テラーノベル
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#グロ表現あり
注意事項は『前置き』に記載。
大丈夫な方は、物語の世界へとご案内致します。私の手に掴まって、では、参ります──────
──────物語の幕が上がる。
世界へスポットライトが当てられ、彼(女)らは再び戦禍へと巻き込まれる。しかし、この世界には観測者はいるものの、我々からの干渉はない。
──────だからこそ、彼の侵入を見逃してしまったのだ。
「神に不可能なんてないからね〜♪」
──────コンコンッ
ドアを叩く音が私の眠気を掻っ攫い、意識を浮上させる。辺りを素早く見渡せば、見覚えない部屋模様──────。なんて思ったが、よく考えたら私は今客室にいるのだったと思い出す。道理で見覚えが無いわけだ、なんて納得しつつも私はドアへ向かう。先程ノックをされたのでその相手を確認しに行くためだ。
ドアをそーっと開ける。開けた瞬間、ドアとの間に足をかけられて、思いっきり開けられる。その反動で若干よろけつつも、転ぶにはいたらなかった。けど、危ないだろっと注意をしようと相手をみると、そこには私よりも小さな少女───いや、女の子がいた。
「あ!やっと開けた!初めまして、新人さん!私の名前はhn。あなたの先輩で相方でバディだよ!よろしくね!」
「???は、はぁ。えと、ん?」
眠気が吹っ飛んだ、とは言ったがまだ頭は回っておらず、突然の情報量についていけそうになかった。困惑した表情を浮かべても、hnさんが止まる気配なく、手に持ってい荷物は私に強引に持たせる。
「これは?」
「あなたの戦闘用の服だよ!この服に早く着替えてねー!あ、着方わかる?hnが教えてあげようか?」
「おそらく大丈夫です。着替えるので、一旦!一旦ドアを閉めますね!?」
ドアを閉めようとドアノブを強く握って後ろに体重をかけるが、hnさんがそれを足で阻止してくる。
「hnも手伝うねー!このタイプの服着るの難しいし、二人でやった方が早いから!」
こいつ…!!変態だ!!そんなことを思っても、相手の力に勝てず、結局私は折れて着替えるのを手伝ってもらった。
…ちなみに、服は思いのほか簡単に着れた。そのことを問い詰めたら「みんなつまづくのにすごいねー!手先が器用なんだろうね!」と誤魔化されてしまった。今から不安の気持ちでいっぱいのまま、私はhnさんに連れられていわゆる『訓練所』という場所に連れていかれた。
───訓練所───
だだっ広い空間だった。白い壁に灰色の床。どこにあるか分からない照明か何かで部屋は常に明るかった。練習台や、的やら武器やらがしまわれたカゴと、複数のボタンが壁に埋め込まれている以外は にものはない。
まあ、今言った状況だけでもこの部屋は異質であることはわかる。それに、この部屋は今私とhnさん以外誰一人いなかった。どうしてなのか、なんて考えていると、hnさんはくるりと回転しながら私の方を見る。
「改めて自己紹介するね〜!私の名前…まあいわゆるコードネームはhn。2年生存中の大ベテランだよ!年齢は12歳!ギフトは白魔法の《回復》と《恋》だよ!よろしく〜!」
「いや、ちょ、待ってください!12歳!?いや、白魔法って何!?2年生存で大ベテラン!?」
分からない単語と知らない情報の板挟みにようやく働き始めた頭が悲鳴をあげる。hnさんはえへへ、と笑いながらも説明してくれる。
「んーっとね、私たちがもつ《ギフト》には黒と白の2種類があるの。黒は攻撃系が多くて、白はサポート系ってイメージ!まあ、例外もあるし絶対では無いけどね。」
「つまり、hnさんのギフトはサポート特化ということですか?」
「まあね〜。」
攻撃の黒とサポートの白って考え方でいいのだろうか。と、言うか恋のギフトってなんなのだろうか。想像があまりつかない名前に疑問を持ちつつも、どんどん次の説明にいくため、私は聞く姿勢を整える。
「えっと、次に大ベテランって言った理由は、この業界1年生存したらそれだけでベテランなんだよねー。みんなすぐ死んじゃうから。」
「は、え?し、しぬんですか?」
突然でてきたなにそれ知らない情報。そしてここがどれほど命懸けの世界であることを再認識させられる。すぐ死ぬ?1年、たった1年だけ生きるだけでもベテラン?さぁっと寒気がしてくる。もしかしたら、私の寿命は、今も迫っているのかもしれない。そう思うと冷静でいられる訳もなく、パニックでこの場から逃げ出そうと宛もなく走り始める。
「あ、ちょ──────。」
hnさんの声が背後から聞こえるけど、無視である。とにかく走って、走って安全なところに行かなければならない。安全なところってどこだよ!なんて自身にツッコミを入れつつも走り続けた。
しかし、その逃走劇は思いのほか早くに幕を閉じた。走るために後ろを向いていた時にはhnさんは私を追いかけ始めており、走り出した時には最高速度に乗っていたhnさんはあっという間に私に追いつき、腹に思いっきり蹴りを入れてきたのだ。息が詰まる。視界が一瞬真っ白になり、カハッと肺の中の空気がえぐり出されるように吐き出した。それだけにとどまらず、反動で私は勢いよく床に押し付けられる。腹に激痛がはしり、そこを抑えて悶えていると、それだけでは許してくれず、どこからか取り出した縄で私をぐるぐる巻きにして、動けなくしてくる。それでも私は諦めず、精一杯叫んで抵抗をする。
「離して!!記憶のあった時の私なんて知らないよ!!私は!今を生きてるんだから!!絶対に!!死にたくない!!!」
最後にはガラガラになった声で叫び続けるが、hnさんはその言葉をじっと聞いているだけだった。
体感数十分。本当は数分しか経っていないだろうが、それほどまでに叫ぶことで体力を消費した私は荒い息を立てていた。ようやく、ほぼ無理やり落ち着いた私を見て、hnさんは満足気に頷きながら言う。
「別に、逃げてもいいんだけどね。外は戦争の真っ最中。どこもかしこも地獄絵図だよ。意味がないんだ。そこら辺で爆弾に巻き込まれて死ぬくらいなら強くなって相手を殺した方がよっぽど生存率は高い。」
「子供が…何をしたって……無謀でしょう?」
私が息もたえだえに反論すると、hnちゃんがいやぁ?と笑いながら言う。
「この国と相手国の一般兵は戦場で1ヶ月を生きるのさえ難しいんだよ。まだ、この軍にいた方が生存できる。幸運なんだよ、私たちは。力を持っている分、死ににくい。」
「じゃあ、なんで1年も生きられない奴らがいるんですか!」
「新人は直ぐに死ぬんだよ。まだ力の扱いになれてないから。けど、一年以上生きればほぼ安泰だ。この軍は4年前に結成されたんだ。mmさんの他に2人が4年間生存してる大ベテランがいるくらいだし。」
つまり、どうしろと?私が目で問えば、待っていました、と言わんばかりの満面の笑みで答えてくれる。
「戦う練習を怠らないことだよ。強くなれば死ににくい。油断しなければもっと死ににくい。そういう世界なんだよ、ここは。」
そう言って笑うhnさんの目はキラキラと夢見る子供みたいに輝いていた。…もう、ここに来てしまったからには逃げられないし、少しでも戦いになれておいた方がいい、ということだろう。私はようやく悟り、観念したように抵抗を辞める。
「…わかりました。hnさん。私に、戦い方を教えてください。」
「え〜?じゃあhn先輩って呼んでくれたらいいよ!」
そんなものでいいのか、と思いつつ私は口内を十分に湿らせてから
「hn先輩。」
と言う。そういうと、満足気に頷いたhn先輩は私を縛っていたロープを解いてくれる。そこまで強く縛られていわけではないらしく、ロープの後は残っていない。それに、転んだ時にできた擦り傷もなくなっている。私が疑問符を頭に浮かべていると、hn先輩はドヤ顔で言う。
「これが私のギフトの1つ!《回復》だよ!傷を治せる、すごい人なんだよ?…ん、まあ、外傷だけだから、体力とかは回復させてあげられないけどね。」
頭を掻きながらもそう教えてくれる。…あれ、そういえばと思い私はhn先輩に尋ねる。
「私のギフトって黒なんですか?白なんですか?」
ギフトは《刀》と《角》であることは覚えているが、その時の私は黒魔法とか白魔法とか知らなかったため、聞けなかった。だが、ギフトが攻撃かサポートくらいかは知っておきたい。そんな思いで尋ねると、hn先輩は私の目を覗き込んだ後、角、腕を確認してくる。…変態?と再度同じ考えが浮かんだが、ジロジロと眺めた後、hn先輩は口を開く。
「《刀》は《黒魔法》だね。角は…わかんないなぁ。どっちだろう?」
「…?えと、なんでわかるんですか?」
まじまじと見られたが、それ以外何もされていない。そんな断定できるほどの情報がどこにあるというのだろうか。そんなことを疑問に思い尋ねたが、かえってきたのはギフト界隈の常識だというものだった。
「んーとね、基本的黒魔法は【瞳】の色が変わるんだよ。あなたの瞳、髪はピンクなのに、瞳は別系統の緑だったから、ギフトの影響かなって。ちなみに白魔法は腕のどこかしらに出るよー。hnはこの赤い爪がそうだしねー。」
と、いいながらhn先輩は自身の爪を見せてくる。赤いマニキュアが塗ってあると思ったが、よく見るとその爪は宝石のようにキラキラと輝いていた。綺麗だ、と思ったが、体に謎に生えた角の他に瞳の色も変わった、という事実を思い出し、なんとも言えない感情になる。いや、なんか、もうこの異常さに慣れてしまってなんとも思わなくなってきている。
「ちなみに、《ギフト》ってどうやって使うんですか?」
当然の疑問だろう。知識を学ぶのも大事だが今は戦い方を学ぶべきだ。強ければ死ぬことは無いのだから。現実味がないこの場から逃げるために吐き続けた言葉は、今は私の背中を押してくれる相棒にもなっていた。死にたくない。だから、強くなる必要がある。今はその理由だけで十分だった。
「そうだな〜。イメージしてみて?簡単にできる刀の方から行こうか。目の前に、刀があるよ。どんな刀かな〜。色は?形は?長さは?切れ味はどう?持ち手の部分のデザインは?」
言われた通りにイメージをする。目の前に、刀があるイメージ。少し長めで、灰色と白の2色で柄は黄土色。持ち手は糸で作られた模様があったりしたら刀っぽいだろうか?イメージをより強く固める。
「イメージしたら、それを創造する。自身の体内からエネルギーみたいなのを使ってそれを物体へと変化させる。そのエネルギーはどこからやってきてる?それを集中して探って。その流れを操って、心臓を通って、腕を通り、手のひらまでそのエネルギーを持ってきて。そして───そのエネルギーを形に変える。」
イメージ。イメージ。心臓に溢れる生の象徴である源から流れる力を血管を通って、骨の間をぬい、神経に流れ着いて、腕まで運んで、それを手のひらに集める。───そして、それを一気に放つ!!
そうすると、私の手からキラキラと輝く光が溢れ出し、それが形をなし、そして──────。
光り輝いたものが集まったそれは、形をなし、私専用の武器となって目の前に現れる。わたしは、それを強く握りしめる。その瞬間、辺りに漂う光の粒は弾けて消え失せ、残った刀を私は握りしめていた。
「わ、あぁ。」
あまりの衝撃と嬉しさに私は感嘆の声しか出せなかった。魔法が使えない人類が、魔法じみたことをしてみせる。それも、私が。力がなくて小さかった手のひらが、今は大きく見えた。
「1発で成功じゃん!!おめでとう!!」
私が喜びに浸っていると、隣がhn先輩が抱きついてくる。なるほど、この人は変態じゃなくて距離感がおかしいだけの優しい人なのか、とようやく気づく。私の成功を自分の事のように喜ぶこの人は本当に優しいんだな、なんて思う。───こんなことを思えるのは心に余裕があるからなのだろう。それとも現実逃避の進化版だろうか?なんてくだらないことを考えつつも、私はしばらくの間hn先輩と喜びを分かちあった。こんな時間が、いつまでも続けばいいのに。
「…先輩。長いです。ちょ、いつまでやるつもりですか!?次いきましょうよ!?」
前言撤回。この人はいつまで抱きついているのだ。いつまでも、と言ったのはあくまで比喩表現であって、本当に一生は勘弁して欲しいし、そろそろ戦闘ができるようになりたい。待って、ほんとにいつまで?そろそろ混乱が価値そうになった時、わたしは、ようやく自身の体が動かないことに気づく。
「え、あ、あれ?」
「…気付くの遅いよー?ここが戦場なら何百回と私に殺されてたね。」
そうニヤニヤ笑いながら先輩は抱きつくのを辞め、私から離れる。いつの間にか身につけている手袋から、バチバチと小さな雷が何回も爆ぜている。───今、私の体は痺れているのだ。そのことに気づき、さぁっと顔が青ざめる。全く気づかなかった。痛みも、何も感じなかったし、そもそもそんなことをされるなんて思わなかったし、何より───。
「私がサポート系のギフトだからって、甘く見てたでしょー?言ったじゃん。私は2年生存中のベテランだって。」
そう、だって先輩はサポート系のギフトしか持っていないから、無意識に攻撃されても勝てると思ってしまっていた。…いや、蹴りを食らってるのに何を言ってるのだ、という話だが。自身のギフトで刀を作れて、私は強いのだと勘違いしてしまったことが原因か?いや、そもそも他人に懐を許してしまったことが原因?原因を突き止めようと様々な考えを脳内に浮かばせては、直ぐに新しい意見が浮かび上がっていく。
「…ん、まあ。こういう風に。敵を侮っちゃいけないよ〜?」
「仲間内でやられたら普通に無理じゃないですか?」
なんなんだそれは。これは私が油断したからなんかじゃない。先輩の完全な卑怯だ。私を責めるのはお門違いだ。そもそも普通は味方を疑う、なんて発想にはならない。最初から、私と先輩の考えた方は食い違っているのだ。そのように私が反論すれば、先輩は否定してする。
「いーや?案外対処は簡単だよ。だって、裏切る側は自分が死ぬことを想定しない大馬鹿者だからね。」
そういいながら、先輩は懐にしまっていたであろう短刀を私に向けてそのまま走ってくる。私はすぐさま先程作り出した刀を片手に持ち振るう。───しかし。
「うわっ!重!?」
刀はそのまま私の手を素通りし、地面に突き刺さる。理想を詰め込んだあまり、その刀は重すぎて私には持てなかったのだ。しかし、その間にも先輩は迫ってきている。どう対応すればいいのか、もう一度刀を───いや、時間が無いし、こんな状況で冷静にイメージなんてできない。じゃあどうすれば。
そんなことを考えていると、先輩は既に地を思いっきり蹴り、勢いよく短刀を振るう。私は慌てて後ろに下がったが、髪は間に合わず、さぁっと何本か切られる。───殺される。ガチで。その事実を目の当たりにすると、私の脳は急速に回転し始める。まだ死にたくないんだろう?なら生きるためにどうすればいい?考えろ。考えろ。考えろ!その間にも敵は確実に距離を詰めてくる。───手で掴まれたら電気で体を動けなくさせられるし、短刀はかすっただけで髪が切れるほど切れ味が鋭い。わかった。先輩の弱点が。そうだ。先輩は今まで距離を詰める攻撃しかしていない。遠距離の攻撃なんてしてない。苦手なんだ。…わかったところでなんなんだ、という話ではあるが。
「何をもたもたしてるのかなー?───殺しちゃうよ〜?」
そう言って、先輩は私の首元目掛けて再度短刀を振るう。私は───。
素早くしゃがみこみ、思いっきり突進する。その時、私の角は、刀を貫通して先輩の腹に突き刺さる。───はずだったが、先輩の方が何枚も上手で。私の行動は予想の範囲内だったのだろう。私は突進するために下を見ていたから気づかなかったが、既にジャンプして私の背後に回り込んでいた。そして───
「アウト〜!」
その言葉と共に、私の首元に先輩の手のひらがおかれ、同時に体に力が入らなくなる。
「遠距離で来るかなーって思ったけど新人さんも近距離型だし、刀もまだまだ作りなれてないから無理だなーって思って。なら、1番分かりやすい武器、角を使ってくると思って。予想通りって感じ。戦略がまだまだ甘いねー。」
「…勝てっこないじゃないですかぁ。」
見た目よりもずっと賢い先輩に勝てる気がしない。作戦も全部読まれてるし。だって、よく考えたら私遠距離技なんて持ってないんだもん。と、駄々を捏ねたい気持ちをグッとこらえる。
「んじゃ、今日はひとまず刀の使い方に慣れよっか。」
「実践の前にそういうのはやってくださいよ。」
「いやーごめんごめん!1度実力を見ておきたくてついつい!」
「うっうっ…サイテー。」
「しつれいだなー。ほら、早く起きてー。はじめるよー。」
そう言って、hn先輩の手から現れた光の粒子が私に触れると、たちまち私は動けるようになる。…?
「え、外傷だけじゃなかったでしたっけ?治せるの。」
ギフトを教えてくれた時、そう言っていたはずだ。雷によって動けなくなった私の傷は外傷ではないはすだ。そう思って聞いたのだが、その答えを先輩は軽く言ってくる。
「あー。まあ一応状態異常系も治せるようになったんだよねー。最近使ってなかったから忘れてた☆」
「忘れてた☆じゃないんですよ!!大事じゃないですか!?それ!」
「味方を騙すのも大事ってことだよー!」
そんな事を笑いながら言うものだから、私は思わず不満顔になるが、「じゃあ、戦闘訓練をするよー!」の一言で現実に戻され、私は慌てて起き上がった。
今回はここで幕を閉じます。いかがでしたでしょうか?今回の物語は1話1話が長めとなっております。代わりに、描写にこだわっておりますので。
2日目はバディ、もとい先輩のhnさんとの出会いについて描かせていただきました。また、ギフトについての説明も少々。一応まとめさせていただきました。
ギフトとは?…神様から与えられた魔法とは違うもの。イメージは能力。魔法と似ているが、それよりも強い。神様からのプレゼントとという事でギフト、と呼ばれている。
ギフトには種類があり、それは黒魔法と白魔法のふたつ。
黒魔法…攻撃系が使える。瞳に特徴が現れる。(虹彩、瞳孔、白目の部分など)
白魔法…サポート系が使える。腕のどこかしらに出る。(爪、指、手全体など)
コメント
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hnちゃん良くも悪くもちょっと不気味
hnちゃんとgsoさんが相方...めっちゃ続きが気になります!!