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ある夏の日、シャーリィは『暁』全体の福利厚生の一貫として大規模な休暇を計画。その計画にレイミが加わったことで大きく変化し、港湾エリアの直ぐ近くに誰も保有していない砂浜があることを突き止めて場所を確保。
手入れを行い、保養地として整備した。つまり。
「海水浴だー」
「おおぉ~ーっッッ!!!!」
『暁』の夏休み始まる。
先ずは砂浜を綺麗にして、幾つかの小屋を建てる。レイミ曰く海の家であり、そこで軽食と飲み物を提供する。
レイミの協力により『暁』名物のかき氷と、冷えた果実のジュースが提供されることとなった。
次に、各自が泳ぐために身に付ける撥水性に優れた水着の製作を開始。これはエーリカを中心とした仕立て屋チームが取り掛かり、水を弾く効果の強い生地を使用して作られ、結果様々な水着が産み出されることとなる。
「サンダルまで必要なのですか?レイミ」
「はい、お姉さま。砂浜には石などが紛れていることが多くて、怪我を防ぐためにも履き物は必要です」
「分かりました」
平行して海中でも使用できるビーチサンダルが開発された。
更に身を休めるためにビーチチェアとビーチパラソルも製作される。
「ただ泳ぐだけでは、泳げない人が退屈ですね」
「浮き輪は難しいかもしれませんが、水に浮く素材を使えば泳げない人も楽しめますよ」
「ドルマンさーん」
軽い木材や空気を詰め込んだ簡易浮き輪も製作。スポンジなど開発できなかった。
同時に魔物対策として、使用する場合は沖合いにアークロイヤル号が待機。ある一定の距離で海中に柵を設置して魔物の侵入を阻んだ。
「細かいことは現地で色々試してから考えましょう」
全員が一度に参加するわけにはいかないので、シャーリィは複数のグループに分けて休暇を取るように取り計らう。そして、記念すべき初日を向かえた。
オッス、ルイスだ。シャーリィが休暇を取るなんて言い出すからなんだと思ってたら、あっという間に海水浴って行事が始まった。
海を泳ぐらしい。正気かと思ったぜ。だって海には魔物がうようよしてるんだ。海に生きてる奴以外は一生寄り付かないような場所だよ。
けど、シャーリィは海に柵を作ったりして対策をして、保養地を作り上げちまった。海で泳げる日が来るなんて思わなかったなぁ。
「よう、ルイ。悩み事か?」
「ベルさん。いや、シャーリィの奴がまた変なこと考えたなぁって思ってさ」
「まあ、確かにな。海で泳ぐなんて考えたこともなかった」
もちろん警戒のため完全武装した警備隊が目を光らせてるけどな。
ちなみに俺達も水着とやらを着てる。海パンって名前らしい。動きやすくて良いよな、これ。
「おっと、綺麗所が来たみたいだな」
ベルさんに言われて顔を上げると……マジかよ。
「たまにはこんなのも悪くないわね」
「……不安はありますが、あの娘の想いを無駄にするわけにはいきません」
ビキニって言うらしいけど、ほとんど下着みたいな格好をしたマーサ姐さんとシスターを見て何人かが前屈みになった。無理もないわ。あれはエロい。うん。
色はマーサ姐さんが黄色、シスターが白だ。スタイルが凶悪すぎるな。
「見惚れてると、お嬢が拗ねるぞ?」
「見惚れてねぇよ!」
つい叫んでしまった。恥ずかしいな。
この水着とやら、エーリカの奴が作ったらしい。凄いよな。
「あはは、レイミお嬢様に案を聞いただけだよ」
エーリカは水色のビキニだな。鍛えてるだけあって身体も引き締まってる。
「ありがと。でも、あの人達を見たら自信無くしちゃうよ……」
リナ姐さんと何人かのエルフだ。みんな迷彩?とか言う変わった柄の水着だけど、スタイルが凄いな。エルフは美男美女しか居ないなんて言われてるけど、あれは卑怯だ。
「あはは、ルイス君観察してるよ」
「お年頃なのさ、そっとしておいてやれ」
うるさい。
「おっと、本命だぞ?ルイ」
「ん?……ー!」
瞬間、俺は言葉を失った。若草色のビキニと腰にスカートみたいな布を巻いたシャーリィが見えたからだ。
こいつは自分をチンチクリン何て言うが、とんでもない。確かに背は低いけど、スラッとした長い手足に程よく膨らんだ胸。真っ白な肌。充分魅力的だ。
「ルイ、余りジロジロ見られると恥ずかしいのですが」
「あっ、悪い。その……」
恥ずかしいとか言いながら無表情なのは相変わらずだが、なんだ、その……ああ畜生、恥ずかしいとか言いながら期待するような上目遣いやめろよ、可愛いな!
「お義兄様、先ずは誉めるべきです。それが殿方の礼儀ですよ?」
妹さんは真っ赤な髪を後ろで結んで、同じく真っ赤なビキニとシャーリィと同じ布を腰に巻いてるな。スタイル良いなぁ。
「いった!?」
シャーリィに蹴られた。
「レイミを直視することは許しません」
「わっ、悪い。その……似合ってるよ、シャーリィ」
「お世辞とは言え、受け取っておきます」
「俺はお世辞なんか!」
「言えるわけ無いですよね?ふふっ、知ってます」
急に悪戯っぽく笑いやがった。可愛いな、畜生が。
「青春してるなぁ」
「してるわねぇ」
くそっ!ベルさんとマーサ姐さんの微笑ましい顔がむかつくっ!
「皆さん揃いましたね?それでは海水浴を開始したいと思います。では、海に入る前に体操を行います」
今回参加したのはシャーリィを中心とした幹部から数人。あとエルフと警備班から数人だな。客人として妹さんも参加してる。最初だからか、少なめだ。
「海で泳ぐ際に身体を解しておかないと危険が生じる可能性があります。しっかりと身体を解しましょう」
妹さん号令の下、柔軟体操が始まる。いやぁ、美人ばっかりで目に毒だな。
「ルイ、手伝ってください」
「おう」
シャーリィは脚を……マジかよ、真横に開脚してる。んで俺が後ろから押すわけなんだが……相変わらず柔らかいなぁ。上半身が地面にペッタリとくっついてるぞ。
「レイミ曰く、良く解すようにとのことですからね」
「訓練前のストレッチみたいなもんだな」
俺はシャーリィと駄弁りながら身体を解していく。シャーリィは身体が滅茶苦茶柔らかいから、たまに驚かされるんだよなぁ。
「お姉さま、日焼け止めを塗りましょう」
「分かりました。ルイ、手伝ってください」
「妹さんが居るだろ?」
「私はルイにお任せしたいのです。駄目ですか?」
上目遣いは卑怯だわ。
「わかったわかった、やるよ。ほら、横になりな」
ビーチパラソルの下に布を敷いて、シャーリィがうつ伏せになる。んで、上の紐を外して日焼け止めを塗るわけだが……。
「んっ……!」
「おい、変な声出すなよ」
「仕方ないじゃないですか!」
スベスベの肌にクリームを塗ってると、シャーリィの奴が妙に色っぽい声を出すんだよ。
いや、シャーリィの裸は見慣れてるけどさ……妙にエロい気分になるな。
「お猿さん」
「ほっとけ」
ジト目向けてきたが、仕方ねぇだろ!この先欲望に耐えられるか不安だぜ……。引き続きルイスだ。各自柔軟体操が終わって、女性陣は日焼け止めのクリームを塗り終わった。んで、いざ泳ごうって事になったから俺は気になったことを聞いてみた。
「なあ、シャーリィ。お前泳げるのか?」
「何を急に。そんな質問答えるまでもないです」
「だよな、悪い」
流石にな。
「泳げないに決まっているでしょう」
「威張って言うなよ!」
いやまあ、シャーリィはお嬢様だもんなぁ。そりゃ川で泳いだりするわけ無いか。
海で泳ぐなんて誰も経験がないし。
「浅いところから始めてください!余り深い場所へは行かないように!川とは違う危険がありますから!」
何故か手慣れて指示を出す妹さん。色々不思議な娘だよなぁ。
「ルイは泳げるのですか?」
「ガキの頃川に潜ってたしな」
遊びじゃなくて、逃げたりする時に川を利用するとなにかと便利なんだよな。いつの間にか泳げるようになった。
そう思っていると、シャーリィの奴が拗ねやがった。
「ルイが泳げるのに私が泳げないのは屈辱です。よって、泳ぎ方を教えるように命じます」
「なんだそれ。命令されなくても教えてやるよ。ほら、行こうぜ」
「あっ、ちょっと!」
俺はシャーリィの手を引いて波打ち際へ移動した。海に入るなんて勇気が要るなぁ。他の皆も躊躇してるのが分かる。妹さん以外な。
「大丈夫ですよ。柵の内側に魔物が居ないのは確認していますし、万が一の時は任せてください」
シャーリィは腰に巻いた布を外すと、水着に剣の柄を着けてるのを見せてくれた。頑張って準備してくれたんだ。なら、俺はそれに答えないとな。
シャーリィの手を引きながらゆっくりと海へ入る。冷たくて気持ちが良いな。
「水浴びとはまた違った感覚がしますね」
「だな、川とは違うぜ。気を付けような」
取り敢えず俺は腰が浸かる辺りまで進んだ。いきなり深い場所に行くのは危ないって妹さんも言ってたしな。
「脚は着くよな?シャーリィ」
「いくら私が小柄でもこの程度は大丈夫ですよ」
あっ、ちょっと怒ってるな。
「悪い悪い。それじゃこの辺りで始めるか」
先ずはシャーリィが浮けるかどうかだったんだが、あっさり浮くことができた。
「……不思議な気持ちです」
シャーリィは俺に支えながら仰向けにプカプカ浮いてる。
「だろ?泳ぐのは大変なんだけど、楽しいんだ」
俺もたまに川で泳いだりするしな。周りを見ると、他の皆も海に入って楽しんでるな。
「身体が軽いです。訓練になるかもしれません」
「今はそんなこと考えるなよ。皆楽しんでるんだ。シャーリィのお陰でな。だから、目一杯楽しもうぜ?」
「……それもそうですね」
俺達はしばらく海に浮かびながらのんびりとした時間を過ごした。適当に駄弁りながら、な。
しばらくすると妹さんが近寄ってきた。
「お姉さま、お義兄様。如何ですか?」
「レイミ。楽しんでいますよ」
「よう、妹さん」
相変わらず妹さんの前だと笑顔なんだよなぁ。いや、笑顔のままだからそれはそれで怖いがな。
「それは何よりでした。海には危険もありますが、楽しさもあります。それを満喫して頂けるなら幸いです」
「慣れてる感じだな?妹さん」
「そうですね。皆さんより海に慣れているかもしれません」
凄く気になるが、シャーリィが気にしてないなら俺も気にしない方がいいな。
「ですが、余り長く海の中に入っているのも危険です。少し上がりましょう」
「そうですか?分かりました。ルイ、上がりますよ」
「連れていけ、だな?わかった」
今の深さは俺が首まで浸かるくらいだ。当然シャーリィは脚が付かないからな。浮いてるだけだ。
「一緒に行きましょう」
次はもう少し浅い場所でシャーリィと遊ぶかね。
んで、ゆっくりと上がったんだがいつの間にか人が増えてるな。
「楽しそうなことしてるじゃねぇか!交ぜてくれよ!」
「お義姉様、いらっしゃいませ」
「リースさん!?」
『オータムリゾート』のボスが来てたんだよ。髪と同じピンクの水着を着てて……スタイル凄いなぁ。良く見ると、サリアの姐さんもビーチチェアで本を読んでるし。水着も紫色で、着やせするタイプなんだなぁ……。
何でシャーリィの周りは美人ばっかり集まるんだろうなぁ。
「眼福である!!!」
「うぉっ!?ビックリした!?」
ライデン会長まで居るぞ!?なんだ、アロハシャツって服を着てるな。
「これはライデン会長」
「うむ、招きに応じて馳せ参じたぞ?シャーリィ嬢!海水浴すなわちロマンである!」
暑苦しいなぁ。
「ライデン会長、海水浴に適した食べ物を用意してくれたと聞いていましたが?」
「正確には料理である!まあ、楽しみにしておきたまえ」
「それは楽しみです。ルイ、少し休みますよ」
「おう」
シャーリィをビーチチェアで休ませて、俺は……海の家?とやらに飲み物を貰いに行くことにした。
「暑くないのかよ?爺さん」
「ふふっ、この程度は執事の嗜みにございます」
海の家で相変わらず執事服を着たままのセレスティン爺さんが、くそ暑いに汗一つ流さずに給仕してたよ。うん、深く考えないようにする。
ついでに海の家にはアスカの奴もいたんだが。
「実に素晴らしい!」
「趣味に走りすぎです。スクール水着なんてどうやって手に入れたのですか」
「企業秘密である!やはり幼女にはこれであるな!」
「変態ですね」
アスカの奴は変わった水着を着てるんだが、それを見てライデンの爺さんが興奮して妹さんに冷たい目を向けられてる。こりゃ関わらねぇ方がいいな。
爺さんからジュースを貰って戻ると、シャーリィの奴はビーチチェアに座ってまったりしていた。この椅子、横にもなれるし便利だよな。
「シャーリィ、ジュースを貰って来たぞ」
「ありがとう、ルイ」
俺はシャーリィにジュース入りのグラスを手渡して、隣に座る。海では皆が思い思いに楽しんでるのが見えるな。
リナ姐さん達エルフ組ドルマンさん達ドワーフ組とは何か砂で作って……いや凄いな!
「ふっ!この程度ワシらの手があれば造作もない!」
「ぐぬぬ!負けられませんよ!みんな!」
ドルマンさん達はデカい城を作って、リナ姐さん達も負けじと塔みたいなものを作ってる。
「やはり個性が出ますね、ルイ」
「だな、シャーリィ。休んだらどうする?また海に入るか?」
「いえ、レイミから教えて貰ったスポーツを試してみましょう。話の通りなら、競技として盛り上がれるはずですから」
「妹さんの発案かぁ。なら誰も知らないな」
「物知りな妹ですよ」
どう考えても物知り以上だとは思うが、まあ……シャーリィが気にしないなら俺も気にしないさ。この時間を満喫しないとな。
海を堪能しているシャーリィ=アーキハクトです。
海で泳いで一休みした私達は、レイミが教えてくれた競技をやってみることにしました。アクティビティと言うものです。泳ぐのも新鮮でしたが、さてこれはどうかな?
「ビーチバレーと呼ばれる競技です。二人一組となり、玉を交互に打ち合って玉を地面に落とさせた方が勝ちです」
ほう、単純ながら奥が深そうな競技ですね。
「とは言え、言葉で説明するより実際にやってみた方が早いでしょう」
レイミはそう言うと、ドルマンさん達が予め用意してくれたネットを立て掛けて、地面に線を引きます。
私はそれを手伝いながら簡単なルールの説明を受けて、ビーチバレーに興じてみることにしました。
相手はベルとルイ。負けるわけにはいきません!
「お姉さま、気を落とさずに」
シャーリィです。不貞腐れています。まさかここまで身長が有利になる競技とは思いませんでした。レイミも頑張ってくれましたが、明らかに私が足を引っ張って完敗。ベルもルイも本気で来るんだから勝ち目なんてありませんでした。チンチクリンな自分が恨めしい。
今はシスター、マーサさんペアとリナさん、リサさんエルフペアが対戦しています。
身体と一緒に躍動するお胸が大変素晴らしい。エレガント。
「負けてしまいましたが、これは面白い競技ですね。砂浜以外でも楽しむことが出来そうです」
「はい、お姉さま。人数を調整することで競技の幅も広がりますよ」
「それは興味深い」
幾つかの競技場を作って皆も楽しんでいる様子。ちょっとした休暇でしたが、皆が楽しんでくれて何よりです。