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彼は全てを語った。
彼の名前はトム。
彼は幼い頃、両親から虐待を受けていた。
特に母親からの精神的な支配と見捨てられ不安。
彼はそのストレスで解離性障害を患い、ある日、本当に耐えきれなくなってしまった。
彼は「僕を助けてくれる、理想の自分」を作り出した。
それが、ファントム。
ループはトムの幻覚だった。
トムの心が現実を拒絶し続けている証拠だった。
彼はこの「10月24日」に大きな精神的打撃を受け、その日を境に心が壊れた。
「ファントム、君は僕にとって都合のいい記憶だけを渡された、完璧なコピーだ」
「いつも優しく笑ってくれる友達(僕が望む理想の愛着対象)の名前を思い出せないのは、君が僕のトラウマから目を背けているからだよ」
そして、彼は言った。
「ファントム。君は、僕が両親に捨てられたくない一心で作り出した、愛着の代償だ」
「君は僕の代わりに、完璧な息子、完璧な友達として生き続けてくれればいい。それが、僕が君を作った意味だ」
その言葉は、まるで「君は僕の愛着を繋ぎ止めるための道具だ」と宣告しているようだった。
その時、校舎の方から彼が走ってくるのが見えた。
「ファントム!」
彼の名は、アキ。
喉の奥の蓋が、崩れた。
アキは僕の肩を掴んだ。
「行け。彼は、君を待っている」
────────…
僕がアキの方へ一歩踏み出した瞬間、ノイズが走った。
カメラの赤いRECランプ。
小さな僕(トム)が、真っ暗な部屋で「ごめんなさい」と繰り返していた。
僕は、トムの心の中で、彼を否定し、彼の痛みを忘れ去ろうとした。
それが、僕が「誰かを忘れた」ことへの罰。
僕が、オリジナルであるトムの存在を消そうとしたことへの罰だ。