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#三角関係
霞花怜
1,066
#イラスト部屋
寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
695
柔らかな午後の光が差し込む居間で、柊吾は瑞樹の淹れてくれた紅茶を前に、ぼんやりとカップを見つめていた。
真理子はデイサービスへ出かけ、久しぶりに訪れた二人だけの時間。本来なら、こうして向かい合っているだけで胸が甘く弾むはずだった。
けれど今の柊吾の頭の中には、あの封書の文字がこびりついたまま離れなかった。
『あの録音があったところで、こっちは何も怖くない』
翔が置いていった脅し文句。あれ以来、次に何か仕掛けてくるのではないかという不安が、頭の片隅にずっと居座っている。
「――柊吾さん」
「――っ、は、はい!」
不意に名前を呼ばれ、柊吾は跳ねるように顔を上げた。
「今、俺が何を言ったか覚えていますか?」
「え、えっと……」
しどろもどろに視線を泳がせる柊吾に、瑞樹はカップをソーサーへ置きながら、小さく苦笑を浮かべる。
「さっきから、心ここにあらずですね。……もしかして、まだあの手紙のことを気にしていますか?」
図星を突かれ、柊吾の肩がびくりと跳ねた。
「あ……その、はい……。あれ以来、また何かしてくるんじゃないかって、つい……」
正直に打ち明けると、瑞樹はふっと目を細め、なんでもないことのように静かに微笑んだ。
「心配しなくても、あの人たちはもう何もできませんよ」
あまりにも自然で、迷いのない言い方だった。
「……え?」
「柊吾さんが気に病むようなことは、何もないということです」
にこりと笑うその表情には、いつもの穏やかさ以外、何の影も差していない。それなのに、柊吾の背筋にぞわりとした違和感が走った。
(……なんで、そんなに言い切れるんだ? そもそも、僕、黒瀬さんに手紙のこと話したっけ?)
根拠のない気休めを言うような人ではない。むしろ、瑞樹は昔から驚くほど的確に、先回りして物事を片付けてしまう人だった。翔をあっという間に組み伏せたあの日のことも、脳裏をよぎる。
「黒瀬さん、もしかして――」
問いかけようとした、その時だった。
ピンポーン。
インターホンの音が、静かな部屋に響いた。
「……はい?」
首をかしげながら玄関へ向かい、ドアを開けた柊吾は、そこに立つ二人の姿を見て言葉を失った。
真っ青な顔をした叔父と、その隣で借りてきた猫のように縮こまっている翔。
「……柊吾くんっ」
ドアが開いた瞬間、叔父が縋るような目つきで声を絞り出してきた。額がドアの枠にぶつかるほどの勢いで、深々と頭を下げてくる。
コメント
1件
あっ、かんなさんの新作…!タイトルからもうドキドキする…🤍 瑞樹さんの「もう何もできませんよ」って、笑顔で言い切るのがめっちゃ不気味で、でもカッコよくて…柊吾さんが気づいてない何か知ってる感じがたまらないよね。最後の叔父さんと翔の登場で一気に空気変わったし、続きが気になりすぎる…また読みに来ます🌙