……グラスを重ねる内、彼女の瞼が眠た気に下りてくるのを感じた。
「……もう、眠くなってきたのですか?」
初めて食事をした時の寝顔の可愛らしさが浮かんで、低く耳元へ囁きかけた。
「まだ…眠たくは……」
恥ずかしそうに顔をうつむけながらも、その口元からは小さなあくびが零れ出る。
「眠いのなら、寝てもいいのですよ…」
愛しくて仕方のない思いが胸を突き上げるようで、彼女の体に寄り添い腕の中に抱き寄せると、ふぅっと力が脱けたように胸にもたれ掛かってきた。
「……寝られない…そんな風にされたら……」
はにかんで口にするのに、密着する身体がより熱を帯びて高ぶってくる。
「……なら、抱いて、寝てあげましょうか?」
ソファーにゆっくりと倒して、
「…え、抱いてって……」
まわした腕で半身を抱えると、びくりと彼女の体が強張って震えた──。
「……何を、恐れているのです?」
怯えられると、逆に気持ちが煽られてくるようで、
「……どちらがいいですか? 責められるのと、そうではないのと」
「そんなの……」と、口籠る彼女に、
「ならば、責めてあげましょうか?」
と、着ているブラウスのボタンに手をかけた。
「……いや…」
以前のことを思い出してか、首を振って抗う彼女の唇に、「……しっ」と指をあてがって、
「私に、全てを預けなさい」
ふぅーっと吐息を吹きかけて言い聞かせるように囁くと、まるで眠りに落ちるようにゆっくりと目蓋が閉じられた。