ーー日本に別れを告げられてから数日が経った。
俺はあれから日本を見かけていない。
会ってもいない。
俺は考えた。
なんで日本が俺にあの日、別れを告げたのか。
初めこそ分からなかったが、ゆっくり今までの自分の行動を振り返ってみると、何故そう至ったのかよく分かった。
俺は天を仰ぐ。
理解した瞬間、俺はもの凄く日本に申し訳無い気持ちに包まれた。俺は馬鹿だった。
そう思うと同時に、今まで気付けなかった自分を恨んだ。
何で分かってやれなかったのだろう。
いや、分からなかったのだろう。
俺は、日本は優しいからと甘んじていた。
だから約束も何度か果たせないまま終わっている。
忘れていたーとか、次からは気をつけるからーとか、そんなヘラヘラと言える立場じゃない。
日本にちゃんと会って面と向かって謝りたい。
俺は今も変わらずずっと日本が好きだ。大好き。
だから仲直りして、いろんな所に出掛けて、それでまた日本と
付き合えたら
🇺🇸あは…
🇺🇸俺ってどこまで馬鹿なんだか。
別れを告げられたのにまだ希望を捨てて無いって、俺の頭の中お花畑過ぎでしょ。
🇯🇵…あの、本当に。もう大丈夫ですから…
🇷🇺いや、お前の事だ。まだ立ち直れていないだろ。だからまだいろ。
アメリカさんと別れたあの日、ロシアさんと飲んだ私は、酔い潰れてそのままロシアさんの家に連れて行かれた。
しかも連れて行かれたのは良いものの、この数日帰らせてくれない。
🇷🇺お前仮に帰ったとしても、またアメリカと顔を合わせるんだぞ?お前大丈夫なのか?
🇯🇵うっ…
私はそう言われ押し黙った。
確かにロシアさんの言う通り、今はアメリカさんと顔を合わせたくない。
🇷🇺それか、いっそこのまま俺と付き合うか。だったら別に良いが。
🇯🇵いや…口だけの言葉は辞めてください。それに付き合うとか思ってないでしょう?
🇷🇺まあな。
ロシアさんはフッと笑って頬をつく。
🇯🇵…もう。
その…微かに上がった口角は、無意識なのだろうか?
別に日本に帰って欲しくない訳じゃない。
ただ、単純に心配だからだ。
🇯🇵アメリカさん、心配してるでしょうか…。
なんて言っていたが、彼奴はお前を放っていたんだ。お前も今は放ってみても良いんじゃないか?
俺が誰かをこんな長く心配するなんて無い。もっと言えば相談相手になるなんて有り得ない。
でも相手が日本で、内容も内容だったから、無意識にも心配をしてしまっている。
一歩間違えれば周りから過保護だと言われるだろう。
だがそんなのどうでも良い。
…俺と付き合うか?
なんて突拍子もない事を日本に言ったが、日本に口だけの言葉は辞めろと言われた。
…まあ、今の日本には通じないわな。
でも、これだけは分かってほしい。
あれは冗談で言った訳じゃない。
アメリカの奴に傷つけられた日本の傷を癒す為に付き合う。
なんて、小さい理由がある訳じゃ無く
ただ日本が幸せに笑ってくれたらそれで良い。
🇷🇺はぁ”…
短く続かない溜息を吐く。
いや、だからと言って俺と付き合って日本は幸せに笑えるかどうか…
こう思うと、やはり日本にはアメリカしかいないように思えてくる。
🇷🇺俺にはどうする事も出来ない話だ…。
🇯🇵う〜寒い…。
時が経つのは早く、ロシアさんの家にいるようになってから1か月程経った。
それ程経つと、私の心の傷もだんだんと治ってくるものだ。
🇯🇵よしっ。今日は寒いので暖かい御飯でも作りましょうか。
今日はロシアさんが夜遅くまで家にいないという事もあり、私は夕食の買い出しの為に出ていた。
🇯🇵ん〜…何が良いですかね…あっ、この前お鍋にしようって言っていたから今日はお鍋に…
日本。
ピタリ、と歩く足を止める。
久しぶりに呼ばれただけなのに懐かしく感じる声。
鼓動がドンドン速くなるのを感じる。
今にも走り出したい気持ちを抑えて、私はゆっくりと振り向く。
日本。
名前をもう一度呼ばれる。
そこには
今更なんですかと、言ってやりたい相手が、私が愛した相手が、目線の先に立っていた。
『続』
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