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世界線/チェンソーマン
主人公 /女。
補足 /原作の登場人物はほぼ出ない。救い少なめ。愛されじゃない。文学より。
夢を見ている。ずっと。上手くいかない。夢の中。
序章ー 雨。私は白鳥を見た。ー
小さい頃からデビルハンターに憧れていた。理由は簡単。美しいと思ったから。
悪魔が街を襲う。私は悪魔の前で立ちすくむ。死を悟り、目を強く瞑る。数秒。数十秒。目を開ける。背の高い女性が目の前に立ち尽くし。血だらけの悪魔を見つめる。ただ。じっと見つめる。
美しくて、儚い。数十分。時が止まったかのように。雨だけが降っていた。
夢を叶えたのは悪魔と契約してから。あの日見た女性はもう居ない。
雨が降りやまない夜。公園のベンチに座り、池を眺めた。ただ一点。スポットライトが当たったかのように。白く輝く美しい羽が見えた。けれど。羽の持ち主は悪魔であった。天使の悪魔。彼はこちらに振り向き、奥へ消えていく。
雨。私は天使を見た。
それは幻想であったか。はたまた現実か。私は天使の悪魔に会うことはなかった。
第一章 ー赤い花が咲き乱れて。ー
悪魔を倒す。後方支援。通信機から一言。「増援要請。」私は走る。息を切らして。走る。心が落ち着かなくて。走る。悪魔の声だけが大きくなる。水溜まりの様に一点に集まる血。飛び散る血肉。
赤い血が飛び乱れて。私は立ち尽くす。
ただ。じっと見つめる。数十分。私だけ。時間が止まったように。
赤い血が靴を汚す。誰かの腕が足元に落ちる。
悪魔がこちらを見る。ニタリと笑い。手を振りかざした。
目を瞑った瞬間。頭に血がつく。ここにあの人はいない。
夢を追いかけた。夢を追いかけて得たのは悪夢だった。
悪魔と契約した。初めての代償は左手の人差し指、第一関節。
美しい芸術品のようだった。
人間と悪魔の共同作。私はそう呼んだ。
初めての協力。人間の血と悪魔の血。混ざることのない仲。
高層ビルが太陽を隠し。私は空を見上げる。
太陽すら届くことのないこの場所で。私は過去をみる。
第二章ー文字に隠れた。私は余白にいて。ー
小学生の頃。将来を書いた文章を読み上げる。
「わたしのゆめはでびるはんたーになることです!」自信満々な笑顔に返されるのは不器用な笑顔。「りゆうは、きれいだからです!わたしは、でびるはんたーになって、たくさんのひとをたすけて、きれいになりたいです!」あの人は沢山の人を救ったから美しく見えた。そう信じて疑わなかった。「わたしは_」誰かが私の肩を叩く。「……発表は終わりましょう。もう時間がありません。」教師が困った顔で私に言った。時計の読めない私は信じて疑わなかった。
「でびるはんたーはこわいひとたちだよ?ままがいってたよ!」友達の言葉が嘘に聞こえた。美しさを信じて疑わなかったから。「でも、わたしのこと、たすけてくれたよ?」「うそ!うそつきはどろぼう!ままはうそいわないもん!」それでも動かなかった。私の純粋で単純な心は。
第三章
ーしゃぼんの花匂。私はやぶれて消えて。ー
目を開ける。更なる増援がやってくる。悪魔と人間の後処理。私は運ばれる。
病室のベッド。白さが増していた。
しゃぼん液と吹き具。看護師が独り言のように喋る。「患者さんの精神を保つため、私が勝手にやっていること。」
吹き具を手に取る。懐かしい形。窓を開け、しゃぼんを吹く。花壇に咲く花の匂いと。しゃぼんの虹色。上へと飛ぶしゃぼんを眺める。虹が揺れて。しゃぼんは屋根まで飛ばず。破れる。落ちゆく原液に手を伸ばし、手を濡らす。人差し指はどこか物足りない。
第四章ー独白。私は独り声を出し。ー
見舞人が来ない代わりに。看護師が来る。「……ご両親からです。」白い紙袋。中には一枚の紙。
「聞いて貰えませんか。」初めて発した言葉。看護師は驚き。頷く。
かつて。信じて疑わなかった私へ。
「私の夢はデビルハンターになることです。理由は綺麗だからです。私はデビルハンターになって沢山の人を助けて、綺麗になりたいです。」平仮名で綴られた余白のある文章。「私はこの前、デビルハンターである、女の人に助けられました。その時から心に決めました。私はデビルハンターになると。私は綺麗になりたいです。いつか絶対に、あの人よりも綺麗になりたいです。」看護師は何も言わず、小さくあいずちを打つ。
余白に綴られた。教員からのメッセージ。
「良い将来の夢です。
貴方の心がどうか変わりませんように。」
漢字で書かれた評価。かつて。私には読めなかった評価。
私は見えない前を真っ直ぐ向いて。ただ願う。
美しくありたいと。
END _ ー未来より。私は生きる。ー