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「……返してっ」
愛梨が必死に手を伸ばすが、海里は軽々とかわし、画面に並ぶ佑真の執着を平然と読み下した。
「『謝れば許してあげる』……? ははっ、何これ。ウケる。加害者のセリフじゃないっすよね、これ」
海里の声は、嘲笑というよりも、純粋に気味の悪いものを見た時のような軽蔑を含んでいた。
「勝手に見ないで! あなたには関係ないでしょ……!」
「関係ありますよ。俺、さっき先生に提案したじゃないですか。復讐の手伝いをするって」
「だから、そんなの無理だって……っ」
「無理じゃない」
海里はスマホを愛梨に返す代わりに、彼女のすぐ横の机に片手をつき、逃げ道を塞ぐように身を乗り出した。至近距離で見つめられると、彼の瞳の奥にある真っ直ぐな意志に、思考が麻痺しそうになる。
「先生。あんたがここで一人で震えてても、その男は助けてくれない。むしろ、あんたが弱れば弱るほど喜ぶタイプでしょ、こいつ」
海里の言葉は、愛梨が最も認めたくなかった事実を、容赦なく抉り出す。
「……だったら、見せつけてやりましょうよ。あんたがいなくても、俺はこんなに幸せだって。……俺と組みません?」
海里は、まるでおとぎ話の悪魔のような、魅惑的で不敵な笑みを浮かべた。
「先生、さっき職員室で挨拶してた時も、今も、ずっとそうやってニコニコして。……心の奥では何考えてんのか分かんないっすね」
愛梨の心臓が、ドクリと嫌な音を立てた。図星だった。
「……それは、仕事なんだから当然じゃない」
「いや。あれは、誰にもこれ以上踏み込まれたくないっていう拒絶の顔だ。前の学校でも、そうやって笑って誤魔化してたんですか?」
海里はスマホを机に置くと、少しだけ身を引いて愛梨を観察するように目を細めた。
「うちは男子校で、女子が身近に居ないから。先生が来ただけでみんな色めきだってますよ。そんな危うい顔してたら、そのうち変態な生徒に狙われますよ。……いっそのこと、俺と付き合わない?」