それからは全部話した
俺の翼が原因で虐められてること、幼少期から親に捨てられ一人で生きてきたこと、誰からも愛を与えられたことがないこと…
全部全部話した
その話を此奴はずっと聞いてくれていた
tk「だいたいそんなとこかな…」
ym「そうやったんやな…」
tk「ほんと…ごめん。こんな重い話」
ym「俺が話してもいいって言ったんやから気にすんな」
tk「…そっか。ありがと」
数時間前とは打って変わって思い空気が流れる
もちろんこうなることは二人とも予想していた
けど俺は…不思議と嫌な気持ちにはならなかった
tk「聞いてくれてありがとね」
ym「こちらこそ話してくれてありがとうな」
山田に話したからかだいぶ気持ちが楽になった気がする
けど…
話したからといって現状が変わるわけじゃない
俺が虐められている事実は変わらない
また日が沈んでまた昇ればいつもと同じ日常は繰り返される
じゃあどうする?
そんなことを一人悶々と考えているとソファの隣、ポツリと声が紡がれた
ym「下の世界に来るか?」
あまりにも唐突な提案
当然のごとく聞き返してしまう
tk「…え?それってどういう…」
ym「いや、だから俺と一緒に下の世界…悪魔が住んどる世界に来おへん?ってことやん」
tk「え、でも俺は…こんな翼だし、これでも一応天使ではあるから…」
ym「お前気づいてへんの?」
tk「…何に?」
ym「お前って半分天使で半分悪魔やん?それってさ自分がなりたい方になれるってことやろ」
今までそんな考えしたこと無かった
自分は天使にも、悪魔にもなれない人間だったから
ym「それってお前の強みやん。天使が嫌なんやったら悪魔に逃げたらいい。ただそれだけのことやろ?」
tk「けど俺…悪魔として生きたところで行く場所なんか…」
そう伝えると彼はこう笑ってくれた
ym「そんなん俺の隣があるに決まっとんやん」
きっと本気では思ってないような言葉
けど、俺は…
tk「いい…の?」
ym「当たり前やん。まぁうるさい奴らと一緒に住んどるから普通な日常ってやつは送られへんかもやけど」
tk「俺が変な翼なの気にしないのかな…」
ym「え、あいつら逆に褒めちぎるで?かっけー!って絶対言うから安心しろ」
そんな優しいお前の言葉に救われたんだよ
tk「その…山田と一緒に住んでる人達がいいって言ったらそうさせてもらう」
ym「任せろ!無理やりにでもいいって言わせたるから!w」
tk「それは…いいのか?」
ym「まぁええねんwいつものことやし」
tk「…想像しやす」
ym「お前絶対馬鹿にしてるやろ」
tk「バレた?」
ym「わかりやすすぎやからな」
tk「あっそ」
重い空気はいつの間にか無くなっていた
自分の翼が少しだけ、軽くなったような気がした
コメント
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毎回投稿されてから時間空いてコメントするのほんと申し訳ない...けど感想を伝えさせてください(語彙力皆無) tkさんの過去を知って、ymさんは今後の事について話してくれてるのめっちゃ良いな〜って思った!! 「そんな優しいお前の言葉に救われたんだよ」の部分がなんか特に好き!!わってなった(?) 無理やりにでもいいって言わせるっていうのもめっちゃ好き!! てかもう全部好き!! 投稿お疲れ様!!
今回も天才だな…✨️