渡辺side
めめのことは、ずっと大事な存在だとは思ってた
どういう好きとか、そんなのは関係なく、ずっとずっと大事で大好きだ
だけど、どこか年上である自分が、守ってるような気になってたところもあったと思う
でも、めめはそれ以上に俺のことを、大事に大事にしてくれていて
どんな時でも、ずっと傍にいてくれてて
そのことに気づいた瞬間に、言葉にできないほどの想いが、どうしようもなく胸を打った
早く抱きしめたくて仕方がなかった
逸る気持ちを抑えるのに必死になった
俺に触れる温かい手が好き
俺を呼ぶ柔らかな声が好き
俺を守る大きな背中が好き
俺を見る優しい眼差しが好き
泣きそうな顔も怒る顔も、たぶんどんな顔も仕草も好きになる
それから、眩しいくらいの笑顔がなにより大好き
自覚した途端に好きが溢れ出して、体中を満たしていく
今まで自分の気持ちなんて二の次で、抑え込んで無理に笑って、大丈夫って言いながら無かったことにしてきたのが信じられないくらいに
この気持ちだけは、誰に何を言われても伝えたいという衝動が、体を突き動かす
早く早くと逸る気持ちでかけた電話は繋がらない
冷静になって共有カレンダーを確認すると、 めめは今日は夜まで撮影だ、何時に終わるかわからない
でも、待ちたい
ずっと待ってくれてた、めめを待ちたい
「今日お前んち行くから」
そうメッセージを送った
このまま勢いに任せて直接めめの家まで行ってしまいたいけど、空はようやく夜の帳が下りはじめたばかりだ
夜はもう冷えるし、待つ時間はきっと長い
伝えたいことがいっぱいあるのに、心配して怒られている暇はないから、一度家に帰ってしっかり着込んでから向かおう
少し冷えた空気の中の方が、なにを、なにから、なんて伝えたらいいか、整理できるかもしれない
飛び出していきそうな心を無理やり落ち着かせて、帰路につく
この夜は俺の味方をしてくれるだろうか
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