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港区の超高層マンション。夜景を一望できるリビングは、かつての華やかさが嘘のように冷え切っていた。
パレルの母・ひかるは、取り乱して泣き喚きながら娘を抱きしめていた。そして、カタコト混じりの日本語で「パレルは悪くないわ。ちょっとした若気の至りじゃない!それをあんな風に書くなんて、ネットの連中が異常なのよ!」
その言葉を、ソファに深く腰掛けた白髪混じりの父・正継(まさつぐ)は、まるで汚物を見るような冷徹な眼差しで聞き流していた。彼の前には、弁護士から提出された損害賠償の見積もりと、翌朝の取締役会で読み上げる辞任勧告の草案が置かれていた。
「もういい、黙れ」
正継の低い声に、母親がびくりと肩を揺らす。
「お前が『才能がある』『インフルエンサーだ』と甘やかして育てた結果がこれだ。会社の時価総額が一日でどれだけ吹き飛んだか分かっているのか。私の人生を、このガキの『お遊び』が台なしにしたんだ」
「パパ、私……」パレルが震える声で縋ろうとしたが、正継は一切目を合わせなかった。
「宣告する。明日、お前たち二人はこの家を出ろ。離婚届は既に用意した。パレル、お前は国内の全日制高校にはもう居場所がない。北関東の寄宿制更生施設への編入手続きは済ませた。そこはスマホもSNSも一切禁止だ。母親、お前もだ。財産分与は最低限に抑える。パレルの不祥事による損失分を差し引けば、贅沢な暮らしは二度とできないと思え」
「そんな……見捨てるの!?娘なのよ!」
母親の悲鳴に、正継は事務的に答えた。
「私は、『不祥事を起こした広告塔』を切り離す経営判断を下しただけだ。お前たちは、もう私の家族ではない。私のキャリアを汚した、『管理不可能な負債』だ。二度と私の前に姿を見せるな」
パレルから全てが剥ぎ取られた瞬間だった。ブランド、名声、そして唯一の盾だった「父親の権力」。彼女を覆っていたのは、自らが作り上げた虚飾が剥がれた後の、ただの冷たい静寂だった。