いつもは澪蔦が詠み、紘貴がその詩を聞くと言う形だが、今日は縁側で二人で詩を詠み合うことにし、初めに紘貴から詠むことになった。
【あまつ雨 袖にしみゆく 言の葉は
いかに伝へむ 我はたどたどし】
今まで詩に興味がなかったとは思えない才能を感じ、澪蔦はとても感動しているようだった。
次に澪蔦が詠む。
【あかつきの 月のほのかに さし出でて 名ものらぬものに 心とられて】
詠んだ詩には「心をとられて」という表現から、澪蔦が自分でも気付かぬうちに紘貴に惹かれていっていることが表れていた。すると
「澪蔦、それは誰かに宛てた詩なのか?」と紘貴が問う。問いかけられて澪蔦は初めて自分自身が無意識に詩に紘貴への恋心を表現してしまっていたことに気がつき頬を赤らめた。その問いかけにどう答えるか悩んだ結果思い切って自分が無意識のうちに抱いていた思いを伝えることにした。
「えぇ。今詠んだ詩は、貴方。紘貴へ宛てた詩です。」
言い終えると、紘貴の表情は少し微笑んだように思えたがすぐに厳しい表情へ変わっていく
「今のはどう言うつもりだ?」
思わぬ返答に澪蔦は体を強張わせるが、冷静に答える
「以前の歌合せの時、詩を褒めてもらった時からか、紘貴の不器用に優しさを見せるところに、惹かれていきました。私は貴方が好きです」そう言った瞬間、床へ押し倒されてしまった。
服を脱がされ、逃げられないように手を上の方で縛られているうえに、声を出せないように口枷を咥えさせられている。何故こんなことをするのだろうか。すると、紘貴は全く解していない澪蔦の後ろに自身のモノを挿入しようとしていた。入ってきた時の感覚を想像して震え上がり、抵抗をしようと動かすことのできる足をバタつかせるが武士である紘貴の力には敵うはずがなくすぐに押さえつけられてしまう。
「っ…!!んん゛〜〜〜!!」
ついに挿入されてしまい、狭い中を押し広げられ、裂けてしまうのではないのかと言うほどの痛みが走る。
(こんなことをするなんてひどい。)
今まで見せてきた優しさは全て偽りだったと言うのだろうか?今まで共に過ごしてきた紘貴の姿を思い出すと胸がとても痛む。澪蔦の胸は絶望感で満ちていた。
それからすぐに中から出し入れされ始め、澪蔦は痛みにもがくしかなかった。
「ん゛ッ!ん、むぅ…」
肌と肌がぶつかり合う激しい音が、部屋中に響いている。解していないせいで結合部分からは血が流れ出してしまい、それが潤滑剤の代わりとなり滑りをよくしていた。
「んん゛ぅっ…!んっ…んっ」
先ほどまで苦しそうだった澪蔦の声も段々と乱れていき、体をガクガクと震わせ達してしまう。
「俺はこんなやつだとわかっただろう。好きと言う気持ちは諦めるんだな」
紘貴はそう言うとすぐ澪蔦の拘束を解き、部屋を後にしていった。部屋には魂が抜けたように座り込む澪蔦だけが残されていた。
部屋を後にした紘貴はとても悔やんでいた。最初、澪蔦から恋心が表現された詩を自分宛でもらった時、心は嬉しい気持ちで溢れていた。しかし、貴族と武士と言う身分の差を考えると、たとえ両思いだったとしても叶わぬ恋となるのがとても辛く感じ、嫌われようと咄嗟にあの行動に出てしまったのだ。きっと澪蔦は心に深い傷を負ってしまっただろう。これから二人はどうなっていくのだろうか。
コメント
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なんか不穏になってきましたね… ドキドキです、!!