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念のためと、先輩は一応家に連絡を入れていた。相手はどうやら母親らしい。お父さんに連絡するよりは話が通じるからと、先輩は言っていた。
少しして先輩は眠った。
俺は先輩の寝顔を眺めていた。可愛い。天使すぎる。
ぼうっとしていれば、俺は眠気に襲われていた。……今日一日の疲れが一気に押し寄せてきたようだ。少し仮眠を取るか。
床に寝っ転がり、俺はまぶたを閉じた。
* * *
――ぼうっとした頭のまま俺は起きた。……やっべ、寝過ぎた。
今何時だ?
スマホで確認すると『三時』とあった。――えっと、これって午前三時ってことだよな……? 外を見ても真っ暗だ。
しまった。仮眠どころか、ぐっすり眠ってしまった。疲労が相当溜まっていたようだな。
先輩は……?
ベッドを確認すると姿がなかった。
……体調が良くなって帰ったのかな。
置手紙みたいなのもないし、ラインにも連絡はない。……まあ、さすがに帰ったんだろうな。
仕方ない。
二度寝は出きなさそうだし、俺は風呂へ向かった。
深夜の風呂は新鮮だし、ちょっと特別感があるのだ。
特に考えなしに脱衣所の扉を開けた――その時だった。
なぜか明かりがついていて、おかしいと思ったら……もう遅かった。そこには何故か裸の先輩が立っていた。
「…………」
ギリギリパンツは穿いていたが、ブラはしていなかった。丸見えだ……。ていうか、なんで先輩がいるんだー!?
やばい、やばい。どこを見ればいいんだ、これ!
「せ、先輩……これはその、わざとではなくてですね……!」
「しゅ、愁くん!? な、なんでいるの……!!」
涙目になって先輩は背を向けた。……その真っ白な背中も十分、エロいですよ、先輩。……じゃなくて。
「それは俺のセリフですよ。俺の部屋で寝ていたかと思えば、急にいなくなってるし」
「さっき起きてトイレを借りた時に、愁くんのお母さんとばったり会ったの。お風呂使っていいって言ってくれたから……だから……」
だから、お風呂を使おうとしていたと。ちょうど入ろうとしたタイミングだったか。
「でも良かったです。いなくなって心配していたので。もう体調は大丈夫です?」
「うん、もう治ったから。ベッドを貸してくれてありがとね。それと黙って部屋を出てごめんね」
「それは良かった。急に倒れて心配したんですから」
「疲れていたっぽい」
「そうでしたか」
「……そ、その……恥ずかしい」
「あー…、俺は部屋に戻りますね。ごゆっくり」
これ以上留まるのはまずい。鼻血を噴きだしてしまい、床を血の海にしてしまいそうだ。そうなる前に退却だ。
扉を閉めようとしたが、先輩が止めてきた。
「待って」
「え、でも……」
「一緒にお風呂入ろう」
「へ……」
「愁くんとお風呂入りたい」
「――――」
俺の中の時が完全停止した。
先輩がお風呂に誘ってくれている? もしかして俺は夢を見ている?
そんなわけがない、頬を抓っても夢ではなかった。
「いいんですか……」
「近い将来、同棲するんだし……予行練習とか」
「な、なるほど」
先輩が一緒に入ろうと誘ってくれているんだ、断る理由もないか。しかし、俺の身が持つかどうか。
当然、女の子と一緒にお風呂なんて入ったことがない。
今こうしてほぼ全裸の先輩を目の前にして、俺は死にそうになっているくらいだ。
「先に入ってるから、愁くんも来て」
「……本当にいいんですか」
「いいよ。覚悟は出来てるから」
「先輩のこと、襲っちゃうかもですよ」
「……優しくしてくれるなら……」
先輩は声を震わせて言った。……いいのかよ。
呆然となる俺。先輩は先輩で両手で顔を覆って後悔してるし!
あぁ――もう。
「分かりました。その代わり、せめてバスタオルを巻いてください。俺も腰に巻きますから……。そうしないとお風呂が真っ赤に染まることになります」
「わ、分かった。じゃあ、先に入ってるからね。愁くんは、一度出て」
「了解です」
俺はいったん廊下に出た。
先輩は脱衣所でゴソゴソ。少しして合図が送られてきた。オッケーらしい。
俺も脱衣所へ。
さっそく服を脱ごうとするとカゴに先輩の下着が綺麗に折り畳まれて保管されていた。……先輩、こんなえっちな下着をつけてるのか。
いや、これ……俺が選んだヤツじゃん。
まさか勝負下着にしてくれたのか?
まさかな。
いや、考えるのは止そう。興奮して下半身の大魔王が覚醒してしまう。そうなる前に俺は服を脱ぎ捨て――タオルを腰に巻いた。
これで準備は完了。
バスルームには先輩が待っている。
……時刻は午前三時。
こんな時間に先輩と二人きりでお風呂……どうなってしまうんだ。緊張の瞬間だ。