テラーノベル
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ある、古くて脆いマンションの一角。
「あの、四人組が動き出したか。面白くなってきそうだな。」
部屋のど真ん中にデカデカと座っている、男が言った。
「ボス。どうします?」
中ボスのような男が言った。
「今は放置でいいんしゃないか?」
ボスが言う。
「あの、最強だった奴らの息子の双子と勝負はもう少し後になりそうだな。」
ボスが言う。
「楽しみだ…沙友里と涼の息子。皐太と郁哉、俺を楽しませてくれよ。」
男が不適な笑みを浮かべる。
〜十年前〜
「涼くーん!皐太がいじめてくるぅ〜!」
沙友里がうるうるした目で涼を見る。
「いい歳して、恥ずかしいぞ母さん。」
皐太が冷たく言う。
「あはは〜。」
涼が反応に困り苦笑いする。
「母さんと父さんラブラブだぁ~!」
郁哉が2人に向かって言う。
沙友里と涼は顔を赤らめながら、俯く。
「「別に、仲良くない!!」」
ほぼ、2人とも同じタイミングで同じセリフを言った。
「はぁ。」
皐太が呆れながら部屋に入っていく。
「兄貴〜。俺も遊ぶ!!」
郁哉も皐太に続いて部屋に入る。
〜1時間後〜
ガタンッ!
皐太と郁哉は顔を見合わせる。
ドンドン!
誰が、階段を猛スピードで上がってくる。
「二人とも!!無事!?」
沙友里が慌てて言う。
「どうしたの?母さん。」
郁哉が言う。
「いい?今から、一階から音がするけど見に行ったら駄目だよ。分かった?」
沙友里は二人に言い聞かせるように言った。
「分かったよ。 」
郁哉が言う。
「お母さんがいいって言うまでここからでちゃう駄目よ?」
沙友里は、二人を2階のクローゼットに押し込んだ。
「ごめんね…。」
沙友里はそう言い残し、一階に降りて行った。
「涼だったっけ?お前のパートナーは、どこにいる?」
黒い服を纏った男が言う。
「あたしなら、ここにいるわよ?」
沙友里が笑いながら言う。
「よくも、あたしの大事な夫を傷つけてくれたわね!」
沙友里が怒る。
「沙友里…。」
沙友里の愛情に思わず涼が泣き出してしまう。
「ほーら!泣かないのー!」
沙友里が涼を慰める。
「お前達に、俺の大切な家族を傷つけやしない!」
涼が怒る。
「それは、どうかな?」
黒服の男が不適な笑みを浮かべる。
カチッ!
黒服の男が、何かのボタンを押す。
ボンッ!
一瞬で、2階が炎に包みこまれる。
「「皐太!郁哉!!!!」 」
二人は、2階に繋がる階段を駆け上がる。
「母さんっ!!父さんっ!!」
皐太が涙目で二人を呼ぶ。
郁哉は、爆発の衝撃で壁に頭をぶつけて、気絶しているようだった。
「待ってろ!二人とも!」
涼が二人の元に駆け寄り、二人を抱っこして、逃げ出そうとした。
バキッ!
三人が乗っている体重に耐えきれず、床が抜ける。
その、衝撃で郁哉が床に転げ落ちる。
「皐太…お母さんと一緒に逃げろっ!」
涼が叫ぶ。
「と…父さん?父さん!?」
涼はそこで息を引き取った。
「涼!?涼!」
沙友里が三人に気づき近寄る。
「うっ…うわぁ~!」
沙友里が泣き叫ぶ。
「泣いてる場合じゃなかったねっ。」
沙友里が落ち着いて涙を拭う。
「爆発で…家がっ!」
沙友里達がいる、リビングだった所はあちこち燃え広がり、原型を留めていない。
「皐太?郁哉を背負って、窓から出られる?」
沙友里が言う。
「行けるかもしれない。でも、母さんはっ!」
皐太が言う。
「お母さん…。ちゃんと外に出るから、心配しないで?」
沙友里は落ち着いて言う。
「分かった…。信じてるから。」
皐太が言う。
沙友里は、二人を脱出させた後に、涼の亡骸を外に運び出そうとした。
皐太が、出口のすぐそばにいた。
皐太は、安心したが安心も束の間、沙友里のいる所に瓦礫が崩れてくる。
ドスンッ!
鈍い音が広がる。
皐太は、絶望した目を空に向ける。
〜〜〜現在〜〜〜
「はっ!!!」
皐太がベットの上で飛び起きる。
「また、あの頃の夢…か。」
皐太は悲しい顔をして、再び眠りについた。
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