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予定をすり合わせた結果、父が来るのは来週の日曜日になった。
その間、SNSには『まだ一週間あるな』から始まって、あと5日、4日、3日だ──と、連日のように父からのカウントダウンが送られてきて、
ようやく翌日に迫った際には、『明日は、はりきって行くぞ!』と、電話で言いおいたのにも関わらず、やっぱりハイテンションなメッセージが届いて、見るなり笑ってしまった。
──そうして当日になり、タクシーで乗りつけた父は、子どもたちへのプレゼントを大量に抱えて現れた。
その積み上がった箱の多さに、あ然として立ちすくんでいると、最初に進み出たのは源治さんだった。
「いらっしゃいませ、ようこそ。お荷物をお持ち致しましょう」
「ああ、すいません、お邪魔します。貴方が執事の方ですか、お噂はかねがね」
父が荷物を手渡して、頭を下げる。
「いえいえ、どうぞお気づかいなく。私が噂になっているというのは、うれしいことでして」
にこやかに対応をした源治さんが、
「それでは、私は先にこちらを置いてきますので」
と、扉の向こうへ去って行った。
「お父さん、ようこそ」
そう声をかけると、
「お久しぶりです、お義父さん」
彼が後に続いた。
「元気か、彩花。貴仁君も、久しぶりだな」
源治さんが間を取り持ってくれたおかげで、大荷物にびっくりするあまりとっさに動けずにいた私と貴仁さんも、ようやくあいさつを交わして、父を家の中へ迎え入れた。
広間に通されるや、父は窓辺に並んだ二つのベビーバウンサーに、真っ先に歩み寄った。
子どもたちのそばには、プレゼントの箱が山積みになっていて、改めてその量に目を見張る。
「お父さん、いくらなんでも、ちょっと多すぎだと思うんだけど」
苦笑いを隠せない私に、
「いや、孫たちに贈り物をと思ったら、あれもこれもと増えてしまってな」
父が上機嫌で応じる。
「ああ、もちろん菓子折りも持参したからな。おまえはこれが好きだっただろう」
取って付けたように紙袋を押し付けられて、
「あ、ありがとう」と、苦笑を貼り付けたままで答えた。