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日帝さんイギリスさんおめでとうございます🎉
私は今日、この日に敗れた
今私の目の前には、私の眉間に銃口を突き付けている奴の姿があった
アメリカ「…お前の負けだよ」
返せる言葉が見つからない、こんな状態じゃ抵抗なんてできやしない、した瞬間に頭を鉛玉で撃ち抜かれるだろう
アメリカ「…何も言わないのか」
アメリカ「それとも俺に話すことなんてないってか?」
日帝「…」
アメリカ「……日帝」
話しかけるな…鬱陶しい、こっちは意識を保っているのも難しいというのに
本当に察する能力が乏しいやつだ
あ…れ
なんだ…気持ち悪い
日帝「かはっ…お”ぇ」
アメリカ「…っは?」
手で抑えようと思ったが、間に合わずに吐いてしまった
なんだ…?
なんで赤いんだ
私は下を見て腹に手を当てた
そうだった
何発も食らっていたんだった
さっきまでは痛くはなかったのに、気付いた途端に痛み出した
日帝「はっ…はっ……がはっ」
アメリカ「…!」
アメリカ「吐くな!」
アメリカ「失血死するぞ!」
米国は私の口を手で塞いできた
吐けなくて気持ち悪い
気持ち悪い
気持ち悪い……
アメリカ「日帝…?」
アメリカ「おい!!!」
いつも余裕そうにゲラゲラ笑っていたヤツとは思えない顔
傑作だ
日帝が気を失っちまった!!!
なんで…なんでだ!!!
致命傷は外した!
足を重点的に狙ってたし血を吐くなんて事は…
血を吐く…?
アメリカ「…ちょっと失礼するぞ」
俺は日帝の軍服の前を開けて日帝の腹を見た
穴だらけだ
これ…人(国)の身体だよな…?
それに何日食ってないんだ…骨が浮き出てる
こんな状態で勝って…勝ったって言えんのかよ
いや、そんなん考えてる場合じゃねぇ
脈はある…だが弱い
それに明らかに血が足りない
所々焼け爛れてる
連れて帰ったところで…助けられるのか
……あれ
俺なんで助けたいんだ
こいつは敵なのに
?「…メ…カッ!」
俺はなんでこいつを生きさせたい?
?「アメ…カッ!!」
こっちは考え事中だっての!!
バチンッッ!!!
イギリス「しっかりなさいバカ息子!!!」
アメリカ「は…親父?」
イギリス「そんなとこで何してるんですか!」
イギリス「早く治療しないと彼は死んでしまうんですよ!!」
アメリカ「なんでこいつを助けんだ…敵だろ?」
イギリス「貴方まだ…っ!」
イギリス「…貴方がそんなんなら日帝さんは私が連れて行きます」
イギリスは日帝を丁寧に抱き上げた
イギリス「もうこんなに冷たい…」
イギリス「そこでちゃんと考えなさい!!」
イギリス「日帝さんが死んだら貴方はっ!!」
イギリス「……今日は帰って来るんじゃありませんよ」
アメリカ「…は?」
アメリカ「どういう事だよ」
親父…無視して帰っちまった
俺勝ったのに…なんでこんなに虚しいんだよ
…日帝
俺は日帝が流した血の上に横たわった
僅かに暖かい
鉄臭い、日帝の血の匂い
俺……何か忘れてるような
俺…日帝の事いつから日帝って呼んでた…?
違う愛称で呼んでた気がする
日帝くん、日帝さん、大日本帝国、Japan
日帝ちゃん
日帝chan?
日帝chan……!!
そうだったっ…!!!
俺は家に向かって走った
イギリス「これは酷い…」
日帝さんの体は穴だらけだった
そこからはとめどなく血が流れていて、このままでは死んでしまう
死んでしまうというのに…!!
あのバカ息子!!
日帝「英…こく」
イギリス「意識が戻りましたか!」
イギリス「良かった…」
イギリス「いや…良くは無いですね」
イギリス「今は治療をできる道具があまりなく、麻酔なんてありません」
イギリス「ですがこれから貴方の体内の弾を取り出さないといけません」
日帝「……」
イギリス「耐えてくだい」
日帝「わかっ…た」
イギリス「痛かったら手を握っても良いですからね」
日帝「こんな時までからかってっ…!ぐっ!」
イギリス「力を抜いてください、筋肉が収縮して取り出せません」
日帝「そんな事…言われたッて…っ!」
痛くてしょうがない、力を入れると弾が食い込む感じがする
イギリス「深呼吸してください」
イギリス「ほら、手を握っていいと言ったでしょう、私なら片手で足ります」
そう言って私の手の上に手を重ねた
イギリス「続けますよ」
日帝「が…ぁ!い”っ!」
私はあまりの痛みに仕方なくイギリスの手を握った
手を力強く握ったら結局力を入れてしまうと思うのだが…それに英国の手が潰れる
決して力を入れずただ手を重ねただけだ
どれだけ経ったのか
いつの間にか気を失っていたらしい
さっきは気付かなかったが、この白が中心的で青と赤が所々に入っている此処は英国の部屋だ
久しぶりに来たな…同盟の時の茶会以来だ
ベットの縁には私との写真があった
これは…同盟国となった時、それを広めるために撮った写真か
その時の私は、写真を撮られると魂を撮られると思い込んで怯えていた
あの時も英国は私の手を握っていたな
潔癖症の癖に無理をするものだ
イギリス「おや、起きましたか」
扉の音すらせずに静かに英国が入ってきた
日帝「少し前に起きた」
イギリス「あら…厄介者の相手をしている間に起きていましたか」
日帝「厄介者…?」
イギリス「お気になさらず、放置していれば時期に消えますよ」
日帝「…そうか?」
イギリス「そんな事より、紅茶でも如何ですか?」
日帝「私腹を怪我しているんだが…大丈夫だろうか」
イギリス「大丈夫です、その場の物で埋めたので完璧ではありませんが、大きい物さえ食べなければ」
日帝「それならいただく」
私は英国に支えられ、部屋の窓際の椅子に座った
日帝「歩く事もままならないな…」
イギリス「足は仕方ないですね…重点的に狙われていた様ですし」
英国は湯を沸かす為に1度席を外した
何となく外を見ていると、目が合った
私から家族を奪ったあいつ
心底驚いた顔をしてじっとこっちを見ている
何で来るんだ、怖くて動悸が止まらない
私は窓から目を離して机に突っ伏し頭を抱えた
英国…早く帰って来てくれ
怖いやつが居るんだ
イギリス「紅茶ができましたよ…って…日帝さん!」
英国はポットを近くの机に置くと、私に駆け寄った
イギリス「どうしましたか、痛みますか」
日帝「外…外に……」
イギリス「外…?」
イギリス「……」
イギリス「大丈夫ですよ、もう居ません」
イギリス「代わりにお客さんが来たみたいです」
日帝「客……?」
イギリス「ほら、外を見て」
私は恐る恐る外に目を向けると、そこには誰か分からない青年が立っていた
英国は窓を開けてその青年を呼んだ
イギリス「玄関に回るのも面倒でしょうからここからお入りください」
??「失礼します」
その青年は私の前に立つと、目線を合わせるように少し屈んだ
??「また会えてよかった…父さん」
私がこいつの父…?
私には日本しか……
日本…?
日帝「…日本なのか?」
日本「あ、最初に言えばよかったですね…すみません」
日帝「なんでこんなに大きく…」
イギリス「話は後にしましょう、紅茶が冷めてしまう」
英国は、いつの間にか3つあるティーカップに茶を注いだ
相変わらず香りのいい茶だ、落ち着く
日本は私と向かい合う席に座った
イギリス「どうぞ」
英国の茶を飲むのは久しぶりだ
良い香りがこの痛みを紛らわせてくれる
美味いな
日帝「それで…どうして急にそんなに大きくなったんだ…最後に会ったのは少し前ではあるが…」
日本「代替わりしたからですよ」
ああ……
私のせいで小さかった日本がもう…まだ子供らしくあって欲しかったのに…
日帝「じゃあ私は…」
イギリス「はい…貴方はもう旧国の身です」
日帝「はは…もう終わったか……」
日本「大丈夫です父さん、これから国は僕がちゃんと守っていきます」
日本「戦争をなくし、差別をなくし、平和な国にしてみせます」
私が成し遂げられなかった事を…この子に押し付けていて良いのだろうか
だが…
日帝「ありがとうな…」
日本「良いんですよ、僕がそう望んでいるんです」
日本「……」
日本「今言うのも言いづらいのですが…伝言を預かっています」
イギリス「伝言…?誰からですか?」
日本「…アメリカさんからです」
日帝「ひっ…」
旧国になってもまだ私に付きまとうのか
日本「…俺とお前が初めて会った場所に来てくれ……と」
日帝「初めて会った場所…?」
初めて…とはいつだ…?
初めて……
イギリス「…江戸さんのお家の庭ですよ」
イギリス「私も着いて行きますから安心して下さい」
日帝「父上の家の庭…?」
日帝「父上が居て良い話なのか…」
日本「あ…の……おじぃちゃんは…」
日本「……」
イギリス「…」
日帝「父上がどうしたんだ…?」
イギリス「江戸さんは…亡くなりました」
日帝「は…?」
日帝「いや違う!!!」
日帝「だって父上は家に居た筈だ!」
日帝「原爆が落ちてきたのは家より遠かった筈!」
イギリス「日帝さんのご兄弟を見送りにそこへ訪れていた様で……帰っている途中だったから直撃ではなかったものの…」
イギリス「爆風と共に飛んできた瓦礫の下敷きになったと…」
日帝「そんな…そんなそんなそんな!!」
日本「父さん…」
父上が死んだなんて…!!
海と空に続いて父上まで…っ
上手く前が見えない
視界が歪んで気持ち悪い
イギリス「日帝さん落ち着いて…!」
日本「父さんっ!」
日帝「彼奴は私の…私の大切なものをまだ奪い足りないというのか…?」
日帝「日本っ…!日本は居なくならないだろう…な?」
日帝「お前も居なくなってしまったら私には…」
日本「居なくなりませんよ…」
日本「大丈夫です」
日帝「これ以上大切な人が居なくなるのは嫌なんだ…」
イギリス「……」
アメリカはあまりにもこの人を深く傷付けてしまった
それは親である私の責任でもある
子の責任は親の責任
でも私は、この人にどう償えばいいのでしょうか
兄弟を失い、父を失い、息子まで失ってしまうかもと嘆くこの人を慰めていいのだろうか
私は加害者側の人間…
なのに貴方は私を拒絶してくれない
貴方が私を望んでいるなら、私は離れる事が出来ないのに
貴方は何故私をそこまで信頼してくれるのでしょうか
愛しい貴方から頼られる事はとても喜ばしい
だけど貴方が頼るべきなのは私ではない
貴方を愛している周りの人
あの時、貴方に手を差し伸べ無かった私ではない
日帝「英国…」
貴方は私を呼ぶ
何時だって貴方は私を求めていたのに
イギリス「…日帝さん」
私は泣きじゃくる日帝さんの手を取って言った
イギリス「貴方を愛してます」
今言うことではないのに…勝手に口から出てきてしまった
私には資格が無いのに
日帝「…本当に?」
貴方は弱々しく言った
拒絶されるのを求めていたのに
イギリス「…本当です」
日帝「嬉しい」
イギリス「…えっ」
さっきまで泣いてた人とは思えない穏やかな笑顔
昔見せてくれたものと同じ
日帝「私も…だ」
ああ、なんて愛らしい
日本「お、おめでとうございます!」
私は思わず日帝さんを抱き上げた
日帝「うわっ」
イギリス「I will always love you, my dear」
日帝「…ありがとう」
日本「良かった…やっとくっついて」
イギリス「えっ?」
日本「ずっともどかしかったです…」
日本「あなた宛の恋文が部屋に何個も置いてあるんですよ……あ、今度読みます?」
日帝「日本!!!」
日本「家に居る時は貴方の事をよく話してましたよ、小さいながらに察してしまいました」
そんなに前から…?
そうですか…そんなに私の事を……
イギリス「…ありがとう…日帝さん」
日帝「…ああ」
真っ赤で愛らしい
イギリス「この熱が冷めないうちにアメリカの所へ行きましょう」
日帝「い、今からか?」
イギリス「大丈夫ですよ、恋人は全力で守ります」
日帝「恋人……よ、よろしく頼む」
日本「父さんをよろしくお願いします、お父さん」
イギリス「呼び方はいつも通りでお願いしますよ…」
日本「分かりましたよ、イギリスさん」
イギリス「では、行ってきます」