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『 迷惑なんて言わないで 』
数時間ぐらい勉強したのだろう。
丁寧に教えてくれると時間がすぎるのは一瞬で気づいたら外は暗くなっていた。
そのことにまろは気づいたのか、遅くなってもうたな。って笑いながらこちらに言ってくる。
それに、俺は「そうだね」って笑って返すと、まろは少し考える素振りを見せる。
すぐになにかひらめいたように小さく「あ」って発す。
桃「どした?」
青「せや、ないこって1人暮らしやったよな?」
桃「ん?そうだけど……」
と、返すとにやって笑う。
その瞳に吸い込まれるように固まっていると俺の肩をガシッ!と力強く掴むと、俺の背中を押して先程いたリビングへと押す。
無駄に抵抗する意味もないからって身を委ねると、ソファーに雑に放り投げられる。
青「泊まりな、スクバとかあるやろ?」
桃「そりゃ、学校帰りだし。」
青「ん、決定ね」
さっきとは違う笑みを浮かべてすぐどこかへ行ってしまう。
…今日配信予定じゃなかったっけ?もう待機所立ってなかったっけ!?
暇だからぐるぐる思考を回していたらそんなことを思い出してしまう。
桃「……」
どこからか帰ってきたまろは俺がそわそわしていることに気づく。
青「…? ないこ?どしたん?」
まろの家に来るのは今日から始まったことじゃない。
からこそまろが不審がるのもよく分かる。
桃「ぁ…お前配信日だったようなー…って」
青「あぁ、配信するで。」
なにもなかったかのように平然とした顔でそう発される。
え、俺という友達でありファンであるやつが居る中で配信……???
いや、むりむりむりってか俺が無理…!!
青「生で配信してるところ見るか?w」
冗談交じりで笑ってそう言われる。
俺はすぐに拒否るとオタクっぷりに面白くなってきたのかまろは大きく口を開けて「んはは」って笑う。
それに少しだけ恥ずかしくしていると急に真面目な顔に戻る。
青「…お前なぁ……」
桃「…?? なに?」
そういうと「なんでもない」ってはぐらかされて、どこかへ行ってしまう。
もう時間だろうしおそらく配信部屋へ行ったのだろう。
なんて考えながら呑気にスマホを弄っていると、ピコンって通知音がなる。
急いで通知をタップして内容を確認すると配信が始まったとのこと。
ルンルン気分で配信を開き、心の中で「わこいふです」って言っておいた。
配信が終わり、俺の楽しかった心も一気に寂しくなったあたり、まろが帰ってくる。
ニヤニヤしながら「どうやった?」って訊いてくる。
どうもしてないよ、って適当に返事しといたらつまらなそうにそっかーって言われる。
桃「…でも、俺迷惑かけてねぇかなってずっと考えてた。」
青「……いや俺が誘ったのに迷惑やから…なんて言えるわけないやろ。」
青「つか、思ってない。」
桃「…でも…」
青「大丈夫…大丈夫やから、ないこが俺の家に来ることを「迷惑」って言わんといてや…」
この言葉を発してるとき、まろはどこか寂しそうな表情をしていた。
end