テラーノベル
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数日が過ぎた。
最初こそ反発していたギザルムだったが。
慣れとは恐ろしいものである。
天界の街を散歩し。
天使たちと顔見知りになり。
時には子供たちに撫でられる。
そして。
「動くな」
「……」
セフィロスによるブラッシングを受ける。
黒い毛並みを丁寧に整えながら、
セフィロスは満足そうに頷いた。
「良い毛艶だ」
「だから私は猫じゃないと言っているだろう……」
「だが猫だ」
「猫だが!!」
ギザルムは頭を抱えた。
そんなある日。
自室で寛いでいた時。
ふとギザルムは呟いた。
「なあ」
「なんだ」
「人型にはできんのか……」
セフィロスが本から顔を上げる。
「人型か」
少し考える。
そして。
「できるな」
「できるのか!?」
ギザルムが立ち上がった。
もっと早く言え。
本気でそう思った。
セフィロスは椅子から立ち上がる。
そしてギザルムへ手を翳した。
神力が溢れる。
黄金の光。
暖かな輝き。
「――――」
ギザルムの身体が包まれる。
猫の身体が伸びる。
四肢が変化する。
魔力が再構築される。
魂の形すら書き換えられていく。
やがて。
光が消えた。
「おお」
セフィロスが感心したように言う。
ギザルムは自分の手を見る。
指がある。
腕もある。
ちゃんと人型だった。
「戻った……」
思わず呟く。
数日ぶりの人の身体。
違和感はあるが確かに人型だった。
長い黒髪。
整った顔立ち。
黄金の瞳。
かつての自分とは少し違うが。
確かに人間の姿である。
「やった……!」
久々に喜んだ。
だが。
ふと違和感を覚える。
頭が重い。
腰も妙だ。
触れてみる。
耳。
柔らかな獣耳。
さらに後ろを見る。
黒い尻尾。
「……」
「……」
「残っているのだが?」
「残した」
即答だった。
「なぜ」
「似合うから」
「そんな理由で!?」
セフィロスは真面目な顔だった。
全く冗談を言っている様子がない。
「可愛いぞ」
「可愛いを求めていない!!」
ギザルムは叫んだ。
しかし。
その時。
鏡に映った自分を見て固まる。
黒髪。
金色の瞳。
黒い猫耳。
黒い尻尾。
妙に整った容姿。
「……」
少しだけ。
本当に少しだけ。
似合っている気がした。
それが悔しかった。
セフィロスはギザルムの瞳を見る。
「金色になったな」
「そういえば」
以前は違ったはずだ。
セフィロスは頷く。
「神の祝福だ」
「祝福?」
「私の使い魔だからな」
当然のように言う。
「神の加護が流れている」
ギザルムは目を瞬く。
「だから金色なのか」
「うむ」
「そんな簡単に神の加護を与えていいものなのか?」
「問題ない」
「本当に?」
「私が許可した」
「そういう問題ではない気がするのだが」
その時。
扉が開く。
入ってきたのはルシファーだった。
「セフィロス様――」
そこまで言って固まる。
人型になったギザルムを見る。
黒髪。
金眼。
猫耳。
尻尾。
そして。
神の祝福。
ルシファーは数秒沈黙した。
「……」
「……」
「なるほど」
「何がだ」
「完全にセフィロス様の眷属ですね」
「やめろ」
「見れば分かります」
「やめろと言っているだろう」
ルシファーは苦笑した。
天界の誰が見ても分かる。
金色の瞳は。
最高神の祝福を受けた証。
もはやギザルムは単なる魔族ではない。
セフィロス直属の眷属。
それもかなり特別な立場になっていた。
当の本人だけが。
まだその重大さを理解していなかった。
コメント
1件
読み終わりました!ギザルムがやっと人型に…!と思ったら、猫耳と尻尾が残ってて笑いました(笑)「似合うから」って残したセフィロス、絶対確信犯ですよね。鏡の自分をちょっと認めちゃうギザルムも可愛かったです。最後のルシファーの苦笑いも含めて、眷属感がじわじわ染みてくる良い回でした🖤
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