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pn × gt 「聖夜のキッチン」
クリスマス/同棲済み
pn「」
gt『』
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キッチンには甘い匂いが満ちていた。
バターが溶ける音
ボウルの中でクリームが混ざる音
ぺいんとはエプロンの紐を結び直し、レシピを一度だけ見てから視線を戻した
砂糖を量り、卵を割り、泡立て器を動かす
「…まぁ、レシピとか見なくてもいけるでしょ」
窓の外では、遠くのイルミネーションが滲んで光っている
今日はクリスマス。
大好きな人の為にケーキを一人で作ろうとした
それだけの話だった
オーブンに型を入れ、タイマーをセットする。
ぺいんとは息をついて、少しだけ肩の力を抜いた。
タイマーが鳴った。
ほんの一瞬、期待してから扉を開ける。
「……あ」
オーブンから取り出されたそれは、ケーキというより遺跡だった。
膨らみすぎて割れ、表面はひび割れ、なぜか一部が黒い。
「…いやこれは‥失敗じゃ‥ない」
『じゃあなんだよ』
「うわあ”あ”ッ?!!!!」
背後で、カップが置かれる音がした。
その直後、声が落ちる。
ぐちつぼは状況を一望して一言
『クリスマスって、戦争だっけ?』
「違う!!!!!」
『じゃあこの惨状は何??』
床には小麦粉。
シンクには使い切られていないボウル三つ
生クリームは分離し、泡立て器が何故かニ本ある。
「いや、途中までは完璧だったんだって!!」
そういいながらぺいんとはスポンジを指で押した。
じゅわ、と嫌な音がする
「…理論上は、成功してる」
『理論は死んだね』
短い沈黙。
窓の外で、遠くの車が走り去る音。
『一回食べてみる?』
「これを??」
『まあまあ』
二人で一口ずつかじる。
噛んで、飲み込んで。
『……意外といける』
「は???炭みたいな味しかしないけど??」
『場所が悪いだろ、なんで黒くなってるとこ食べてるんだよ』
小さく笑いが落ちる。
『……じゃ、片付けるか』
「うん」
水の音。
皿が重なる音。
粉まみれだったキッチンが、少しずつ元に戻っていく。
ぐちつぼが、洗ったボウルを置きながら言う。
『もう一回作ってみる?』
「……やる」
今度は、二人並んで立つ。
計量スプーンを持つ手が、さっきより慎重だ。
『次は戦争にならないといいね』
「大丈夫、平和条約結んだから」
オーブンの中で、生地が静かに膨らんでいく。
窓の外ではクリスマスの光が
何事もなかったみたいに、 静かに瞬いていた
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