手に、抜け出して、……」
部屋、……入っちゃいけないし、
使っちゃって、……ッ、僕、……ッ
か細く泣きそうな声で呟く
薄黄色の瞳からようやく涙が止まり、ヒリヒリと赤くなった目元がじんわりとまた潤っていくのを見た
「……」
この子は、なにを持って自分が悪だと感じているのだろう?
ふぅ、……
浅く息を吐き、手に持っていたカップをコースターの上に置く
下を向き、ぴんと太ももに手のひらを着いて申し訳なさそうに座っている
まるで罰せられることを分かっているように罵声を浴びる用意をしているようだ。
日帝「……私は日本帝国。」
それと、君が最初にいた部屋へは、私が運んだんだ
パラオ「ぁ、……、に、日本……てい、?」
日帝「……そう。」
だから気にしないで。
ね?
パラオ「!、…ッ…は、い、……」
日帝「……」
それと、廊下の明かりは付けとくから
戻って着替えてきなよ。
パラオ「……ッ、」ビクッ
……
はっ、……笑
不潔ったらありゃしないわ~!笑
ほんっと笑
クスクス、……
!!
ご、ごめんな……さッ、
日帝「その服じゃ風邪ひくから」
ね。
ヒラッ、
バタッ
行くときは怖かったけど、あかりがある分見違えるほど行きやすくなった廊下
明かりを頼りに部屋に戻って、クローゼットを開ける
パラオ「……ぁ、」
中には、ハンガーに掛けられた子供用の服
絵の具のようにまっすぐに白く、柔らかくてほのかに花の香りがする。
興味本位でに顔を埋めてから、頭にはあの人が浮かんでくる
あの人はにってい……?というらしい
僕を買った新しい人
少し怖いけど……、いや、
よく分からない
優しい人……なのかもしれない
でも、今の僕には、
それが水溜まりなのか、深い海なのか
見分けることは出来ない
そんな簡単なことすらも
僕はできなくなっちゃったんだ
暫く壁に寄りかかって、そう考えていた
おかえりん
パラ日帝ってマイナーなんかな
意外とメジャーなイメージがあったんだけど
いいね溜まり次第書きます、では!