テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(数日後の放課後・教室)
男子クラスメイト:「あ、ルナちゃん!これ、親戚から送られてきた高級な『はちみつ飴』なんだけど……一個食べる?」
ルナ:「えっ!はちみつ!?……食べたーい!!」
ルナの紫色の髪がふわっと揺れて、猫耳がピンと立つ。
目をキラキラさせて飴に手を伸ばそうとした、その時――。
ハルト:「おい、ルナ。……それは受け取んな」
後ろから低い声がして、ハルトがルナの首根っこを軽く(でも優しく)掴んで引き寄せた。
ルナ:「ふぇ? なんで? ハルト、はちみつだよ!?」
ハルト:「……知らない奴から物もらうなって言ってんだろ」
男子クラスメイト:「え、俺同じクラスだけど……」
ハルトは男子生徒をちょっと睨むと、自分のカバンから小さな小瓶を取り出した。
ハルト:「ほら。……こっちの方が、美味いぞ」
ルナ:「……! それ、ハルトが昨日言ってた『特製レモンはちみつ』!? くんくん……すごいいい匂い!」
ルナは飴のことなんてすっかり忘れて、ハルトの瓶に釘付け。
その様子を見て、男子クラスメイトは苦笑いしながら去っていった。
(誰もいなくなった教室)
ルナ:「んむ……はふぅ、やっぱりハルトのはちみつが一番だねぇ」
幸せそうにスプーンをなめるルナを見て、ハルトがボソッと呟く。
ハルト:「……当たり前だろ。お前のはちみつは、俺が用意するって決めてんだから」
ルナ:「え? なんて言ったの?」
ハルト:「……なんでもねーよ。……あ、お前、また口についてる」
ハルトはため息をつきながら、指でルナの唇の端についたはちみつをそっと拭った。
そのまま指を離さず、ルナの紫色の前髪をかき上げる。
ルナ(急に心臓がドキドキして):「ハ、ハルト……?」
ハルト:「……食べ物につられて、変な奴について行くなよ。分かったか?」
ルナの猫耳が、熱くなって真っ赤に染まる。
はちみつよりも甘くて熱い、放課後の二人きりの時間。
つづく
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!