「…司。」「母様?」
なんだか母様の様子が変だ。
何とも言えない…。
嬉しそうに微笑んでいるような、悲しくて微笑んでいるような…。
「司はね、一つを愛してはいけないよ。」
「愛してはいけない…?」
「平等に愛するの。分かった?」
「、?はい、!」
言っている意味が分からなかった。
平等に愛す??
「鳥が美しい…。」
母様と別居した時、美しい白の鳥を見かけた。
美しくて、見惚れてしまって。
__捕まえた…♡。
羽根をちぎって、飛べなくして、永遠と籠の中に閉じ込める。
永遠と眺めていられる…♡。
だが、そのうち動かなくなって捨てた。
「あれがいい…♡。」
「これがいい…♡。」
どんどん一つに執着していった。
あれが、これが。
一つに執着して、死んだら、飽きたら捨てて。
嗚呼、今度はもっといいものを見つけた__♡。
あの鳥のように美しい白い肌。
あの猫のように笑う口。
あの犬のように人懐っこいところ。
あの蝶のように儚い姿。
あの花のように動かぬ身体。
全てそろっている。
全て、全て…♡。
「類、嗚呼、類♡。なんと美しいのだろう…♡。」
「ひっ…!」
あの兎のように逃げ回る。
「美しい、美しい…♡。嗚呼、オレだけの類♡。まずはもしものために脚を切り落とそうな♡♡。」
「い、や…!」
震える姿だってそっくりだ♡。
「い゛あ゛あ゛っ!!!??」
同じだ、あれも、これも…♡。
「オレ以外見れないように、他のものは全部壊そうな♡♡。」
『…最近、急激に鳥の数が減っております。』
『鳥だけではありません。猫や犬なども、いなくなっております。』
『遺体も発見されており、何者かによる犯行だと思われております。』
『恐らくこれはなにかの暗示で…』
だって、他の害虫がいたら嫌でもオレ以外を見てしまうだろう♡♡?
__じゃぁ、いらないよな♡。
「オレと類のためにも死ね…♡♡。」
オレだけでいいんだ♡♡。
オレだけが類を見てればいい♡♡。
この世界はオレと類だけでいい♡♡。
嗚呼、類、類、類、類♡♡。
「もぅこれでオレしか見られないし、見に行けないな♡♡。」
「ぁ、ぁぁ゛…。」
嬉しくて声も出ないんだなぁ♡♡。
オレも嬉しいぞ♡♡。
「っ、彰人、くっ…?まふ、ゆ…?雫っ…?ほなみ、…?」
「は??」
なんで害虫の名を呼ぶ??
オレがいるのに??
駆除してやったのに??
「何故呼ぶ??オレは害虫駆除を面倒でもやったのに??オレは虫が嫌いなんだぞ??」
「い、や…。こわ、い…。」
「面倒だったんだぞ??あいつらは頭を使ってオレを殺そうとしてきて。」
「っ、ぅ…。」
4人で結託してきて。
__でも。
「類が奪われそうだったんだ♡♡!!」
「ひっ、!?」
「3人がオレを全力で攻撃してきて、1人が類を奪おうとしてきて…♡♡。でもな、阻止したんだ♡♡。類を奪おうとしてきたやつの目の前で3人を殺してやったからなぁ…♡♡。」
「っ゛…!!」
あの時の顔ときたら…♡♡。
まったく、類を奪おうとするからなぁ…♡♡。
類はオレのものなのに♡♡。
「っ、さい、てい…!!」
「、、、は…????????」
「最低…っ゛!!」
オレのことを睨みながら言ってくる。
最低??
類が、そう言ったのか??
「…ふざけるな??」
「っひっ…!」
「お前がそんなこと言っていいわけないだろ??なんだ、目の前で殺してほしかったか??」
「っ…!!」
「はは、今からでも類の目の前でぐちゃぐちゃにしてやるぞ??」
「やっ、めてっ…!」
「じゃぁ、言うことがあるだろう??子供でも分かる言葉だぞ??」
「っ…。…ぅ、ごめん、なさ、いっ…。」
「まったくだ。オレは類を愛しているだけだと言うのに。」
平等に、類だけを愛しているんだ♡♡。
類には愛が足りないんだ♡♡。
だから、オレが足りない分をあげるんだ♡♡。
「美しい鳥のように、籠の中でずぅっと暮らしていれば、類はそれでいいんだ…♡♡。」
コメント
2件
わーお( ö ) 大好きだぁ(*^ω^*)