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早朝四時。昼夜逆転生活を送っていた私にとって、この時間は寝る時間ではない。寝なければいけないと理解はしているので、眠りにはつきたいが……。
月曜日の平日ということもあって先にまふゆは寝ている。そして今日はたまたま奏と瑞希も寝てしまっていた。孤独の作業、みんなの作業音も無く静かだ。
「かけない。」
数時間程一人で作業。慣れてるとはいえ、誰かがいた方がやる気が上がるのは確か。このままでも駄目だろうと、私はセカイへ向かった。
***
セカイに来て、まず私は大きく伸びをした。そうしてリンでも探してからかってやろう、と思っていたところで横から声が聞こえた。
「絵名……? まだ起きてたんだ」
「ま、まま、まふゆ!?」
「そんなに驚かなくても」
と、どうやら座っていたまふゆは露骨に嫌そうな顔をして、顔を下げた。まさか寝ていると思っていた人がそこにいたんだ。幽霊でも見たような感覚だ。
少し息を整えまふゆの隣に座り、私は声をかける。
「なんでこんな時間にセカイに?」
「目が覚めて」
「まふゆがこんな時間に目が覚めるとかあるんだ。昼寝した、とか?」
「……みんなが、いなくなる夢を見て目が覚めた」
「へぇ……悪夢ってこと……。それって、ニーゴの私達とかミク達とかが?」
「うん」
悲しそうな顔をしながら、間髪入れずすぐに返事をしたまふゆ。
──それって私達がいなくなったら、寂しい、悲しいってこと……?
その夢はまふゆにとっては辛い夢だったんだろうが、私はその心が少し嬉しくなった。まふゆが少しでも感情を取り戻してきているということだ。心配もあるが、喜びの方が少し大きい。
「でもまだ眠いんでしょ? 寝てたら?」
「んー……」
「明日学校なんでしょ?」
「そうだけど」
「なら、もう少し寝なさいよ。膝貸してあげるから」
正確に言えばもう今日だが。
しかしそう言っても横にはならないまふゆ。優しく肩を掴んで倒そうとすると、嫌そうにして小さな抵抗をした。なのでその体を強引に私の膝の上に倒そうとすると、今度はため息を付いて横になってくれた。
「それで、何時に起こせばいい?」
「……六時半くらい」
「分かった、じゃあおやすみ」
「…………」
しかし目を閉じないまふゆ。意地でも寝る気はないということか。その子供っぽさに少し苦笑して、私は手でまふゆの目元を覆う。
「……あのね、私はどこにも行かないよ。私は、ずっとまふゆの側にいてあげるから」
そう言うと、小さく口を開いて驚いたような反応をしたまふゆ。それから少しして短い返事をしたので、手を離す。
──すると、そこには安心しきってあどけない表情で眠っているまふゆの姿があった。
「うん、私はここに居るからね」
なんとなく、私の想いがまふゆに伝わってる気がして、そう呟いた。