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#ダーク
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プロローグ
小さな村の小さな教会。参列する人は、数名だけ。長年良くしてくれた人たちを集めて、小規模な式をあげた。王都に戻れば、私達の噂が響き渡っているでしょうね。だって、『悪女』と名高い令嬢と皇子の結婚ですもの。
誰にどう言われてもいい、私には分かってくれる人がいる。以前のように、愛されず嫉妬に、寂しさに狂った私じゃない。愛する人が隣にいる、こんなに素敵なことはない。
帝国1の悪女、エレノア・フォン・ローゼマイヤー。侯爵家の出自で、名家の出自である母、アレクサンドラと父、マクシミリアンの娘である。
つまり、誰もが認めざるを得ない純血の貴族だ。
エレノア・フォン・ローゼマイヤー、その名は、帝国に知れ渡っている。忌まわしき、私の名だ。
何度、この名を恨んだことだろうか。この、ローゼマイヤーという名が、あの男と同じ名だと言うことが、忌まわしい。
第一章
母は、可哀想な人だった。私が生まれてすぐ、父が過労により持病が悪化して亡くなり、父の両親は母にあたった。母の両親も、生まれた子が女だったから、と跡取りを作るために婿を取れ、と催促した。
それが、出産の後の心身の不安定な状態を悪化させたのだろう。母は、気を病んだ。私が3歳の時だった。
そこから、引きこもりがちになった母は、世話係の侍女とすら、あまり会話をしなくなった。
「おかあさま!なぜ、おへやから、でないのですか?」
幼い私は、気がきくわけもなく、何度も母の部屋に行った。母からの返事はいつもなかった。
1年後、母の両親は新しく婿を迎えさせた。母より少し年下の男。私の義父となる彼は、形だけの婿だった。いつも、家にはおらず、我が家に活気が戻ることもなかった。
物心ついた頃、義父は新しく母とは違う、他の女性を我が家に向かい入れた。その女性は、衰弱し切った母の代わりに私の世話をする、とのことだった。だが、本当は義父が居ないのを知り、男を幾度となく連れ込むような、最悪な人だった。
10歳の時、私は大人達の話、私を見る目に、哀れみが多く入っている事に気がついていた。
ーあぁ、そっか。私が、誰からも愛されてないから。
父は病死、母は衰弱していて、義父、そして義母も私を愛しているようには見えない。
6歳の時に、侍女の人が言っていたのは、こう意味だったのね。
「エレノア様、お辛くはないのかしらね。」
辛くないのか…?
辛くないように、寂しくないように見えてるの?
貴方達が、その感情を矯正したのに?
「エレノア様!泣いてはいけませんよ、淑女として、弱みを見せてはいけませんわ。」
私は、弱音を吐くことも、泣く事させも、認められなかったのよ?
ねぇ、なんで?なんで?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
なんで?
この時、私は悪女の道へと自ら、歩んだのだろう。
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