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あれから子どもたちの喋る言葉が少しずつ増えてきて、お父さんにもそのことを電話で報告をすると、
「ホ、ホント―か、それはっ! あ、会ってもいいんだろうか?」
興奮気味なテンションの高さで食いつかれて、
「もちろん、いいけど。お父さんてば、あんまりハイテンションだと、子どもたちに怖がられるかもだからね」
ややチクッと釘を刺した。
「ああ、わかっている。そりゃ子どもたちの前では、落ち着いておとなしくしているさ! 私とて、いい大人なんだしな。だからぜひとも会わせてくれ!」
「そんな風に必死に頼まなくても、いつでも会わせるってば。それで、いつそっちに行くのがいいの?」
言っていることとは裏腹に、ちっとも落ち着いたいい大人っぷりが感じられない様に、いよいよ苦笑いが浮かぶ。
「ああーっと、私の方からたまには行こうか? 小さい子どもたちを連れて来るのは大変だろうから。ただ、あまり邪魔しちゃ悪いようなら遠慮はするが」
らしくもある相変わらずな調子の良さでと思えば、急に気づかう父親の顔を見せるから、にわかに面食らう。
「……お父さんたら、悪いことなんて少しもないし、それに来てくれるのは、私も貴仁さんもうれしいから」
私の告げた答えに、「そうか、ありがたいな……」と、父がしみじみとした口ぶりで返す。
「それじゃあ貴仁さんにも予定を聞いてみて、また連絡をするから」
「ああ、楽しみにしているなっ!」
父は心底待ち遠しくてたまらなさそうに弾んだ声を上げると、電話を切った。