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「それじゃ,おやすみ。」
男子軍には開いている部屋を使ってもらい,マイちゃんには私が小さいころに使っていた子供部屋に寝かせた。本当は小さな子を一人で寝かせたくはなかったけど,マイちゃんがどうしてもというから仕方なく。
「本当に今日はいろんなことがあったね。」
「にゃう♪」
愛猫のリリィを撫で,私は眠った。
「あぁ,腹減った。」
あの女が眠ったことを確認した俺は一人でキッチンに来ていた。カレーってやつも美味かったけどあんなのじゃ俺の腹は膨れない。
「…久しぶりに食いに行こうかな。」
音をたてないように玄関のカギを開け,外へ出る。
外には沢山の人間がいた。この人数がいると俺は必ず見つかってしまうだろう。クソ兄貴にはそんな事をするなと怒られるがあいつとは種族の血の濃さがちげぇんだよ。水なんかでのどの渇きは潤わない。
「あー,そこのおねぇさん。バーとか興味ない?」
「えぇ♡」
やっぱり女の血が一番美味い。
人気のない場所に連れ込み,女の肩にかぶりついた。
「はぁ,腹一杯。」
見つからないうちにあの家に戻る。と,玄関の前にクソ兄貴がいた。俺の簡易食事を口にして。
あいつに見つからないように屋根から入ろうともしたが今の力じゃ到底無理だ。
「カイト,何故外に?」
「兄貴には分からないだろうな。」
昔はこんなにギスギスしていなかった。俺も,兄貴も。
何時からだろう,こんなに兄貴が嫌いになったのは。
「あれ, 海斗さんも起きてたんだ…。」
あの女が水道水を飲んでいる。…ったく,本当に人の考えることが分からない。水道からでる水を飲んでおいしいと思うのか。俺は泥を飲むような感覚にしか思えないのに。
「それ,美味いの?」
「ん~,普通かな。」
この世界の食べ物も,俺からすれば雑草と変わりはしない。
「そ。」
「あの…海斗さん,その赤いのは何?」
服に血が少し付いていた。
海斗さんの服に赤いものがついている。あれはきっと,血液だろう。どこかけがをしているのだろうか。
「…なんでもない。」
そう言って海斗さんはお風呂場へ向かった。何か事件にでも巻き込まれたのか,それともどこかで喧嘩でもしたのか。そんな想像が脳裏をよぎった。
「カルトさん,何か知らない?」
「…まぁ,深堀しないほうがいいこともあるよ。…あいつは多分,心配されたくないんだよ。」
「そっか。カルトさんもそうして欲しかったりするの?」
「いや?僕は春夏ちゃんに心配されるのは大歓迎だよ☆」
考えれば考えるほど海斗さんの事が心配になる。
また明日海斗さんに聞けばいい,そう言い聞かせてベットに入った。