俺と日帝が初めて会ったのは日帝の親父んちの庭だった
まだ幼かった俺は親父に手を引かれてそこに訪れた
一目見た瞬間、綺麗な奴だなと思った
凛々しくて、優しそうなやつだった
日帝「…そちらの子供は?」
目が合った
黒と赤のオッドアイ、オッドアイ自体は見た事ない訳じゃないが珍しい、それに綺麗だ
この時の俺は、そんな綺麗な目を自分の手で濁してしまうなんて思わなかっただろうな
イギリス「ああ、こちらは私の息子でしてね」
イギリス「ほら、アメリカ、ご挨拶なさい」
アメリカ(幼)「HELLO!」
日帝「はろー?」
オウムみたいに俺に聞き返して来た時は本当に死にそうになったな
日帝「ーーーー」
イギリス「ーーーーー」
日帝「ーーーーー?」
イギリス「ーーーーー」
……早く話終わんねぇかな
イギリス「それでは挨拶も済みましたし、帰りますよアメリカ」
あー…本当に綺麗な顔してんな…
日帝「…私の顔に何か付いているか?」
見てたのバレたな…
日帝は俺の目線に合わせてしゃがんでくれた
ああ、近くで見るとさらに
アメリカ(幼)「…綺麗だ」
そう口から出てしまった俺は、もうこのまま告白してしまおうと思ったが
日帝が「この花の事か?綺麗だろう」
と言った時は驚いた
アメリカ(幼)「花じゃない、お前」
日帝「…私?」
アメリカ(幼)「一目惚れした、結婚してくれ」
イギリス「ちょっアメリカ!!」
日帝「…私は幼子に手を出すほど落ちぶれてはいない」
アメリカ(幼)「ー!!!」
日帝「ーー…」
アメリカ(幼)「ーーーー!」
イギリス「ー!」
日帝「…じゃあ、お前が大人になったら考えよう」
イギリス「ちょ、日帝さん?」
日帝「まぁ、その時まで私が覚えていたらの話だが」
アメリカ「ゼッテェ忘れんなよ!!」
そういう事なら告白はまた大人になってからしよう!
立派な大人になって、日帝を助けられるくらいビックな男にならないとな!!
あいつを驚かせてやる!
そんで絶対に嫁にしてあいつの笑顔を毎日見るんだ!!
イギリス「ちょ、アメリカ待ちなさい!」
そうと決まれば親父から独立して、経済を発展させて、色んなもんも作らねぇとな!
待ってろよ
日帝
俺はあいつになんて事しちまったんだ……
なんで忘れちまってたんだ…
俺はあいつと初めて会った此処で頭を抱えている
あいつに何発撃ち込んだ!!
あいつの制止の声を聞こうともしなかった!!
あいつの家族を奪った!!
俺…あいつから全部奪っちまったんだよ
全部全部全部全部全部全部!!!!!!!
あんなに好きだったのに、好きだから守りたかったのに、なのに俺は……
なんて事しちまったんだ……
日帝chan…生きてる…よな?
生きててくれないと俺…頭がおかしくなっちまうよ
日帝chanが死んじまったら……俺が殺しちまったら俺は……
いや……大丈夫、大丈夫だ
彼奴は生きてた
生きてた…よな?
俺の幻覚なんかじゃないよな?
ちゃんと生きてて、俺の事ちゃんと見てたよな?
心底俺に怯えてた、俺に
大丈夫生きてる、大丈夫生きてたから
日本には日帝をここに呼ぶ様に言ったし…大丈夫
ちゃんと会って…ちゃんと話して……
元の関係に戻るんだ
大丈夫さ、友達に戻れる
俺の想いを伝えたらまた日帝を傷付ける、だから
「ごめん、お前を傷付けて、こんな事言われても嫌だろうけど友達に戻りたい」
ただそう言えばいい
断られたっていいから
これだけは伝えなきゃいけない
どれだけ怖くても
日帝「…」
イギリス「不安ですか?」
日帝「あぁ…」
日帝さんは不安そうな顔で私のスーツを弱々しく掴んだ
イギリス「大丈夫です」
イギリス「アメリカは決して貴方に手は上げないでしょう」
日帝「そう…か…本当に?」
イギリス「私は彼の親ですよ?」
イギリス「彼が貴方との戦争を拒んでいたのも、お偉いの決定で戦争が決まり、絶望していたのも」
イギリス「アメリカの事は全部知ってるんです」
日帝「あいつも…戦争の犠牲者なのか」
イギリス「そうとも言えるかもしれませんね」
イギリス「意外と、今回の戦争で傷付いたのはアメリカかもしれませんね」
日帝「精神状態が良くないのか?」
イギリス「まぁ…いつもの態度で想像つかないかもしれませんが、ああ見えて傷付きやすいんですよ」
日帝「そうなのか」
イギリス「ええ、なので…私のわがままなんですが…」
イギリス「どうか…」
アメリカを…許してあげてください
日帝「それは…」
イギリス「わかっています、貴方は彼に家族を奪われた」
イギリス「それを忘れろって訳じゃないんです」
イギリス「…今じゃなくていい、いつか…許してあげてほしい」
日帝「…彼奴の態度次第で考える」
イギリス「ありがとうございます」
イギリス「あ、そろそろ着きますね…」
日帝「……」
そこには、膝をつき頭を抱えたアメリカが居た
イギリス「アメリカ…」
アメリカ「…親父?」
アメリカ「あ…に…日帝chan……」
日帝「……っ」
アメリカ「ご…ごめん俺……お前にとんでもない事しちまった……」
アメリカとは思えない、とても下手に出ている態度
アメリカ「お前の事散々傷付けて……ごめん」
日帝「…」
アメリカ「こんな事言われても困るだろうけど…俺……お前と友達に戻りたいんだ」
アメリカ「俺が全部悪かったから…もう傷付けたりなんかしないから……」
アメリカは縋るようにそう言った
それに対して日帝さんは、何も言えないでいた
イギリス「日帝さん……」
何かを言おうとはしているのかもしれない、でも口をはくはくと動かしているだけで、言葉を発せられない
私の腕の中で震える彼を優しく宥めると、少し安心した様で、ゆっくり話し始めた
日帝「私は…貴様を許さない」
アメリカ「……」
日帝「だが…いつかは…許したい」
日帝「自分の息子になる奴を…ずっと憎む訳にもいかないしな……」
イギリス「えっ」
アメリカ「えっ?」
日帝「あ…いや……深い意味は…」
さっきの重々しい雰囲気は日帝さんの発言によって簡単に崩壊した
自分の息子になる…?
アメリカ「……???」
アメリカが固まってしまった……
私はこの空気でなんて言葉を発すればいいんでしょうか……???
気まずいような恥ずかしいような……
アメリカ「…親父日帝chanと結婚すんの??」
イギリス「まぁ…いづれはそうなりたいと思っています」
アメリカ「…まじ?」
アメリカ「俺の片思い終了?」
イギリス「まぁ、息子として愛してればいいんじゃないですか(笑)」
アメリカ「…そうするわ」
イギリス「…あれ、あっさり引くんですね、独占欲の高い貴方にしては」
さっきの雰囲気とは裏腹に、またどんよりとした空気になり、アメリカは話した
アメリカ「俺に高望みする権利なんてないしな…」
アメリカ「俺は日帝chanが幸せならそれでいい………1度日帝chanの幸せを奪った俺に言えることじゃないけどな」
イギリス「……」
私はそっと日帝さんを地面に降ろした
日帝「…英国?」
そしてアメリカの頬を叩いた
アメリカ「い”って…」
アメリカ「…何すんだよ」
イギリス「日帝さんは貴方の幸せを奪いたいわけじゃないんですよ、ただもう奪われたくない、それだけ」
イギリス「貴方の理論なら、私だって日帝さんを愛す権利なんてない」
イギリス「でも日帝さんは私を受け入れてくれた」
アメリカ「…それは日帝chanが親父を好きだったからだろ」
アメリカ「俺は意識すらされてない、ずっとだ 」
アメリカ「ガキの頃からずっと、日帝の目には俺は生意気なガキとしか写ってなかったんだよ」
日帝「…勝手に私の考えを代弁するな」
日帝さんは地面に座りながら両手で地面をぽんぽんと叩いた
隣に来いとでも言っているみたいに
私とアメリカは素直に日帝さんの両脇に座った
日帝「別に恋愛対象として見たことが無いわけじゃなかったぞ」
アメリカ「…え」
日帝「当人同士の交流は少なかったものの、よく送っていたじゃないか、私に花と手紙を」
日帝「手紙には名前が無かったが、すぐにお前だってわかった」
日帝「手紙の文章がうるさ過ぎたからな…(笑)」
日帝「何回も告白を受けて、少しでも揺らがないわけが無い」
アメリカ「じゃあ俺のこと…意識してくれてたんだ」
日帝「ああ…恋人の手前恥ずかしいがな」
日帝「私がお前を許せる日まで、告白の返事は延期にさせてもらう」
日帝「今回の件で、お前も被害者であったんだと知った」
アメリカ「…」
日帝「情くらいは与えてやってもいい」
日帝「英国への有り余る愛を少しくらいは与えてやる」
イギリス「ええ…二股ですか?」
日帝「違う!!!」
日帝「息子として愛してやると言ったんだ!」
アメリカ「息子として…か」
日帝「不満か」
アメリカ「まぁ、許してもらうまではそれで我慢するよ」
アメリカ「許してもらったら、親父から略奪することにするわ」
イギリス「聞き捨てならないんですが」
日帝「ははは!」
そうして私達はしばらく談笑した後、私達は家に帰った
イギリス「はぁ…平和とは行きませんでしたが、何とか終わって良かったですね」
アメリカ「全くだ…」
アメリカ「………日帝chanは…いつか本当に許してくれるかな」
イギリス「大丈夫ですよ」
イギリス「日帝さん、最初は怯えていましたが、最後は笑ってくれたじゃないですか」
アメリカ「でも俺は……」
イギリス「弱気になってどうするんです」
イギリス「彼は約束を守る国ですよ」
アメリカ「そうだな」
アメリカ「あー…親父」
イギリス「なんです」
アメリカ「迷惑かけてごめん…」
アメリカ「ありがとな」
アメリカはそう言ってかけていたサングラスを取って私に微笑みかけた
イギリス「迷惑なんていくらでもかけなさい、私は貴方の父親なんですから」
私はアメリカの肩に手を置いて言った
アメリカ「…おう」
イギリス「ところで、今度日帝さんに指輪を贈るんですけど、なんの宝石がいいと思います?」
アメリカ「俺に聞くなよ!!!!!!」
終
コメント
7件
イギリスさん日帝さんにはストロベリークオーツをあげちゃってください
最っ高でした!!!!! ありがとうございます✨️