テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
桃源暗鬼
きょうしき
四季くんが植物状態です。
終戦if
START
───────────────────────
鬼と桃の平和条約が結ばれ、鬼である、僕達には正真正銘の平和が訪れた。
今まで、隠れて、自分達の命が危険晒されることが当たり前だった鬼達にとって、日の元を堂々と歩けることは、どれだけ幸せなことか。
皆心から幸せそうな顔をしている。
うらやましいくらいに。
一番前線で、命を燃やして戦った四季くんは、
現在、病室で植物状態と化している。
炎鬼の力の代償を払わされた結果なんだろう。
最終戦争の最中
四季くんが医療班によって運ばれて来た。
呼吸は絶え絶えしく、失血死寸前の所で、
さらには、脳に酷い損傷を受けていた。
命を繋ぎ止めるべく、早急に治療に取り掛かった。
治療後、四季くんの呼吸は安定し、血色も良くなった。
でも、
俺の血でも、脳の損傷を、全て治してあげることは出来なかった。
四季くんが意識を失った時は、戦争の最終局面。
まだ、決着は着いていなかった。
四季くんはきっと、平和になったことすら知らないまま、今日も、ここで命を繋いでいる。
まるで、何時でも戦えるよう、備えているように。
もう、戦わなくてもいいのに。
苦しい思いも、痛い思いもしなくていいのに。
「…また、笑った顔が見たいよ、四季くん。」
ふっと零れた言葉と一緒に
頬に一筋の涙がつたった。
ベットの近くの椅子に腰掛け、四季くんの細く、沢山の人を救ってきた、強く、優しい手を握った。
脈があることを確認したら、
静かに眠る顔の輪郭をなぞるように、優しい手つきで額を撫でて、
細くなってしまった身体をそっと抱きしめる。
もし、四季くんが目覚める時が来たのなら、その時に安心して、笑って貰えるように。
頑張ったねって闘ってくれてありがとうって、
一番最初に伝えられるように
今日も、いちばん近くで、
愛しい人の帰りを待つ。
────────────────────────
四季くんが目覚めなくなって5年が経った。
四季くんが目覚める気配は、無い。
もう、二度と、君と言葉を交わせる日は戻ってこないのだろうか。
そんなことを考えながら、今日も身の回りの世話をして、脈を確認しては そっと抱きしめる。
四季くんの胸に耳を当てて、心臓の動く音を聞く。心地良い、安心する音。
四季くんは、この心臓を燃やして闘ってくれた。みんなの為に。
なのに、
神様。
なぜ、この子は、植物状態を受けないといけないのだろうか。
少しくらい、幸せを授けてくれたっていいじゃないか。
次第に視界が揺らいでいく。
俺は、病室で1人、
悔しさで涙を滲ませた。
頼むから、これ以上この子に辛い思いをさせないでくれ。
四季くんの胸の中で、そう、神に願っていた。
頼むから、
この子を
助けてほしい。
四季くんの服をぎゅっと掴む。
この世界に留めておくために。
太陽がてっぺんまで上り、病室が明るくなる。
僕はずっと、
四季くんの手をぎゅっと握っていた。
もう、目覚めることはない。
永遠に。
そんなことはわかっている。
でも、
ちょっとくらい、
夢を見たっていいじゃないか。
この子を救ってはくれない神を蔑んでは
固く、目をつぶった。
君の、
眩しい笑顔を
見れる日を心から願って。
そんな時、
病室に
「…チャラ、先、?」
最も望んだ人の声が響き渡る。
「…四季、くん?」
そこには、
紺色の髪をふわりと揺らし、
ルビーのような瞳で、
不思議そうに僕を見つめる
最愛の人の姿があった。
「ッ!」
「四季くんッ!!」
何故、目覚められたのかなんて、そんなことは考えられず、
「四季くん、四季くん、四季くんっ…!!」
ただ、ここにいる四季くんを強く、強く抱きしめた。
「チャラ先っ、苦しいって、!」
そう言ってへにゃりと笑う。
あぁ、僕は
この笑顔が
ずっと見たかったんだ。
「四季くん、」
それから俺は、四季くんが倒れたあとのことを伝えた。
戦争は終わり、桃とも良好な関係をきずけていいること、たくさんの人が、四季くんのことを心配して、お見舞いに来てくれていたこと
四季くんが、沢山の人を救ったことを。
それを聞いた四季くんは
自分の掌を見つめて、
「…そっか!良かった!!」
目に涙をめいいっぱい貯めて笑う。
もう君は、闘わなくていい。
血で、手を汚すこともない。
仲間を失う、辛い思いもしないでいい。
俺は柔く微笑んで、
「本当に頑張ったね。闘ってくれて、ありがとう。」
そう言って、四季くんを抱き締めなおした。
やっと、
伝えてあげることができた。
本当にありがとう。四季くん。
それから四季くんは、日に日に回復していった。
昔みたく、走り回ることが出来ようになるほど。
それから数ヶ月がたち、四季くんの様態は完全に回復した。
四季くんが退院する日、
「これからは、チャラ先ともしばらく会えねぇのか、」
と、寂しげに呟くものだから
俺は咄嗟に
「じゃあ、また今度デートでもしようよ」
って、付き合ってもないのに提案してしまった。
「ごめん!デートとか言って!!!」
完全にやってしまった。
両思いかも分からないのに、俺は自分の口を恨んだ。
少しの沈黙が続いた時、
「…デートするんだったら、」
「…付き合ってから…だろ///」
と、酷く顔を赤くして、四季くんは口を尖らせて、俺に訴えけてきた。
「…え??」
「ッ、だから!!」
四季くんは、困惑している俺の腕をグッと引っ張って
ちゅっ
頬にキスを落とした。
「…俺、チャラ先のこと、好きだよ」
りんごかと思うくらいに顔を赤くして、
俺を真っ直ぐ見つめる。
その顔はずるいよ、四季くん。
今度は俺が四季くんを自分に引き寄せて、
唇にキスをする。
それから、四季くんの頬を撫でて、
「俺も、大好きだよ」
と、返事をした。
これからも、君がずっと、隣にいてくれる。
こんなにも幸せで満ちた日常を
これから2人でどうやって生きていこうか。
「これからもよろしくね。四季くん!」
四季くんは俺の手をぎゅっと握って
「こちらこそ!」
愛らしい笑顔で俺に笑いかけた。
────────────────────
お疲れ様でした!
いかがでしたか??
分かりにくいところがあったかもしれませんごめんなさい🥹
楽しんで頂けたなら幸いです!
それではまたお会いしましょう。
ばいばい。
コメント
2件
