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照と付き合って半年、
好きな人が居なくなるのが怖くて、
俺は悪者になった。
〈目黒side〉
岩 “なんで、ふっかが。”
深 “……、”
目 “え、2人、知り合い?”
岩 “あぁ……、
大学の時の知り合い。
深澤って言うんだけど。”
照の目が泳いだのがすぐに分かった。
2人のぎこちない雰囲気、
どこか違和感があった。
目 “…そっか。”
深 “俺、帰ります。”
目 “え、でもまだ道教えてないし……”
深 “大丈夫です。もう遅いし。
ありがとうございました。”
そう言って、
深澤さんはそそくさと出ていった。
岩 “心配だし、駅まで送ってくる。”
目 “うん、分かった。
ここから遠いし、帰る時連絡して。”
岩 “おぅ、すぐ戻る。”
そして照は出ていった。
目 “ご飯一緒に作るはずだったのに、
もうこんな時間か。”
時刻は既に23時だった。
照が帰ってくるまで30分はある。
簡単なものを作って待っておこう。
キッチンへ行くと、
玄関に置かれた照の携帯を見つけた。
目 “あれ、照忘れてるじゃん。”
2人はそれほど遠くに行ってないはず。
なんかあったら困るし、届けに行こう。
家を出て、マンションの階段を降りると、
1階のロビーに2人がいた。
目 “いた、ひか_”
岩 “なんであんな場所にいたんだよ。
翔太の家と真反対だろ。”
深 “……照に、会いに来た。”
岩 “え、”
深 “照に会いたくて、マンションに来た。
でも、別れを告げたのは俺だし、
照にも迷惑だと思って迷ってた。
そしたら目黒さんに会って。 ”
岩 “俺に、何か用があったのか?”
深 “ごめん、俺……、
やっぱり照のこと忘れられない。”
岩 “…どういう意味だよ、”
深 “自分勝手なのは分かってる。
でも……、
俺には照しかいないんだよ。”
なに、あれ。
どういうつもり、?
岩 “ふっかには、翔太がいるんだろ。”
深 “ごめん。”
深澤さんは照を抱きしめた。
俺は目を見張った。
深 “最低なのは分かってる。
でも気持ちが抑えられないんだよ、、”
岩 “俺には目黒がいる。
ふっかのこと、幸せにできない。”
深 “照は俺のこと、
どう思ってるの、?”
俺は息を飲んでその光景を見つめた。
岩 “幸せに、したかった。
でも、俺はもう前を向いた。
翔太と、幸せになって欲しい。”
深 “……そうだよね。
ごめんね、”
そう言って深澤さんは立ち去った。
今にも追いかけそうな様子で、
その姿を照は見つめていた。
俺は不安になった。
いつか、
照はまた深澤さんを好きになるかもしれない。
俺の前から、
離れていくかもしれない。
次の日の朝、
俺は使っていないピアスを持ってきて、
照に聞いた。
目 “このピアス、照の?
昨日見つけたんだけど。”
岩 “いや、俺のじゃない。”
目 “もしかして、昨日来た深澤さんの?”
岩 “あ、そうかも。
今度届けに行くわ。”
目 “大事なものかもしれないし、
早く届けた方がいいよね。
今日届けに行ける?”
岩 “あー、今日残業だわ。”
目 “そっか、、
じゃあ、俺が行ってくるよ。”
岩 “いや、いいよ、遠いし。”
目 “大丈夫だよ、ほら、住所教えて。”
そうして俺は、半ば強引に家を聞き出した。
仕事帰り、俺は深澤さんの家へ向かった。
夜ということもあって、
深澤さんは既に家にいた。
インターホンを押すと、
ノーセットの彼が顔を出した。
目 “夜にすいません。
照の恋人の、目黒です。”
深 “あぁ…、
昨日はありがとうございました。
それで……何の用で_”
目 “単刀直入に言いますね。
照のこと、
たぶらかすの辞めて貰えますか?”
深 “え、?”
目 “好きなんですよね。照のこと。”
深 “それは、、”
目 “照には俺がいるんです。
好きでいるのは勝手ですけど、
会いに来たりとか、
余計なことしないでください。”
深 “え、あの、ごめんなさい…、”
目 “ま、それが言いたかっただけなんで。
邪魔、しないでくださいね。笑”
照をつなぎ止めておきかった俺は、
いつしか悪者になった。
こうでもしないと照が離れて行くぐらい、
俺には価値がなくなった。
そんな気がして俺の心は沈んで行った。