いつのまにか眠ってしまったらしい。
朝目覚めると、俺の体には、小さな毛布がかけられていた。
「…おはよう、フリード」
「あ…?あぁ……」
よくわからないまま返事を返すと、ナリアはバツが悪そうな顔をして尋ねた。
「…風邪、ひいてない?」
「平気さ」
そばに駆け寄ってくれたナリアの頭を撫でてやると、安心したような顔をして微笑んだ。
「…じゃ、早く此処を出るわよ。店主さん、待たせちゃってるのよ…」
「あぁ…片付ける」
「荷物はまとめておいたから。さっさと出るわよ」
こうして俺らは宿屋を後にした。
帰り際に店主の娘は「また来なよ!」
と見送ってくれた。
黒いすすの舞うこの街を無謀ともいえるこの人探しをこれから何日続ければいいのやら…
考えるだけで気が滅入りそうだ。
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