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読み終えたわ。もうね、朱雀のブレーキ完全にぶっ壊れてて草生えたわ。魂の交わりってやつ? あれのせいで距離感がおかしくなってるの、めっちゃ分かる。でも煌が全力拒否してるのに「照れ隠しも可愛い」って返すの、ちょっとズルいわね。笑ったのは燕花の真顔の早トチリよ。「大人の関係」って言い出したときの煌の顔見たかったわ……赤面フラッシュバックもめっちゃ分かって面白かった!
――あれから、数日後。
仙煙草の毒がすっかり抜けて元気になった朱雀を筆頭に、宮殿はいつもの騒がしい日常を取り戻していた。
流石に、敵と通じて主神を殺しかけた静遠を神官長としてそのまま置いておくわけにはいかず、彼の地位は完全に剥奪。
「私は騙されただけで……悪霊を払おうとしただけで……っ!」と最後まで涙目で訴えていた静遠だったが、情け容赦なく、二度と都へは戻れない超過酷な「辺境の地」へと飛ばされることになった。ある意味、命があっただけ大甘の処分である。
一件落着して、すべては元通りになった。
――なったはずなのだが。
「なぁ、煌。今日の髪型もとても愛おしいな。少し触れても良いか? いや、むしろ抱きしめても?」
「寄るな、触るな、話しかけるな! 以前にも増してベタベタしてくんじゃねぇよ、鬱陶しい!」
「ふふ、照れ隠しをするお主も可愛いぞ」
「人の話を聞け!!」
魂の交わりを経て、完全に心のブレーキがぶっ壊れた朱雀は、隙あらば煌との距離を詰めてこようとする。煌が全力で拒絶しても、当の朱雀は幸せそうに微笑んでいるだけなので全く効果がない。
「ガハハ! 相変わらず賑やかでいいなぁ!」
そんな二人を余所に、白虎は当然のような顔で縁側に座り込み、煌が作った昼飯の唐揚げを美味そうに口へ放り込んでいた。
「おい異界の巫女、今日のメシも最高に美味いぜ! 毎日でも食いに来てやろうか?」
「お前はしょっちゅう遊びに来てタダ飯食ってんじゃねぇよ! 食費請求するぞ!」
ツッコミどころが多すぎて頭が痛くなってきた煌は、近くでお茶を淹れていた燕花に向かって、縋るように両手を広げた。
「おい燕花、頼むからこいつらのこと何とかしてくれ! 特にあの過保護な鳥! 距離感がバグっててマジで鳥肌立つんだけど!」
助けを求めた煌に対し、燕花はトレイを胸に抱え、それはそれは嬉しそうににこにこと微笑んだ。
「いいじゃないですか。お二人は身も心も結ばれた運命の番(つがい)なのでしょう?」
「は? いやいや、何言ってんだ。身も心もとかキモイ事言ってんじゃねぇぞ」
煌が心底嫌そうな顔で一蹴すると、燕花は「あら?」と不思議そうに首を傾げた。
「え……? だって、伝承ではセンチネルである朱雀様の暴走を浄化するには、神子様と深く結ばれる必要があると書かれておりますし……現に炎は消えました。てっきり、あの炎の渦の中で、その……大人の関係を結ばれたものかと……」
燕花の大真面目な解説を聞いた瞬間、煌の脳裏に、あの精神世界での「衝動的なキス」の記憶がフラッシュバックした。
顔が一瞬で真っ赤に沸騰する。