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加藤あいさ
21
哀 川 せ せ ら .
14,946
ねむ
222
~~~~
快晴と美虹は隠し扉の向こうにあった別館地下に入った。
すると、そこには行方不明になっていた音奈と莉來の死体を始め、女の子の死体ばかりがあった。
路郎「嬉しいよ雨戸様」
音奈と莉來の死体を見つけた美虹と快晴。その背後から聞こえたのは、路郎の優しい男性の声だった。そちらを見てみると、部屋の出入口の所に路郎が立っている。
相変わらず女性を虜にする程の端正な笑みを浮かべているが、右手には血塗れの包丁が握られていた。
路郎「ご自分からこの部屋に来てくれるなんて」
優しい笑みを浮かべてジリジリと近づく路郎。美虹は思わず後ろへ後ずさり、路郎に恐怖する表情をしていた。
快晴「(この状況、どう打破しよ…)」
快晴は考えを巡らせるが、全く思い浮かばない。
快晴「(せめてフウちゃんがおったら…。いや、アイツは寝とるから頭数に入れんな。ダメ元でやってみるか…)先輩。僕が正面、先輩が背後から殴ってください」
美虹「わ、わかった」
美虹は路郎に恐怖しながらも、快晴の言っている意味を理解して、弱々しく返事をした。
美虹はパンプスの両足で血塗れの床の上を走った。
路郎「逃がしませんよ」
快晴「殴りますよオーナーさん」
「美虹は路郎の左側を大回りして、出口に向かっている」と推測した路郎。美虹の方に行こうと踵を返そうとしたが、自分の正面の方から快晴の静かな声がした。
路郎がそっちを見てみると、冷や汗をかいて拳を引いてい自分を見ている快晴がいた。
「殴られる」
路郎がそう理解したと同時に、路郎は持っている包丁で快晴を切りつけた。
快晴「痛ッ!!」
路郎「ッ!?」
快晴の右腕を包丁で切りつけたと同時に、路郎の後頭部が殴られたような痛みが走った。
路郎は後ろを振り向くと、自分の背後にいたのは、扉の無い出入口へ向かっていたハズの美虹だった。
美虹「っ!ってェ!!」
路郎を殴った拳を抑えながら痛そうに呻く美虹。その時美虹の口から零れた声は男性の高音に近かったが、この場にいる誰もは気にしていなかった。
路郎「女の子の力じゃないな…。鍛えてた?」
男が誰もが振り向く美女。美虹は細身の体付きをしているので、そこまで力が無いと思っていた。
路郎「……見かけよりずっと力があるのは驚いたが ……」
路郎は自分の足元で腕を抑えて呻き声をあげている快晴の体を踏みつけた。
快晴「ゔがッ…!!」
路郎「タンコブ程度だ」
美虹「快晴君…!!」
路郎「さぁ、大事な後輩を助けたいなら、君はこちらに来てもらおうか」
美虹に殴られたなんて大した打撃になっていないのか、女性を虜にする程の端正な顔と優しい声色で、路郎は彼女を誘う。
美虹「……」
快晴「ゔッ…!!」
呻いている快晴の腕を更に踏みつける路郎。
快晴「いッだああああああ!!」
断末魔に似た叫び声をあげる快晴。美虹は体をビクリとさせて、震えながら快晴を見て路郎を見る。
路郎「この子を助けたいだろう?それに、僕の所にくれば、綺麗になるよ」
美虹「……ッ(快晴君、ゴメン…ッ!私が、「この旅館に行こう」って快晴君を誘わなければ……ッ!!)」
ここに来る前。
女性客が謎の行方不明になっていると言う噂があるこのナゴミヤ旅館。雑誌のネタになるから「ついて来て」と先輩権限を使ってまでタダを捏ねた事を思い出した。
こんな状況になり美虹は今、あの時の浅はかな自分を呪った。
快晴「ッ!!」
路郎「??」
路郎に腕を踏まれている快晴は、反対の手で路郎の足首を握りしめるようにして力を込めた。
路郎「退かそうったって無駄だよ?」
快晴「先輩!!フウちゃん呼んで来て!!」
美虹「あッ…!!」
快晴「先輩の足ならイケます!!」
快晴は体を丸めて、自分の腕踏みつけている路郎の足を固定した。
路郎「……ッ!」
美虹「ッ!!」
美虹は快晴の言う通り、踵を返して扉の無い部屋から出た。
路郎「ッ!!」
路郎は美虹を追いかけようと思ったが、快晴の体が片足を固定していた。
快晴「絶対逃がさんからな!!」
路郎「……」
紫色の綺麗に整えた前髪から覗く快晴の鋭い眼光が路郎を見た。路郎は呆れた表情して、しゃがんで手に持っている包丁を快晴の背中に刺した。
快晴「あ゙ぐッ…!!ゔッ…!!」
路郎「なかなか放れないな。あのイカつい子が空手と柔道習ってるって聞いたから、厄介なのは彼だけかと思ったけど…」
路郎は快晴の体から包丁を抜き取り、また刺した。
快晴「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!」
路郎「何の力も持たない子も、鬱陶しいな」
まだ力が抜けない快晴に、包丁をまた刺そうとしてそれを抜き取った。
快晴「ぐがあ゙あ゙ッ…!!」
路郎「さて、放して貰おうか」
路郎が快晴に包丁を突き刺そうとしたその時。
風太「おいゴルァ!!!」
路郎「……チッ!」
風太の声が聞こえた路郎は鬱陶しそうに顔を歪ませた。
快晴に刺してしまおうかと思ったが、風太が路郎の目と鼻の先にいて、足を振り上げているのが見えたので、そのまま後ろへ飛躍しようとした。
だが、快晴に固定されている自分の足が動かず、上体を逸らしただけで、なんとか風太の足を避けていた。