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痴漢です。満員電車です。R18です。
通勤快速の車内は、湿った熱気と澱んだ空気に満ちていた。
スズメはドア横の狭いスペースに追い詰められ、逃げ場を失っていた。普段の彼女なら、壁を蹴り、人の頭上を跳んで脱出することなど造作もない。しかし、今は極秘の潜入任務中。目立つ行動は、一族の破滅を意味する。
ボーイッシュに整えられた短い髪、凛とした切れ長の瞳。其の全てが彼女の美しい「女」の曲線を描いていた。
(……っ、この、不快な……)
背後にべったりと張り付いた、巨大な肉の塊。
饐えた体臭を放つ中年男の腹が、スズメの細い腰に、逃げられないほどの圧力で押し付けられている。男の荒い鼻息が首筋に吹きかかるたび、スズメは総毛立つような悪寒を覚えた。
だが、地獄はこれからだった。
電車の不規則な揺れに乗じて、男の脂ぎった手が、スズメの太腿の付け根にじわりと触れた。
「……っ!? ……やめ、て……」
スズメは低く、鋭い声で拒絶した。しかし、男は止まらない。むしろ、彼女が声を荒らげられない弱みを握った確信からか、その指先は蛇のように這い回り、ズボンの布地越しに、最も敏感な「聖域」へと執拗に食い込んでくる。
「っ……あ、が……っ!!」
スズメの身体が、ビクンと大きく跳ねた。
忍として鍛え抜かれた彼女の神経は、あまりに純度が高すぎた。男の汚らわしい指が、柔らかな肉を捏ね、押し潰すたびに、脳には「嫌悪」を遥かに凌駕する「強烈な刺激」が叩き込まれる。
「ほおら、お兄さん……いや、お姉さんだったんだな。こんなに身体を震わせて……」
男が耳元で下卑た笑い声を漏らす。
スズメの顔面は、屈辱と羞恥で真っ赤に染まった。
常にクールで、誰よりも高く飛んでいたはずの彼女が、今、公共の場で、誰にも気づかれぬまま醜悪な獣に汚されている。
男のもう片方の手が、スズメの薄い胸元へと滑り込んだ。
サラシで固く締め上げられたはずの場所。しかし、男の強引な指先はその隙間に割って入り、未成熟でいて確かな「女」の膨らみを、容赦なく握り潰す。
「ひ……っ、あ…………っ、あああああぁぁっ!!」
スズメの口から、ついに我慢しきれない、甘く高い悲鳴が漏れた。
彼女は必死に、空いている方の手で口を覆う。だが、指の間から溢れ出すのは、過剰な刺激に脳がショートした、獣のような喘ぎ声だった。
切れ長の瞳は涙で潤み、視界は真っ白に弾けている。
(ダメだ……。やだ……。僕は、っ……。こんな、奴に……っ!!)
心の中で叫ぶが、身体は正直だった。
男の湿った指が、スズメの身体の奥深くを、布越しに執拗に突き上げる。
一回、二回……揺れに合わせて繰り返される卑俗な暴力。
そのたびに、スズメの腰はガクガクと砕け、吊り革を掴む指は、白くなるほど力を込めて痙攣した。
「は、っ……は、あ……っ! ひ、っ……あ、ああああ!!」
ついに、彼女の身体は限界を迎えた。
ガタン、と電車が大きく揺れた瞬間、男の指が「それ以上」を侵犯する。
スズメの瞳から光が消え、白目を剥き、首筋に青筋が浮かぶほどの衝撃が彼女を貫いた。
膝の力が完全に抜け、男の巨大な腹に寄りかかるようにして、スズメは無様に果てた。
顎は力なく下がり、口角からは一筋の唾液が滴り落ちる。
ボーイッシュな彼女の凜々しさはどこへやら、そこにあるのは、ただ過剰な快楽と屈辱に打ちのめされ、汗と涙でぐちゃぐちゃに汚された「一人の女」の顔だった。
「……ひ、っ……は、はぁ……っ、は………………」
電車の扉が開く。
乗客たちが何事もなかったかのように降りていく中、スズメは震える足を支えることもできず、ただその場に崩れ落ちた。
自分の股間を伝う不快な熱と、男が残した饐えた匂い。
彼女のプライドは、朝の通勤ラッシュという日常の濁流の中で、完膚なきまでに蹂躙され、砕け散っていた。
意識が遠のくほどの屈辱の中、スズメは辛うじて開かない瞳を上げた。
男が去った後の静寂。いや、車内は依然として騒がしいはずなのに、彼女の耳には自分の激しい鼓動と、濡れた下着の不快な感触だけが大きく響いている。
(……逃げなきゃ……早く、ここから……)
震える膝に鞭打ち、崩れ落ちた体を立て直そうとしたその時。
斜め向かいの座席に座る、一人の男と目が合った。
男は無表情だった。ただ、その手にあるスマートフォンは、不自然な角度でスズメに向けられている。
——カシャッ。
小さく、だがスズメの鼓膜を鋭く切り裂くようなシャッター音が響いた。
「っ……、あ……」
スズメの心臓が、氷水をかけられたように冷たくなった。
男の画面には、今まさに、涙と鼻水に汚れ、情欲と苦痛に顔を歪ませて腰を抜かしている、無惨なスズメの姿が鮮明に映し出されていた。
「……消せ……。今すぐ、それを……消せ……っ!」
絞り出すような声。だが、男は冷笑を浮かべ、指先で画面を操作する。
「消す? 冗談だろ。こんな『いい顔』したボーイッシュな美少女、滅多に拝めないからな。もうSNSにアップし始めたところだ」
「なっ……!?」
スズメの頭の中が真っ白に染まる。
自分のこの無様な姿が、デジタルという名の海に放たれ、永遠に消えない刺青のように世界中に晒されていく。
ヨダカに見られたら? 一族の者に知られたら?
忍としての誇り、積み上げてきた信頼、すべてがたった一枚の画像で、泥の中に叩き落とされる。
「やめて……。お願い、それだけは……っ」
プライドを捨て、スズメは男の足元に縋り付こうとした。
しかし、過敏になった身体はまだ言うことを聞かない。ガクガクと震える指先が、男の靴に触れる前に空を切る。
男は立ち上がり、スズメを見下ろしながら、さらに動画モードを起動させた。
「もっと鳴いてみろよ。さっきみたいにさ。そうすれば、今の写真は消してやらないこともない……かもな?」
レンズが、スズメの濡れた股間から、屈辱に震える唇、涙でぐちゃぐちゃになった瞳へと、舐めるように移動していく。
スズメは、レンズの向こう側にいる「数え切れないほどの視線」を想像し、激しい戦慄に襲われた。
実体のある男に触られるよりも、この冷たい硝子の瞳に、自分の魂まで透かされるような恐怖。
「は、ひ……っ、あ……ぁぁ……っ」
カメラを向けられているというだけで、先ほどの強制的な快楽がフラッシュバックする。
撮られている。
汚されている姿を、何度も、何度も再生される。
スズメの美しい顔は、もはや恐怖と羞恥で崩壊し、レンズに向かって縋るような、情けない表情へと変わっていく。
「あ……あ、ああ……っ。……撮ら、ないで……っ。見ないで……っ!!」
彼女の絶叫は、電車の発車ベルにかき消された。
世界から切り離された密室の中で、スズメの尊厳は、デジタル信号へと変換され、二度と戻らない闇へと流出していくのだった。