コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
連載・第3話:
「……で、これ、本当に入るの?」
乱歩が眉をひくつかせて見下ろすのは、異能技術班が開発した“夢潜行装置”**。
コードとパルスが脈打ち、モニターには「対象意識レベル:不明」と表示されている。
「対象の心に“入る”方法は、ひとつ。自分も夢を見ることだ」
ポオはまっすぐその機械を見据えて言った。
「そして、犯人は……君か、あるいは僕に成りすました存在。なら、我々の心を見せてやろう」
「……めちゃくちゃ恥ずかしいこと言ってるってわかってる?」
「論理的帰結である」
「じゃあ、そういうことで一緒に寝ましょうか、ポオくん♡」
「語尾をやめろ」
ふたりは隣同士のカプセルに横たわり、装置が起動される。
波形が安定し、視界が白く染まっていく――
次の瞬間、ふたりは“夢の裏側”にいた。
夢領域 - 0階層:記憶の回廊
そこは“現実”とよく似た異世界だった。
だが、すべてがほんのすこしだけ「ズレている」。
時計は逆回り、重力は妙に軽い、空の色は蒼ではなく群青に濁る。
そしてそこにいたのは、**“乱歩”にそっくりな男**。
「やぁ、また来たね」
声も笑い方も完璧な“彼”。けれど、目だけが違う。
ポオは静かに銃を構える。
「君は……何者である」
「“君が求めた理想の乱歩”だよ。君の無意識が生み出した、夢の中の恋人」
「……やめろ」
「どうして? 君は本当は望んでるんだ。真実じゃなくて、優しい幻を──」
パンッ!
警告のように、ポオの銃声が響く。
同時刻、別のフロアでは乱歩が“ポオにそっくりな男”と対峙していた。
「おやおや〜、なんだか君、ずいぶん感情的だね?」
「君、“ポオくんの顔”でそういうこと言うのマジでやめて?」
「でもさ、君だって本当は気づいてたんでしょ?
自分のことを好きになる人間がいるわけないって。
だから、夢の中でだけ彼に恋をした。
本物のポオには、永遠に言えないと思ってた──」
乱歩は、薄く笑った。
「違うね。僕は、“本物のポオ”にだから言えるんだ」
「……え?」
その頃、ポオは“偽物の乱歩”を睨みつけながら呟いた。
「本当の君は、そんなふうに言葉をねじ曲げない。
僕は、君の強さも、弱さも、全部知ってる」
ふたりが同時に口にする。
「──偽物に、心は喰わせない。」
次の瞬間、夢の世界が激しく揺れる。
ふたりの“意識”が、交差した。
書き置きis駄作
by茶々