◇◇◇◇◇
やっぱり、王城って広いですね。部屋に着くまでだいぶかかりますよ。
その間、ホセさんは、いろいろ喋り掛けてくるけど、相変わらず、レイラさんは一言も喋らない。
「さあ、着きました。こちらがお泊まりいただく部屋でございます。人数が多いので、大きい部屋を準備させていただきました。また、お風呂がお好きと聞いていますので、豪華なお風呂が付いている部屋です。お気に召しましたでしょうか?」
「おー、ええやないかい!」
「豪華なお風呂♡」
「お風呂!」
みんな、めっちゃ気に入ったみたいで、はしゃぎまくってます。
「お気に召して良かったです。では、ユメ殿のお部屋もご案内しますので、こちらへ。」
あ!そうか。普通は別の部屋になるわな!
「「「「えー!!♡☆」」」」
「なんや、ユメだけ別の部屋なんか?」
「はい、別の部屋をご用意してます。」
「なんでやねん!同じ部屋でええねんで!うちらはそういう風になっとるさかいに問題あらへん。ユメもここでええわ!」
「そういうわけにはいきません。別に部屋に行っていただきます。決まりですから。その代わりに、部屋は近くですので、行き来は自由になってますので、あとでユメ殿がこちらに来られればよろしいかと。別のお部屋には、みなさんは入れませんけど。」
みんなからブーイングが上がっている。
「まあ、決まりみたいやから、仕方ないね。あとで来るから、今回は別の部屋にしましょう。」
『みんな、夜は隠密使って来るから!なんかあったら、隠密で来てよ。』
とりあえず、渋々納得。
「それじゃ、ユメ殿、部屋に案内します。もう一度言いますけど、みなさんはユメ殿の部屋には入らないでくださいね。」
「え?なんでや?」
「はい、そういう決まりですから。」
『ユメ!こいつなんか隠してるぞ!』
『確かにこの決まりはおかしいですね。まあ、隠密が使えるんで、様子を見ましょう。』
「それじゃ、行きましょう。」
部屋を出て、僕だけホセさんの後をついて行く。なぜか、レイラさんも無言でついて来る。
「ユメ殿!こちらの部屋でございます。こちらにも専用のお風呂がございますので、ゆっくりとくつろいでいただけるかと。」
「いい部屋ですね。ありがとうございます。」
「何かありましたら、レイラ様にお申し付けいただければ。では、ごゆっくりお過ごしくださいませ!」
あ!ホセさん行ってしもたよ。レイラさんと2人になってしもた。
「レイラさん。もう戻ってもいいですよ。適当にくつろいでおきますから。」
レイラさんは無言で首を横にぶるんぶるん振ってる。
よく考えると、初対面の王女様と部屋で2人っきりっておかしくないですか?
「レイラさん。僕たち、今日は冒険者ギルドに用事がありまして、これから出かけようと思いますので、また、帰ってきたらお呼びします。」
レイラさんが無言で首を縦に振る。
「それじゃ、またあとで!」
僕は部屋を出て、みんなの部屋に向かう。でも、レイラさんもついて来る。真面目な人やな。
「みんな、お待たせ!」
「お頭!待ってましたよ!」
「ユメ!レイラも一緒か?」
「はい、いいって言ったんですけどね。レイラさんも律儀について来てくれまして。」
「そうか。ユメ!これから外に出るんか?」
「はい、冒険者ギルドは行っておきましょう。」
「おーけー!お楽しみはあとやな!ほな、出かけよか!」
「カミラさん!すいません!」
部屋の外にいる今回の侍女の責任者のカミラさんに声をかける。女性群のお世話役の人です。
「はい、なんでしょうか?」
「僕たち、冒険者ギルドに行って来ます。」
「はい、城門までお見送りいたします。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
カミラさんについて、城門まで行くが、また、レイラさんも無言でついて来る。本当に真面目やね。
「ユメ様!行ってらっしゃいませ。お帰りの際も、カミラをお呼びください。」
「はい、ありがとうございます。行ってきます。」
さすがに、ここからはレイラさんはついてこない。レイラさんは、何も言わないが、カミラさん曰く、レイラさんは王城からの外出が禁止されてるらしい。
まあ、ついてこられても困るんで。
それにしても、レイラさんは、不思議な人やな。ステータスも特徴ないんやけど。よくわからん。
王城を出て、冒険者ギルドまでの道すじで、みんなと通信で会話してたんだけど、やっぱりなんか全体的に変な感じがする。僕たちは、どこでも家があるんで早々に王城は出て行こうということになった。
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