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#食
豊はまず炊飯ジャーのごはんを丼に思いきりよそい、お茶漬けの素とポットのお湯を入れかき込んだ。おなかと背中がくっつきそうなほどペコペコだった。
そして風呂に入りスッキリとした。
バスルームから出て、パジャマに着替え、すぐに携帯を手に取った。
蓮美からの返事が待ち遠しい。
「あ!」
蓮美からのROULだ。メッセージを開く。
『うふ。嬉しいわ、豊さん。今度のお休みはいつ? あたし……豊さんのお部屋に遊びに行ってみたいわ。こんなことをいきなり言い出す女はお嫌いですか?』
(ウェルカム!)
心の中、大声で叫んだ豊。
彼女と仲良くなりたくてたまらない豊にしてみればこの上ない喜びだ。
『嫌いな訳ないじゃないですか! 素敵な蓮美さん……。オレは、あなたをもっと知りたいです』
次の返事はすぐにやって来た。
『とても嬉しい』
たったひと言だけ。そのしおらしさに豊は胸を高鳴らせている。
『蓮美さん、お声が聴きたいです。今、お電話しても良いでしょうか?』
すると蓮美は『良いですよ』と返して来た。
エアコンが効いている部屋なのに、身体が火照り、額がまた汗ばんで来た豊。急いで彼女の番号をタップする。
「はい、もしもし」
「あ、蓮美さん」
「豊さん、お電話をありがとう」
――――2回目のデートの日にちはすぐに決まった。なんと、明日だ。日曜日。
「喫茶オリエンタル・オルゴールまで迎えに来て下さる?」と蓮美。
(男の家に遊びに行くというのに、その男に自宅は知られたくないのか……)
豊は、蓮美は非常にデリケートなのだろうかとあれこれ考えた。その割にはウチに来てくれるのだな、と。
それにしても豊は舞い上がっている。
「ええ、お迎えに上がります。では店内に……何時にしましょう?」
「あたし、早く豊さんにお逢いしたいの。8時なんて早過ぎますか?」
「いえいえ、オレも同じ気持ちだから……。じゃあ8時にしましょう」
「はい」
*
その夜豊は、遠足前の子どものようにソワソワとなかなか寝つけなかった。
――――翌朝。
豊は午前5時に起き、ベッドカバーとシーツを変えた。
無論男としての欲望が疼くゆえだ。しかし、豊は蓮美が愛おしい。それだけだ。
(あ、そうだ)とシーツを変え終わった豊は思った。
(存分に腹いっぱいにしておこう)
それは、蓮美がなぜか豊との食事を嫌がるからだ。蓮美も、きのうのようにおなかがグーグー鳴らぬようたくさん食べて来る事だろう、豊はそう考えた。
豊はレトルトのカレーを2人前分、山盛りの白米に掛けて食した。
*
喫茶オリエンタル・オルゴールの扉近くの席に蓮美は座り、アイスコーヒーを飲んでいた。
「蓮美さん」
「豊さん、ありがとう」
桃色のミニスカート、ストッキングを履かない素足。赤いサンダル。レース使いの白い半そでブラウス。今日の蓮美もどこから見ても美しい。長い髪を今日は右斜め横の高い位置でポニーテールにしている。
しばらく彼女に見惚れつっ立っていると、蓮美が「行くわ」と言った。しかし、グラスにはアイスコーヒーが半分以上ある。
「良いよ、蓮美さん。ゆっくり飲んで下さい」
「嫌よ。早く豊さんのお家に行きたいです」
そう言い、蓮美はチューッと、ストローをすぼめた唇で包み込みアイスコーヒーを飲み干した。
「うん、わかりました。蓮美さん」
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