翌朝、黒鴉劇場は跡形もなく焼け落ちていた。
報道では“爆発事故”とされ、真相を知る者は誰もいなかった。
だが――
港のカフェで新聞を広げる一人の男がいた。
相沢蒼。
カップの底に、小さな刻印が見えた。
「MARI Ⅱ」
彼は静かに微笑み、コートを羽織って店を出た。
その背中を、霧の向こうから見つめる影がひとつ。
「やはり……“終わり”ではないのね。」
その声は――篠原怜司のものだった。
霧が街を包み、また新たな“幕”が上がろうとしていた。
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