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そのために私が何をするのか。答えは至ってシンプル。特別な事を何一つとしてしない。既に先程、私は玲奈にとっての失敗へ、あえて分かりやすくした嘘で釣った。
そこまで行けているのだから、やり方は出来ている。後は彼女がそのくだらないプライドのために、私へ銃弾を放ってくれれば良い。どうせ、その間には防弾ガラスがある。そうすれば、玲奈はいずれ弾切れを起こす。
その屈辱を与えてやるのだ。
「まあ、実際。言葉を選ばずに言えば、晃一はかなり失敗を恐れる性格ですから。慎重と言いますか……優柔不断と言いますか……」
あえて悪い印象の言葉を並べる。玲奈の食事を進める手が遅くなる。
「ですが。誰しも、そういうところはあると思います。晃一さんは優秀ですよ。確かにもう少し挑戦的になっても良いのかもしれませんが、同じミスを三度繰り返した事は一度もないんです」
「本当ですか……? 以前、本人は期待に応えられていないと言っていましたし、それに――
この前に訪ねた方は『晃一の無能っぷりには苦労している』と仰っていたのですが……」
「ふざけないでください!」
テーブルが揺れ、カタカタと音が鳴った。立ち上がると共に叫んだ玲奈は、それに溜め込んでいたものを注いだようで、息を切らしている。
……驚いた。まさか、ここまでのバカとは。
性格上、玲奈は無駄を嫌う。だから、あえて向こうも嘘と分かっている人間が言ったという体にして、晃一を貶める言葉を吐いてみた。その無駄な手間が、彼女にはアクセントになると思ったからだ。
結果どうだろう。玲奈はその負けず嫌いから、思考を放棄し、感情に身を任せ始めた――なぜ、この女はここまで必死になれるのだろう。